505:マトリョーシカハウス-9
「「「ア、ア、ア……」」」
「ふぅ。ようやく出てくれたわね」
「色んな意味で酷い戦いだったでチュ……」
原始呪術『再誕-活性』による強制リポップを駆使して戦い続ける事およそ三時間。
入子の炎呪を倒した回数は15回。
入子の炎呪のコランダムは4個手に入り、元から持っていたもの含めて5個手にすることが出来た。
「で、いいんでチュか? たるうぃ」
「いいって何が?」
「『七つの大呪』を活性化させる原始呪術を新たに習得したことでチュよ。問題ないんでチュか?」
「ああ、その事」
問題か……まあ、無いわけではない。
私は手に入れた入子の炎呪のコランダムを机の上に置き、見比べてみる。
すると、オリジナルの入子の炎呪が落としたコランダムの輝きが、やはり一番良いと感じる。
込められている呪いの質と量も、宝石自体の輝きも、一段上のように感じる。
どうやら『再誕-活性』による強制リポップでは、手に入るアイテムの質が一段落ちてしまうようだ。
普段の『CNP』と違って、確定ドロップともいかなくなるようだし、この辺は『再誕-活性』のデメリットと言っていいだろう。
「再誕の呪詛からの干渉についてはされている感じがないから大丈夫よ。まあ、こっちは払う物を払って活性化させているんだし、向こうだってそれが分かっているから、迂闊な事はしてこないわ」
「だといいんでチュがねぇ……」
『再誕-活性』には他にもデメリットがある。
強制リポップにはDCの消費があるし、強制リポップさせた入子の炎呪から経験値が得られた感じもなかった。
つまり、『再誕-活性』を強制リポップに使っていると、目的のアイテムが手に入るかは運任せなのに、DCはガンガン削られていくという事だ。
当然、強制リポップさせた相手に負ければ相応のデメリットもあるだろうし……まあ、中々に厄介ではある。
「心配性ね。『蠱毒-活性』を得てしまった時点で、原始呪術を少しずつ習得しようという目論見は崩れたんだから、それなら手を広げて、睨み合いの状況に持ち込んだ方が制御しやすいわ」
「睨み合いってなんでチュか。睨み合いって……」
「先んじて私に何かを仕掛けようとしたら、先んじた奴が損する。そんな状況と言う事よ」
ちなみに『再誕-活性』の効果はこんな感じだった。
△△△△△
『再誕-活性』
レベル:1
干渉力:100+発動者のレベル
CT:なし
トリガー:思考発動
効果:『七つの大呪』の一つ、『再誕』の呪いを活性化させる。
『再誕』の呪いとはこの世を為す七つの呪いの内の一つである。
濃い呪詛が漂う地で活動を終えたものの情報を読み取り、再びこの世に生み出す呪いであり、月日を重ねなければ生み出せぬものを素早く世に送り出す。
だがこの呪いは、肉体を失ってもなおこの世を呪い続ける者たちを招き、力を与え、災いを招きかねない憤怒の呪いであり、彼らの怒りを尤もなものであるとして、好きに動く事を認める事で増長もさせる、行き過ぎた寛容を含むものでもある。
五番目の大呪であり、混沌と維持に通じるが、先駆することは出来ない。
▽▽▽▽▽
「……」
「どうしたでチュか?」
それにしてもこれで五つ目の大呪か。
折角だし、一度『七つの大呪』についてまとめておくか。
「ちょっと考え事と言うか、整理ね」
『七つの大呪』はその名の通り、七つある。
そして、七つの呪い全てが『CNP』と言う世界の根底に近い部分にあって、世界全体に影響を与えている。
フレーバーテキストを読み取る限りだと……
「最初は風化」
一番目の大呪は風化。
今の世界の状況の元凶……と言うよりは道具に近いかしらね。
本当の元凶は崩壊前の社会に住んでいた人間だろうから。
対応する大罪は暴食。
「二番目と三番目は魔物と反魂」
二番目と三番目の大呪は魔物と反魂。
未修得なので発生順番含めて詳細は不明だが、他の大呪との兼ね合いを考えたら、モンスターの発生とアンデッドの発生に関わる大呪だろう。
対応する大罪も兼ね合いを考えれば、色欲と嫉妬になるだろう。
まあ、たぶんだが、この二つは習得しないだろう。
「四番目は転写」
四番目の大呪は転写。
アイテム作成に繋がる呪いだと思う。
となると呪怨台は転写の呪詛の端末と言う事になりそうだが……『鑑定のルーペ』を考えると、転写を部下にしている呪怨台担当の偽神呪が居る、の方がしっくりする感じもある。
後、ゴーレムもこいつの関係かもしれない。
対応する大罪は強欲。
「五番目は再誕」
五番目の大呪は再誕。
モンスターのリポップに関係する呪いだ。
ただ、再誕したモンスターにしろ、ゴーレムにしろ、ゾンビにしろ、存在の安定化と言うか、経験値やドロップ品を得られるようになるには相応の時間がかかるようで、活性化はその辺を犠牲にして無理やり復活させているっぽい。
なので、活性化は時短にしかならないと。
対応する大罪は憤怒。
「六番目は蠱毒」
六番目の大呪は蠱毒。
経験値の取得に関係する呪いであり、私のレベルが上がりづらい原因はこいつとの相性の悪さもあるのではないだろうか。
まあ、急激なレベルアップには相応のデメリットもあるようなので、自分の器に合わせてレベルアップした方がいいだろう。
それが正しい勤勉さと言うものだ。
対応する大罪は怠惰。
「最後は不老不死」
七番目の大呪は不老不死。
プレイヤー全員が持つ呪いであり、プレイヤーをプレイヤー足らしめている呪いでもある。
呪いの中心はほぼ間違いなく聖女ハルワであり、デンプレロの時に見えたアレが不老不死の呪詛だろう。
対応する大罪は傲慢。
「そう言えば虚飾はないのね。それとダンジョンに関係する呪いも」
「言われてみればないでチュねぇ……」
まあ、虚飾は傲慢の一部として認識されている事が多いから仕方がないか。
だが、ダンジョンに関係する呪いがないのはどういう事だろうか?
