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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
9章:『空白恐れる宝物庫の悪夢』
573/1000

573:4thナイトメア2ndデイ・タルウィペトロ・2-3

「ーーーーー!」

「んー、いい感じね」

 試練開始から数時間経った。

 私の目の前では今、十段目まで積み上げた石の塔が石化液のようなものを掛けられる事で一つの石となり、一段の石と化した。


「この分で行けば、直に壁は出来上がるわね」

 で、現在の中州では、そんな大きな一つの石で出来た塔が何本も立っており、かなり視界が悪くなっている。

 それこそ、中州の中心部に行って、一番石の塔の密度が高い方向を向けば、川を渡った先なんてほぼ見えない程に。


「となると、そろそろ安全に川を渡る方法も考えておかないと拙いわね」

 はい、と言う訳で、私が今回の試練の解法として考えたのは、石化液で十段の石の塔を一段にされてしまうなら、石化液がかからないようにすればいい、である。

 とは言え、この方法に問題がないわけでもない。


「……」

 まず第一に、川を渡った先に居る造石の宿借呪に似た影に関する情報の少なさ。

 影たちはたぶん目視によって、私の石積みを確認している。

 だから、影たちの視界の範囲外で石を積めば、そもそも妨害されないかもだが……見えないなら見えないで、別の確認手段を持っていてもおかしくはない。

 また、影の妨害手段が、今確認されている水平に石化液を撃ち出すものとは限らない。

 私が思いつくだけでも、本気で妨害をするならと言うか、水平撃ちで届かないようになったなら、曲射ぐらいは狙ってもおかしくないと思うのだ。

 後は川を渡っている私への直接照射とか。


「とりあえず天井は要るわね……」

 と言う訳で、少々大規模な建築のようにもなってきてしまっているが、妨害によって一体化した石を利用する事によって、私は石の柱を立てたり、壁を立てたり、水平な天井は流石に無理なので、ほぼ垂直だが一応斜めの天井を立てたりして、妨害に備えていく。

 そして、主観時間で20時間ほど経ったところで、どの方向から見ても中の様子が窺えないし、石化液もかけられない場所が出来上がったので、そこで石の塔を積み上げていく。


「さて、もうじきね」

 これで石の塔が見えないんで、接近して叩き壊すとかされたら流石にキツイが……まあ、それならそれで対処法がないわけではないが、運の要素が大きく関わりそうなので、無いのが嬉しいのに変わりはなかったか、うん。

 とりあえず、楽に済むなら、それに越したことはない。


「十段目!」

 私は十段目となる石を置いた。

 周囲の音を聞く限り、影たちの動きはない。

 念のために現在の段数を改めて確認し、ちゃんと十段ある事を確かめる。

 うん、ちゃんとある。

 不安だったので、三段ほど追加しておくが。


「よしよし……」

 影たちに変化はない。

 川の向こう側で歩き回っていて、こちらの事を気にしてはいるようだが、脚を止めたりはしていない。

 うん、今の内だろう。


「……」

 と言う訳で私は慎重にコールタールの川を渡っていく。

 流れが割とある上に、深みがあっても分からないのは厄介だが、それでも慎重に一歩ずつ足を進めて行く事で、渡っていく。

 そして私は無事に渡り切り……コールタールの川から脱出した。


≪呪術『石化の邪眼・2』、『風化-抑制』を習得しました≫

「よし、上手くいったみたいね」

 で、精神世界から元の世界へと戻ってきた。


「起きたみたいやなぁ」

「結構かかったでチュねぇ」

「お疲れさん。まあ、何があったのかは知らんが」

「ん、お出迎えありがとう」

 元の世界に戻ってきた私は、マントデアたちに礼を言い、何をやっていたのかについては動画撮影をされていたので、イベント終了後にでもそれで確認して欲しいと告げておく。

 なお、イベント空間では20分ほど、時間が経過していた。

 うん、確かに普段よりもかかっているかもしれない。


「では確認っと」

 それはそれとして、得た邪眼術の確認と行こう。



△△△△△

『石化の邪眼・2』

レベル:35

干渉力:130

CT:60s-240s

トリガー:[発動キー]

効果:対象に中確率で対象周囲の呪詛濃度-10の石化を与える


伏呪

トリガー:[発動キー]

