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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
8章:『悲しみ凍る・怒り飲み込む呪地』

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506:ギフトキャンディ-1

「タル! こっちよ!」

「おっ、ようやく見つけられたわ。ザリア」

「時間がかかったでチュねぇ」

 『怒り呑む捨て場の呪地』に移動してから1時間。

 私はようやくザリアたち……ザリアといつもの面々のパーティと合流することが出来た。


「広いマップはこういう時に不便ね。まさかお互いを見つけるのに1時間もかかるとは思わなかったわ」

「本当ね。まあ、此処の場合、マップがループしているのも原因だと思うけど」

 時間がかかった原因は言うまでなく『怒り呑む捨て場の呪地』がとにかく広いから。

 そう、ヒトテシャの戦闘スタイルが、あのバカでかい体でありながらマップ中を走り回るものであるためか、『怒り呑む捨て場の呪地』はとにかく広い。

 検証班曰く、ループになっているので正確な広さは分かりづらいが、少なくとも直径20キロメートルの正円よりは広い空間が広がっているらしい。

 そこに溶岩の川が流れ、湖が広がっており、移動の難易度を上げているのだから、現地集合の難易度は推して知るべきだろう。

 なお、ヒトテシャ自身は溶岩の川も湖も完全に無視する。


「さて、早速本題に入りましょうか。タルが面白いアイテムを手に入れて、それがヒトテシャ対策に使えるかもしれないって話だったけど……」

「ええ、これがそうよ」

「鑑定をしても?」

「勿論」

 私はザリアに大きな硫黄の火の残り火を見せ、ザリアはそれを鑑定してみる。


「へぇ……これは確かに面白そうね……」

 そして、その有用性を理解したらしい。

 笑みを浮かべている。


「ありがたく使わせてもらうわ」

「有効活用してもらえると助かるわ」

「そうね。使い道は幾らでもあるでしょうけど、きちんと考えて使う必要がありそうだから、他のプレイヤーと相談をして、有効活用させてもらうわ」

 大きな硫黄の火の残り火はプレイヤーだけでなく物にも使える。

 なので、上手く使えばヒトテシャの動きを止める事にも使える事だろう。


「そう言えば、タルさん。巨人の状態異常と小人の状態異常が一緒に発動した場合ってどうなるのでしょうか?」

「あー、試した覚えはないわね。ちょっとこの場で試してみましょうか」

 と、未検証事項の話がシロホワから出てきた。

 ちょっと試してみよう。

 ちなみにヒトテシャは地平線の向こうに居るようなので、何かがあってもまあ大丈夫だろう。


「よっと」

 私は左手に大きな硫黄の火の残り火、右手に小さな硫黄の火の残り火を持ち、両方同時に握り潰して炎を浴びる。

 表示された状態異常は小人(50)と巨人(50)。

 私の体のサイズは変わっていない。


「打ち消し合う……ん?」

「どんどん小さくなっているわね……」

 と、思っていたら、私の体のサイズが徐々に縮んでいく。

 状態異常の表示を見ていたら、小人のスタック値が10秒につき1減るのに対して、巨人のスタック値は1秒につき1ずつ減っている。


「あー、巨人と小人は打ち消し合う。けれど、巨人は状態異常と言うよりバフの一種で、しかも有用性が高いから、効果時間も短い。と言うところかしら」

「なるほどね。そうなると、使うタイミングは本当によく考えた方がいいわね」

「おおっ、色んな意味で絶景……うべしっ!?」

「スルーで」

「……」

「馬鹿兄ぇ……」

 念のためにザリアに大きな硫黄の火の残り火を一つ使ってもらう。

 するとザリアの体がマントデア並の巨体になった後、直ぐに縮み始める。

 なお、鼻の下を伸ばしていたブラクロは、巨人化したザリアの攻撃力強化検証の相手として蹴り飛ばされた。


「……」

「どうかしたの? タル」

「いえ、何でもないわ」

 それにしてもだ。

 『入子屋敷の呪地』では巨人の状態異常のスタック値が減るペースは小人と変わらなかった。

 だからこそ化身ゴーレムは巨人状態で運用できていた。

 しかし、この仕様は『入子屋敷の呪地』の方に仕掛けがあったからこそであったらしい。

 今現在の巨人の状態異常のスタック値が減るペースが早いのは、そういう事だ。

 まあ、私以外には関係のない事柄なので、黙っておこう。

 それに、この仕様があれば、少々面白いことが出来そうだ。


「で、タルは本当にヒトテシャに挑む気はないのよね?」

「ないわね。呪術反射をどうにかする手段が見つかれば挑んでもいいけれど、そうでなければ挑んでも反射された自分の呪術で消し飛ぶだけだもの。そういう訳だから、オリジナルの討伐はザリアたちに任せるわ」

「分かったわ」

 ヒトテシャの討伐は当初の予定通り、ザリアたちに任せる。

 聞いた話では明日日曜日、9月1日にヒトテシャ討伐の第一陣になるとの事。

 ただ、超大型ボスの戦闘能力を考えると、此処は威力偵察になる可能性が高い。

 その後も検証を重ねつつ戦うので、討伐の本命は9月6日金曜日あたりになりそうだ。


「そう言えばシロホワあたりって、そろそろ夏休みが……」

「終わりますね。なので、これからはプレイ時間とかが合わなくなるかもしれません。タルさんたち大学生の方はもう少しあるんでしたっけ?」

「ええ、後2週間くらいよ。とは言え、そろそろペースダウンして慣れさせないといけない時期に入ってくるわね」

 なお、本日は2019年8月31日、高校生にとっては実質夏休み最終日と言ってもいいだろう。


「さて、渡すものは渡したから、私はこれで失礼させてもらうわ。ザリア、健闘を祈ってるわ」

「ええ、頑張らせてもらうわ」

 私はザリアたちと別れると、『ダマーヴァンド』に向かった。

 そして、とあるアイテムの回収を始めた。

流石に外で簡単に巨大化されるとバランスが崩れるので、調整されています。

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― 新着の感想 ―
[一言] ≫カでかい体でありながらマップ中を走り回るもの これだけでももう強い フィールドに溶岩があってプレイヤーは入れないのに敵(火弱点ですら)はノーダメとかたまにあって困る そこで死なれるとドロ…
[一言] 黒白兄妹、ゲーム前後で妹からみた兄の評価がだだ下がりしてない?大丈夫? それとも仲は良いけど評価は元から低い?
[一言] 足の甲に目をつけるのは必須項目…? いやよく考えたら相手の見た目異形だったわ 聖女様のとこ行こ
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