んー……ダンジョンは明らかに次元を捻じ曲げているし、規模と強度の都合上、大呪ではなく偽神呪の領域なのかもしれない。
いや、そもそもとしてダンジョンと言うのはどういう場所だ?
呪詛がかなり濃い場所で、その濃さの為に次元がねじ曲がって……呪詛濃度が恒常的に20を超えると呪限無と化して……駄目だ、考え過ぎると深みに嵌まりそうだ。
情報不足だし、いったん保留しておこう。
「とりあえず不必要なアイテムを置いて、ザリアたちのところに行きましょうか」
「でチュか」
私は大きな硫黄の火の残り火を持って、『怒り呑む捨て場の呪地』へと向かった。
△△△△△
『虹霓瞳の不老不死呪』・タル レベル32
HP:525/1,310 (-393)
満腹度:38/150 (-45)
干渉力:131
異形度:21
不老不死、虫の翅×6、増えた目×11、空中浮遊、呪圏・薬壊れ毒と化す、遍在する内臓
称号:『呪限無の落とし子』、『生食初心者』、『ゲテモノ食い・3』、『毒を食らわば皿まで・3』、『鉄の胃袋・3』、『暴飲暴食・3』、『大飯食らい・2』、『呪物初生産』、『呪術初習得』、『呪法初習得』、『毒の王』、『灼熱の達人』、『沈黙の名手』、『出血の達人』、『淀縛使い』、『恐怖の名手』、『小人使い』、『暗闇使い』、『乾燥使い』、『魅了使い』、『重力使い(増)』、『石化使い』、『呪いが足りない』、『かくれんぼ・1』、『ダンジョンの創造主』、『意志ある道具』、『称号を持つ道具』、『超克の呪い人』、『1stナイトメアメダル-3位』、『2ndナイトメアメダル-1位』、『3rdナイトメアメダル-赤』、『七つの大呪を利する者』、『邪眼術士』、『呪い狩りの呪人』、『竜狩りの呪人』、『呪いを支配するもの』、『偽神呪との邂逅者』、『呪限無を行き来するもの』、『砂漠侵入許可証』、『火山侵入許可証』、『虹霓瞳の不老不死呪』、『生ける呪い』、『雪山侵入許可証』、『海侵入許可証』、『いずれも選ばなかったもの』、『呪海渡りの呪人』、『泡沫の世界の探索者』
呪術・邪眼術:
『毒の邪眼・3』、『灼熱の邪眼・2』、『気絶の邪眼・2』、『沈黙の邪眼・2』、『出血の邪眼・2』、『小人の邪眼・1』、『淀縛の邪眼・1』、『恐怖の邪眼・3』、『飢渇の邪眼・1』、『暗闇の邪眼・2』、『魅了の邪眼・1』、『石化の邪眼・1』、『重石の邪眼・2』、『禁忌・虹色の狂眼』
呪術・原始呪術:
『不老不死-活性』、『不老不死-抑制』、『風化-活性』、『転写-活性』、『蠱毒-活性』、『再誕-活性』
呪術・渇砂操作術-ザリチュ:
『取り込みの砂』、『眼球』、『腕』、『鼠』、『化身』、『禁忌・虹色の狂創』
呪術-ネツミテ:
『太陽の呪い』、『熱波の呪い』
呪法:
『呪法・増幅剣』、『呪法・感染蔓』、『呪法・貫通槍』、『呪法・方違詠唱』、『呪法・破壊星』、『呪法・呪宣言』、『呪法・極彩円』、『呪法・呪晶装填』、『呪法・逆残心』
所持アイテム:
『路竜の包帯服』ジタツニ、『渇鼠の騎帽呪』ザリチュ、『陽憑きの錫杖呪』ネツミテ、『呪山に通じる四輪』ドロシヒ、鑑定のルーペ、毒頭尾の蜻蛉呪の歯短剣×2、喉枯れの縛蔓呪のチョーカー、毒頭尾の蜻蛉呪の毛皮袋、フェアリースケルズ、蜻蛉呪の望遠鏡etc.
所有ダンジョン
『ダマーヴァンド』:呪詛管理ツール、呪詛出納ツール、呪限無の石門、呪詛処理ツール、呪詛貯蓄ツール×5設置
システム強化
呪怨台参式・呪詛の枝、BGM再生機能、回復の水-2、結界扉-2、セーフティ-2、長期保管用カプセル
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