効果:この呪術によって石化が重症化した場合、石化の重症化が治るまでの間、対象Aの石化のスタック値が減少する度に、Aの周囲、(Aの異形度)m以内に居るものへと毒(Aのレベル分)、魅了(1)、石化(1)を与える。


貴方の目から放たれる呪いは、敵がどれほど堅い守りに身を包んでいても関係ない。

全ての守りは破れずとも、相手の守りの内から直接石へと変えるのだから。

そして、完全なる石と化した犠牲者は次なる犠牲者を招き寄せて、物言わぬものへと変えようとする。


注意:使用する度に自身周囲の呪詛濃度×1のダメージを受け、満腹度が1減少する。

注意:伏呪使用時には更に満腹度が4減少し、周囲の呪詛濃度×0.3の石化と毒を受ける。

▽▽▽▽▽



「……」

 伏呪付きを13の邪眼で撃ち込んだら、ジタツニの耐性込みでも反動で死にかける……と言うより、全身が石化するかもしれない。

 なお、伏呪使用時の詠唱は『石化の邪眼(タルウィペトロ)・2(タレット)』。

 敵を完全に石化させる事で、自動的に攻撃を行うタレットに仕立て上げることが出来る、と言うところか。

 反動にさえ気を付ければ、悪くはないだろう。

 ではもう一つ。



△△△△△

『風化-抑制』

レベル:1

干渉力:100+発動者のレベル

CT:なし

トリガー:思考発動

効果:『七つの大呪』の一つ、『風化』の呪いを抑制化させる。


『風化』の呪いとはこの世を為す七つの呪いの内の一つである。

この世界全てを覆い尽くし、蝕む呪いであり、文明崩壊の元凶とも言え、この呪いに正面から立ち向かおうなど、浪費、暴食以外の何物でもない。

故に汝に出来るのは、己の経験と糧を囮として差し出す事で、その矛先を逸らす事までであり、これ以上を望まんとするならば、無謀な試みを現実の物とするような何かが必要となる。

最も古き大呪であり、虚無と終焉に通じるが、救いはない。

▽▽▽▽▽



「んー……」

 『風化-抑制』は……これ、一応呪術として挙げられてはいるが、使い道はあるのだろうか?

 何と言うか、もう一段階くらい上があって、それの前段階として習得しました感がある。


「何を悩んどるんや?」

「何処でどう使うかを考えているんだと思うでチュよ」

「まあ、手札の数が一枚増えれば、組み合わせも一気に増えるからな。考える事が多いのは当然だろう」

 覚えておいて損はないから、それは別にいいとして、無謀な試みを現実の物とする何かねぇ……。

 イベントが終わったら、少しずつ考えるとしよう。


「とりあえず一遍寝るわ。主観的なもので、精神世界での事ではあるけれど、流石に20時間労働は眠いわ」

「20時間……」

「いったい何があったんだ……」

「まあ、面倒くさい何かでチュよ。たぶん」

 とりあえず疲れたので、一度寝る事にした。

 起きたら今晩の食事を作るなどをしよう。



△△△△△

『虹霓竜瞳の不老不死呪』・タル レベル36

HP:2.735/4,050 (-1,206)

満腹度:100/150 (-45)

干渉力:135

異形度:26

 不老不死、虫の翅×6、増えた目×11、空中浮遊、呪圏・薬壊れ毒と化す(ダマーヴァンド)、遍在する内臓、劣竜式呪詛構造体(劣竜血、劣竜骨髄、劣竜肉、劣竜瞳、劣竜皮)

称号:『呪限無の落とし子』、『生食初心者』、『ゲテモノ食い・3』、『毒を食らわば皿まで・3』、『鉄の胃袋・3』、『暴飲暴食・3』、『大飯食らい・2』、『呪物初生産』、『呪術初習得』、『呪法初習得』、『毒の王』、『灼熱の達人』、『沈黙の名手』、『出血の達人』、『淀縛使い』、『恐怖の名手』、『小人使い』、『暗闇使い』、『乾燥使い』、『魅了使い』、『重力使い(増)』、『石化使い』、『呪いが足りない』、『かくれんぼ・1』、『ダンジョンの創造主』、『意志ある道具』、『称号を持つ道具』、『超克の呪い人』、『1stナイトメアメダル-3位』、『2ndナイトメアメダル-1位』、『3rdナイトメアメダル-赤』、『七つの大呪に並ぶもの』、『邪眼術士』、『呪い狩りの呪人』、『竜狩りの呪人』、『呪いを支配するもの』、『偽神呪との邂逅者』、『呪限無を行き来するもの』、『砂漠侵入許可証』、『火山侵入許可証』、『虹霓竜瞳の不老不死呪』、『生ける呪い』、『雪山侵入許可証』、『海侵入許可証』、『いずれも選ばなかったもの』、『呪海渡りの呪人』、『泡沫の世界の探索者』


