493:シベイフミクアフター-2
「案外強化されたわねぇ」
『でっチュねぇ』
さて、シベイフミク・クカンカの素材によるシステム面の強化だが、だいたいの素材では名称変化が起きない範囲で、色々と強化は出来た。
まず葉と蔓によってエアコン機能が強化され、零下50度まで対応、湿度についても0%から50%の範囲で弄れるようになった。
根は呪怨台の微強化、花弁と蜜は詳細不明だが何かしらの強化、氷は回復の水の質上昇、種は回復の水を冷水に切り替えられるようになった。
なお、氷による回復の水の強化に伴って、フェアリースケルズも少し強化されている。
ほぼ誤差だが。
△△△△△
フェアリースケルズ
レベル:19
耐久度:100/100
干渉力:110
浸食率:100/100
異形度:16
回復の水が染み込んだ粉塵が入った袋。
中身を振りかけるか、飲むかして使用する。
容量はHPにして8,000ポイント分あり、回復の水が湧き出している場所に近づくと自動補給される。
所有者が袋に触れない限り、中身が出てくることは無い。
注意:回復したHP量に応じた毒を付与する。
▽▽▽▽▽
「カプセルが便利そうね」
『燃費は悪そうでチュけどね』
今回の目玉はカプセルによる強化だろうか。
冷蔵庫、冷凍庫とは別に、保管庫として円筒形の高さ2メートル、直径0.5メートルほどのカプセルが、壁の中に半分以上埋め込まれる形で設置された。
△△△△△
長期保管用カプセル
レベル:30
耐久度:100/100
干渉力:130
浸食率:100/100
異形度:10
中に入れたものの長期保管を行えるカプセル。
中に入れたものは物理的、呪術的な変化が停止し、入れた時の状態を保ち続ける。
注意:停止中は1秒ごとに1のDCを消費する。
▽▽▽▽▽
「でもこれでカースの心臓の保管も出来ると思うのよね。容量的に切り刻んでからになりそうだけど」
『まあ、それはそうでチュね』
使い道は色々とあるだろうが……一番はやはり、カースの復活部位を復活を阻止しつつ、劣化もさせずに、保管する事だろう。
DCの消費は痛いが、それでも私ならリアル時間で1日くらいは保管できるはずだから、覚えておいて損はない。
『さて、これからどうするでチュか?』
「そうねぇ……とりあえずデンプレロとズワムの肉を使って、合い挽きハンバーグでも作ろうかしら」
『いや、何でそうなるんでチュか……』
「何となく? 結局食べる機会を逸しているのよね……あ、ステーキも作っておきましょうか」
『まあ、たるうぃならそのまま食べても大丈夫でチュから、問題はないでチュか』
と言う訳で、さくっと料理を作って食べる。
デンプレロの肉は甲殻類繋がりか、エビやカニっぽい感じがどことなくある感じ。
なお、安いエビやカニではなく、高級なエビやカニだ。
ズワムは……初めて食べる味だ。
適度な柔らかさと弾力を持ち、噛めば噛むほど旨味が出て来るのだが、豚、牛、鶏とは違う感じの旨味がある。
うーん、不思議な感じの味がある。
「さて、食べながらでいいから、今後について考えましょうか」
『でチュか』
では、改めて今後について考えるとしよう。
どちらの肉もたっぷりあるので、ゆっくりと味わいながら、考えるには考えていこう。
「ヒトテシャ対策については、私は呪術反射の攻略を考えましょう。ギミックはあるだろうけど、どうせ今後も使う相手は出て来るでしょうし」
『まあそうでチュね』
とは言え、ヒトテシャについてはザリアたちの到着待ちの面もあるので、暫く放置でもある。
「海方面の第三マップについては検証班からの報告待ち」
『それでいいと思うでチュ』
「『理法揺凝の呪海』経由で第三マップに行けるか試してみてもいいけど、それはやる事をまとめ終わってからで十分ね」
『そう言えば試していなかったでチュね』
海方向は待ち。
『理法揺凝の呪海』の方はこの後さくっと調べてくればいい。
「もぐもぐ。問題は呪術の強化ね……」
『今の手持ちを参の位階に上げるんでチュよね』
「ええ。それは確定事項よ。問題はどうやって上げるかね」
今の私が持っている邪眼術は、『毒の邪眼・3』、『灼熱の邪眼・2』、『気絶の邪眼・2』、『沈黙の邪眼・2』、『出血の邪眼・2』、『小人の邪眼・1』、『淀縛の邪眼・1』、『恐怖の邪眼・3』、『飢渇の邪眼・1』、『暗闇の邪眼・2』、『魅了の邪眼・1』、『石化の邪眼・1』、『重石の邪眼・2』、『禁忌・虹色の狂眼』の計14種類。
この内、『毒の邪眼・3』と『禁忌・虹色の狂眼』については強化の必要なし。
前者は既に強化済みだし、後者は私の手に負えるものではないからだ。
「んー……」
『灼熱の邪眼・2』は熱拍の樹呪の果実とヒトテシャの素材があれば、たぶんいける。
『気絶の邪眼・2』は乾電の鰻呪とデンプレロの紋章殻……だけでは、乾電の鰻呪のスペック的に厳しいか。
『沈黙の邪眼・2』はズワムの声帯が使えそうだが、これだけでは駄目だろう。
『出血の邪眼・2』は手掛かりなし。
『小人の邪眼・1』も手掛かりなしだが、まだ1なので、適当な素材が見つかれば2に上げるのは簡単だろう。
『淀縛の邪眼・1』は……効果の強力さからして、色々な素材を組み合わせる必要はあると思う。
『恐怖の邪眼・3』は既に3だが、伏呪を付けたいので強化候補であり、シベイフミクの花弁とカロエ・シマイルナムンの声帯に加えて何かがあれば行けるだろう。
『飢渇の邪眼・1』は乾燥関係の素材が見つからないと無理。
『暗闇の邪眼・2』もほぼ同様。
『魅了の邪眼・1』も同じ。
『石化の邪眼・1』は……石化関係の素材が『琥珀化の蜂蜜呪』ムミネウシンム以外で見つかっていない現状でどうしろと、という感じ。
『重石の邪眼・2』は素材の発見必須。
「普段からよく使っている邪眼術の強化は比較的簡単そうだけど、そうじゃない邪眼術はやっぱり厳しそうね……」
『泡沫の世界ガチャを始めるでチュか?』
「場合によってはそれも必要かもしれないわね。小人の状態異常とか、掲示板で調べても、『ダマーヴァンド』以外の入手先が載っていない状況だし」
『始まるんでチュかぁ……』
分かってはいたが、先は案外長そうである。
まあ、他の諸々ついでに素材を集めて、地道にこなしていくしかない。
「ごちそうさまでした。とりあえず『理法揺凝の呪海』経由で第三マップに行けるか試してみましょうか」
『分かったでチュ』
と言う訳で、食事の後片付けを終えた私は、『理法揺凝の呪海』へと移動した。
04/11誤字訂正