535:セパレートベーノドラゴン-9
「さて、確認しましょうか」
「でチュね」
さて、それでは得てしまった『魔物-活性』と『反魂-活性』の詳細を見てみようか。
△△△△△
『魔物-活性』
レベル:1
干渉力:100+発動者のレベル
CT:なし
トリガー:思考発動
効果:『七つの大呪』の一つ、『魔物』の呪いを活性化させる。
『魔物』の呪いとはこの世を為す七つの呪いの内の一つである。
形あるものも形なきものも関係なく、あらゆるものから正気を奪い取り、魅了をし、己の手足として自らの目的を達成させる為に生まれた呪い。
だがこの呪いは、全てが風化して滅びゆく世界にあって、自らが生き延びる為ならば如何なる手段を用いる事も躊躇わないと決めた者たちが生み出した色欲の呪いであり、己の想いを成し遂げられるのであれば、他の全てが穢れても問題はないと言う行き過ぎた純潔の想いでもある。
二番目の大呪であり、秩序と変化に通じるが、それ以上に孤独である。
▽▽▽▽▽
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『反魂-活性』
レベル:1
干渉力:100+発動者のレベル
CT:なし
トリガー:思考発動
効果:『七つの大呪』の一つ、『反魂』の呪いを活性化させる。
『反魂』の呪いとはこの世を為す七つの呪いの内の一つである。
死したものが生あるもののように振る舞い、演じ、かつてのままである事を示しつつも、生あるものたちを自分たちの側へと引き込まんとする呪い。
だがこの呪いは、全てが風化して滅びゆく世界にあって、他者を手足のように操り災禍を為すものたちへの対抗手段を求めた者たちが生み出した嫉妬の呪いであり、本来ならば去り行くだけのものとなったが、それでもなお残されたものたちを仲間として守らんとする行き過ぎた慈愛の感情でもある。
三番目の大呪であり、秩序と維持に通じるが、進歩からも背き続ける。
▽▽▽▽▽
「……」
「んー、どうなんでチュかね? これ?」
フレーバーテキストには割と重要な情報が入っている。
風化に対抗するために作られた魔物が二番目で、その魔物への対抗手段として反魂が三番目として作られたとか。
魔物の呪詛こそがモンスター出現の元凶であり、反魂の呪詛こそがアンデッド出現の元凶であるとか。
となれば仮称魔物の大呪を撃破すれば、誰彼構わず襲い掛かるようなモンスターの出現が抑えられるようになるとか、仮称反魂の大呪を撃破すればアンデッドの出現が止まるとかもありそうだ。
「単純な活用方法について論ずるなら、『魔物-活性』は分かり易いし、使い道はあるわ。そこら辺の動植物……いえ、鉱物、霊魂、自然現象、これら全てを自分の配下として操れる可能性がある訳だから」
「インスタントアーミー、とでも言えばいいんでチュかね?」
「そうなるわね。私の場合、『呪圏・薬壊れ毒と化す』もあるから、植物の魔物化あるいはカース化は容易だし、従えやすくもあると思うわ。無暗にやる気はないけど」
「なるほどでチュ」
では戦闘面での実利を見るなら?
『魔物-活性』は最近よくある手数不足の解消に使えるだろう。
相応に経験値を持っていかれるだろうが、一手の消費で十数手のアドバンテージを得られるならば、使う機会はあるはずだ。
「逆に『反魂-活性』は使い道に困るわね。死体を動かす以外の能はなさそうだし。死体を動かしたら、その死体から得られる素材が劣化しそうだし」
「ああ、それは確かに駄目でチュね。たるうぃがモンスターを狩る理由はだいたい素材目当てでチュから」
うーん、『反魂-活性』を死んだばかりのプレイヤーに使って、一時的な戦力にする?
いや、それは不老不死の方で防がれそうだ。
蘇生をするのであれば、『再誕-活性』の方を主体にした方が可能性がありそうだし。
要らない素材しか持たないモンスターを倒した後に、ゾンビ化させて一時的な戦力にする、これぐらいしか現状だと使い道が見えないか。
「でも生産には使えるでチュよね?」
「そうね。でもそれは『七つの大呪』全部に共通する事よ」
生産方面では正式取得する前から散々使っているので割愛。
「さて、称号の方ね」
「『七つの大呪に並ぶもの』、だったでチュね」
「ええそうよ。『七つの大呪を利する者』に上書きされたみたい」
では、称号の方を見てみるとしよう。
まあ、上書き称号なので、そんなに重要な情報はないだろう。
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『七つの大呪に並ぶもの』
効果:特定NPCとの友好度変化率上昇(中)、原始呪術のデメリット緩和、修正前の呪詛濃度が呪詛濃度5以下の空間でペナルティ発生。
条件:この世を為す七つの呪いの名前を知り、原始呪術を七つ以上習得する。
貴方はこの呪われた世界の根幹に存在する七つの大呪全てを知り、その力を行使するものとなった。
世界の深淵に足を踏み入れ、限りなき呪いの世界こそを己が世界として闊歩するようになったとも言える。
しかし、呪いの始まり、悪夢の始まり、宴の始まりを知る事はまだ叶っていない。
かつての文明が最後に望み、手中に収めようとしたものが何か、貴方はそれを知って選ぶべきだ。
いずれも選ばず、『七つの大呪』に並ぼうとしている貴方は八つ目の道を切り拓くことを求められる。
勿論、この件については同じ称号を得た者にしか告げてはいけない。
▽▽▽▽▽
「……」
「んー、たるうぃの『いずれも選ばなかったもの』ともリンクしている感じの内容でチュね」
あ、はい、重要情報と言うか、先々が示されましたね。
かつての文明が最後に望み、手中に収めようとした物かぁ……正直なところ、かつての文明と言うと、ヒトテシャが可愛く見えるレベルの糞っぷりを誇った文明と言う情報しかない訳で。
その文明が最後に望んだ物とか、はっきり言って碌でもない気配しかしない。
それこそ、迂闊に手を出したら、世界が滅亡するような物ではないだろうか?
