499:マトリョーシカハウス-3
△△△△△
玩具の部屋
レベル:1
耐久度:100/100
干渉力:100
浸食率:100/100
異形度:10
1/100スケールで製作された、極めて精巧な部屋の模型。
この部屋は君が居る部屋であり、部屋の外に広がる部屋であり、部屋の外の外に広がる部屋でもある。
▽▽▽▽▽
「ふむふむ」
玩具の屋敷ではなく部屋だったか。
で、やはりそういう仕掛けになっていそうだ。
「試すわよ」
「分かったでチュ」
では推測を確定するために、試しに動かしてみよう。
私は玩具の部屋に置かれている椅子を少しだけ動かしてみる。
「おおっ」
「面白いでチュねぇ」
すると私たちが居る部屋の同じ位置にあった椅子も動く。
だけでなく、部屋の外で二つ……大きな物と、恐ろしく大きな物が動いた音がした。
やはり玩具の部屋、小人サイズの部屋、普通サイズの部屋、巨人サイズの部屋、この四つの部屋にある家具は連動して動くようだ。
「じゃ、部屋の外に行きましょうか」
「分かったでチュ」
私は小人サイズの部屋のドアを開ける。
連動して他のサイズの部屋のドアも開く。
そして部屋の外に出て、安全であろう場所に移動したところで小人の状態異常を解除する。
「暖炉の中に穴はないでチュね」
「それ以前にこの暖炉の火は普通の火ね。特殊な能力はないみたい」
普通サイズの部屋と小人サイズの部屋の差は、暖炉の僅かな差ぐらいである。
それはモンスターにも適用される。
「「「ーーーーー!」」」
「サイズ以外は一緒っぽいわねぇ」
「でチュねぇ」
と言う訳で、小人サイズの部屋と同じように、青い火が部屋の四隅に現れて戦闘に突入する。
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揺らめく硫黄の火 レベル30
HP:6,857/6,857
有効:石化
耐性:毒、灼熱、出血、小人、乾燥、魅了
▽▽▽▽▽
「「「ーーー……」」」
「はい、終了っと」
「まあ、そうなるでチュよね」
戦闘内容については割愛。
こちらが通常サイズで、あちらも通常サイズなら、先ほどの焼き直しにしかならない。
△△△△△
揺らめく硫黄の火の残り火
レベル:28
耐久度:100/100
干渉力:125
浸食率:100/100
異形度:11
揺らめく硫黄の火の残り火を内包した球体。
青と黄色の格子模様が特徴的な球体を割ると火が噴き出し、触れたものに灼熱と悪臭の状態異常を付与する。
なお、球体そのものは飴に近い素材である。
▽▽▽▽▽
「『灼熱の邪眼・2』の強化にも使えるかもしれないわね」
「悪臭の状態異常が付くかもでチュけどね」
揺らめく硫黄の火の残り火のサイズは、3から4センチ程度の球体だった。
このままだと素材か種火ぐらいにしか使い道はなさそうだが、まあ、問題はない。
「はい、この調子で巨人サイズも行くわよ」
「分かったでチュー」
アイテムの回収と確認、幾らかの休憩を終えたところで、続けて巨人サイズの部屋に突入。
そちらでも同様に青い火が現れて襲い掛かってきた。
こちらが通常サイズで、相手が巨人サイズなので少々苦戦させられたが、既に三回目の戦闘である。
さくっと倒した。
なお、モンスターとアイテムの鑑定結果はこんな感じ。
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大きな硫黄の火 レベル30
HP:12,876/12,876
有効:石化
耐性:毒、灼熱、出血、小人、乾燥、魅了
▽▽▽▽▽
△△△△△
大きな硫黄の火の残り火
レベル:28
耐久度:100/100
干渉力:125
浸食率:100/100
異形度:12
大きな硫黄の火の残り火を内包した球体。
青と黄色の縞模様が特徴的な球体を割ると火が噴き出し、触れたものに巨人の状態異常を付与する。
なお、球体そのものは飴に近い素材である。
▽▽▽▽▽
「大きな硫黄の火の残り火は攻略上、重要なアイテムになるかもしれないわね」
「そうでチュね。巨人化すれば、大きな硫黄の火が相手でも普通に戦って倒せるでチュ」
大きな硫黄の残り火のサイズは5センチ程。
小人サイズで割るのは難しいが、今の私のサイズなら問題なく割れるだろう。
「で、これで巨人化の邪眼とかは作るんでチュか?」
「作らないわよ。これ以上邪眼の種類を増やすなと言われてるし。そもそも巨人の邪眼とか、小人以上に弱体化と言うイメージを持てないわ。使えれば便利なのは認めるけど」
「でチュかぁ」
まあ、戦闘能力の都合上、私自身が使うよりは、化身ゴーレムに使わせた方がいいだろう。
私が巨大化しても火力も耐久もほとんど増えないが、化身ゴーレムが巨大化すれば、出来る事は多い。
そんなわけで私は大きな硫黄の残り火を化身ゴーレムに持たせる。
「ざりちゅに使えるんでチュかね?」
「入り口にあった小さな呪いの火による小人の状態異常は通ったわけだし、たぶん通ると思うわよ。ま、物は試しよ」
「それもそうでチュね」
化身ゴーレムが大きな硫黄の火の残り火を口の中に入れ、歯で噛み砕く。
すると縞模様の球体から青と黄色の火が勢いよく吹き出し、化身ゴーレムの全身を包み込む。
そして炎は大きくなっていき……元の化身ゴーレムの5倍ほどのサイズになったところで、炎が弾けて、中から5倍の大きさになった化身ゴーレムが姿を現わす。
「おおっ、これはすごいでチュねぇ……」
「マントデア並みのサイズになったわねぇ……」
受けた状態異常は巨人(50)。
どうやら完全に小人の状態異常の逆バージョンのようだ。
なお、呪いによるためか、あるいは便利さ優先なのか、挙動に違和感はなく、声が低くなるような事もないようだ。
まあ、なられても困るので、気にしないでおこう。
「じゃ、他の部屋を探索してみましょうか」
「分かったでチュ」
状態異常の効果時間維持と縮小対策も兼ねて、化身ゴーレムは大きな硫黄の火の残り火をさらに二つ使用。
巨人(150)の状態異常によって、元のサイズの10倍になる。
スタック値が100で一区切りになるのは、小人と一緒らしい。
では出発。
と言う訳で、私は化身ゴーレムの頭に昇ると、化身ゴーレムは身長16メートルと化した巨体で部屋の外に向けて歩き出した。
04/17誤字訂正