呪術・邪眼術:

毒の邪眼・3(タルウィベーノ)』、『灼熱の邪眼・2(タルウィスコド)』、『気絶の邪眼・2(タルウィスタン)』、『沈黙の邪眼・2(タルウィセーレ)』、『出血の邪眼・2(タルウィブリド)』、『小人の邪眼・2(タルウィミーニ)』、『淀縛の邪眼・1(タルウィボンド)』、『恐怖の邪眼・3(タルウィテラー)』、『飢渇の邪眼・2(タルウィハング)』、『暗闇の邪眼・2(タルウィダーク)』、『魅了の邪眼・1(タルウィチャム)』、『石化の邪眼・2(タルウィペトロ)』、『重石の邪眼・2(タルウィヘビィ)』、『禁忌・虹色の狂眼(ゲイザリマン)

呪術・原始呪術:

『不老不死-活性』、『不老不死-抑制』、『風化-活性』、『風化-抑制』、『転写-活性』、『蠱毒-活性』、『再誕-活性』、『魔物-活性』、『反魂-活性』

呪術・渇砂操作術-ザリチュ:

取り込みの砂(ザリチュメモリ)』、『眼球(ザリチュサイト)』、『(ザリチュアーム)』、『(ザリチュラット)』、『化身(ザリチュアバタ)』、『禁忌・虹色の狂創(アーリマンキス)

呪術-ネツミテ:

太陽の呪い(ノームセルブ)』、『熱波の呪い(ドロクセルブ)』、『埋葬の鎖(ボレヴァルグ)

呪術-ドロシヒ:

虚像の呪い(ラエルセルブ)』、『貯蓄の呪い(エサウセルブ)

呪法:

呪法(アドン)増幅剣(エンハンス)』、『呪法(アドン)感染蔓(スプレッド)』、『呪法(アドン)貫通槍(ピアース)』、『呪法(アドン)方違詠唱(ハイキャスト)』、『呪法(アドン)破壊星(ミーティア)』、『呪法(アドン)呪宣言(ロックオン)』、『呪法(アドン)極彩円(サークル)』、『呪法(アドン)呪晶装填(ブースト)』、『呪法(アドン)逆残心(スペルビア)


所持アイテム:

『路竜の包帯服』ジタツニ、『竜鱗渇鼠の騎帽呪』ザリチュ、『陽憑きの錫杖呪』ネツミテ、『星憑きの玉輪呪』ドロシヒ、鑑定のルーペ、鼠毒の竜呪の歯短剣×2、毒頭尾の蜻蛉呪の毛皮袋、鼠毒の竜呪の埋葬袋、フェアリースケルズ、蜻蛉呪の望遠鏡etc.


所有ダンジョン

『ダマーヴァンド』:呪詛管理ツール、呪詛出納ツール、呪限無の石門、呪詛処理ツール、呪詛貯蓄ツール×5設置、『熱樹渇泥の呪界』・『入子屋敷の呪地』・『塩砂湖畔の呪地』接続済み


システム強化

呪怨台参式・呪詛の枝、BGM再生機能、回復の水-2、結界扉-2、セーフティ-2、長期保管用カプセル、『満腹の竜豆呪』ハオマ

▽▽▽▽▽

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― 新着の感想 ―
[一言] 本当に、見るなら見てもいいけどってレベルの地味さだなw
[気になる点] >最も古き大呪であり、虚無と終焉に通じるが、救いはない。 虚無と終焉の眷属…ハルキさんも遊びに来ていたし、Z→Aさんが何かしてても不思議じゃないですね。 にゃーにゃーいってるお嫁…
[一言] 次はー……掲示板、かな?
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