追いつめられると自暴自棄になってやらかす人間はそれなりに居ると相場が決まっているし。
「ま、このルートの先はたぶん『虹霓鏡宮の呪界』の最深部でしょうね」
「その心はなんでチュか?」
「あそこが私の知る限り、最も安全かつ確実に呪限無の深部に続いているであろう場所だから。ま、攻略できるのはまだまだ先なわけだけどね」
「でチュかぁ」
とりあえず確認事項はこれで終わり。
今日のところはログアウトするとしよう。
明日は……劣化版ヒトテシャに挑んでみようか。
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『虹霓竜瞳の不老不死呪』・タル レベル34
HP:2,792/3,990 (-1197)
満腹度:104/150 (-45)
干渉力:133
異形度:26
不老不死、虫の翅×6、増えた目×11、空中浮遊、呪圏・薬壊れ毒と化す、遍在する内臓、劣竜式呪詛構造体(劣竜血、劣竜骨髄、劣竜肉、劣竜瞳、劣竜皮)
称号:『呪限無の落とし子』、『生食初心者』、『ゲテモノ食い・3』、『毒を食らわば皿まで・3』、『鉄の胃袋・3』、『暴飲暴食・3』、『大飯食らい・2』、『呪物初生産』、『呪術初習得』、『呪法初習得』、『毒の王』、『灼熱の達人』、『沈黙の名手』、『出血の達人』、『淀縛使い』、『恐怖の名手』、『小人使い』、『暗闇使い』、『乾燥使い』、『魅了使い』、『重力使い(増)』、『石化使い』、『呪いが足りない』、『かくれんぼ・1』、『ダンジョンの創造主』、『意志ある道具』、『称号を持つ道具』、『超克の呪い人』、『1stナイトメアメダル-3位』、『2ndナイトメアメダル-1位』、『3rdナイトメアメダル-赤』、『七つの大呪に並ぶもの』、『邪眼術士』、『呪い狩りの呪人』、『竜狩りの呪人』、『呪いを支配するもの』、『偽神呪との邂逅者』、『呪限無を行き来するもの』、『砂漠侵入許可証』、『火山侵入許可証』、『虹霓竜瞳の不老不死呪』、『生ける呪い』、『雪山侵入許可証』、『海侵入許可証』、『いずれも選ばなかったもの』、『呪海渡りの呪人』、『泡沫の世界の探索者』
呪術・邪眼術:
『毒の邪眼・3』、『灼熱の邪眼・2』、『気絶の邪眼・2』、『沈黙の邪眼・2』、『出血の邪眼・2』、『小人の邪眼・2』、『淀縛の邪眼・1』、『恐怖の邪眼・3』、『飢渇の邪眼・2』、『暗闇の邪眼・2』、『魅了の邪眼・1』、『石化の邪眼・1』、『重石の邪眼・2』、『禁忌・虹色の狂眼』
呪術・原始呪術:
『不老不死-活性』、『不老不死-抑制』、『風化-活性』、『転写-活性』、『蠱毒-活性』、『再誕-活性』、『魔物-活性』、『反魂-活性』
呪術・渇砂操作術-ザリチュ:
『取り込みの砂』、『眼球』、『腕』、『鼠』、『化身』、『禁忌・虹色の狂創』
呪術-ネツミテ:
『太陽の呪い』、『熱波の呪い』、『埋葬の鎖』
呪術-ドロシヒ:
『虚像の呪い』、『貯蓄の呪い』
呪法:
『呪法・増幅剣』、『呪法・感染蔓』、『呪法・貫通槍』、『呪法・方違詠唱』、『呪法・破壊星』、『呪法・呪宣言』、『呪法・極彩円』、『呪法・呪晶装填』、『呪法・逆残心』
所持アイテム:
『路竜の包帯服』ジタツニ、『竜鱗渇鼠の騎帽呪』ザリチュ、『陽憑きの錫杖呪』ネツミテ、『星憑きの玉輪呪』ドロシヒ、鑑定のルーペ、鼠毒の竜呪の歯短剣×2、毒頭尾の蜻蛉呪の毛皮袋、鼠毒の竜呪の埋葬袋、フェアリースケルズ、蜻蛉呪の望遠鏡etc.
所有ダンジョン
『ダマーヴァンド』:呪詛管理ツール、呪詛出納ツール、呪限無の石門、呪詛処理ツール、呪詛貯蓄ツール×5設置
システム強化
呪怨台参式・呪詛の枝、BGM再生機能、回復の水-2、結界扉-2、セーフティ-2、長期保管用カプセル、『満腹の竜豆呪』ハオマ
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