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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
8章:『悲しみ凍る・怒り飲み込む呪地』

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492/1000

492:シベイフミクアフター-1

「タスクがスタックして助く(たすく)て欲しい感じね」

『下手な洒落はやめなシャレ。と、返した方がいいでチュか? とりあえずお疲れなのは理解したでチュ』

 さて水曜日である。

 とりあえずいつもの作業をしつつ、掲示板に書かれていた私に対する質問への返答をしていく。

 具体的には私が目撃したヒトテシャの行動や、何故私との相性が悪いかだ。


「まあ、実際かなり疲れていると言うか、お悩み中なのは否定できないわね。ヒトテシャの呪術反射は私にとっては天敵でしかないわ」

『放たれた呪術を確率で反射するなら、一発反射された時点で死亡確定。放たれた呪術の一部を割合で反射するなら、その一部でも十分すぎる火力があるから死亡確定。どっちでもどうにもならないでチュねぇ』

「と言う訳で、弱体化ギミックなり、反射を回避する手段なりが手に入らない限りは、私はヒトテシャ戦では足手まといにしかならない。反射で死ぬ前提で組み込めるほど相性がいいとも言えないし、悔しいけど不参加も手でしょうね」

『まあ、あの糞牛と戦わずに済むのはざりちゅ的にはありだと思うでチュ。一発も攻撃を受けたくない相手でチュから』

 『理法揺凝の呪海』から見て、『怒り呑む捨て場の呪地』の状態も確認。

 『怒り呑む捨て場の呪地』、聖女様の五寸釘、これらを監視する眼球ゴーレム、いずれも問題なしである。

 この分なら、数日は放置しておいても大丈夫だろう。


「ま、ザリアたちが動いているようだし、イベント前に討伐出来ればいいんじゃないかしら。『ユーマバッグ帝国』対策も同時に進めるとなると、間に合うか怪しいところはあるけど」

『最悪、『ダマーヴァンド』の出張ダンジョンを作ってもいいんじゃないでチュか?』

「それも一つの手かもしれないわね」

 では、ヒトテシャについては暫く放置で決定。

 他にやるべき事をやっていこう。


「今回は最初に問題児から確認しましょうか」

『でチュか』

 では、まずはヒトテシャとの戦闘と言うか、『ユーマバッグ帝国』の軍人が持っていた道具を破壊する際に習得してしまった原始呪術『蠱毒-活性』の確認をする。



△△△△△

『蠱毒-活性』

レベル:1

干渉力:100+発動者のレベル

CT:なし

トリガー:思考発動

効果:『七つの大呪』の一つ、『蠱毒』の呪いを活性化させる。


『蠱毒』の呪いとはこの世を為す七つの呪いの内の一つである。

呪いを奪い取る呪いであり、傷つけ、屈服させたものから呪いを剥ぎ取り、己の一部とし、より効率よく呪いを扱えるようにする。

だがこの呪いは、より強い力を得るために己の中で練り上げる事を諦め、他人の成果を奪い取り己の成果だと誇る怠惰の呪いであり、取り込んだ呪いに侵されて本来の己を見失い暴走する可能性を秘めた、行き過ぎた勤勉とも取れるものである。

六番目の大呪であり、混沌と変化に通じるが、秩序には縁遠い。

▽▽▽▽▽



「……。ま、使い方については何となく分かるわ」

『そうなんでチュか?』

「ええ。他の原始呪術よりも経験値へのペナルティは重そうだけど……フレーバーテキストを見ると、むしろ幸いなのかもしれないわね」

 使い方については昨日のアレが、たぶん一番正当な使い方だ。

 ダメージを与える、生物の殺害、物体の破壊などによって生じた、本来ならば経験値として私に吸収される呪詛をそのまま攻撃に転用する。

 これならば、経験値は入らないが、仮に取り込み過ぎて暴走しても、最悪は免れるだろう。

 なお、経験値取得のブーストに使う気はない。

 確実に洒落にならないリスクが発生するからだ。


「じゃあ次はシベイフミクの素材ね」

『そう言えば、シベイフミク戦の報酬を確認する暇もなく、ヒトテシャの一件だったでチュねぇ』

 では、『継承の華呪』シベイフミク・クカンカ戦の報酬を確認するとしよう。

 目録の内容は……


・シベイフミクの葉が1枚

・シベイフミクの蔓が1本

・シベイフミクの根が1本

・シベイフミクの花弁が3枚

・シベイフミクの蜜が1瓶

・シベイフミクの氷が3つ

・シベイフミクの種が1つ

・シベイフミクのカプセルが1つ

・シベイフミクの心臓が1つ

・取り巻きカースの骨が2つ


「んー、一通りは出た感じかしら」

『それでいいと思うでチュ』

 流石に一人で4割以上削った事もあり、MVPを貰えたようだ。

 シベイフミクの心臓までしっかりと出ている。

 では、目録を開放して、詳細を確認していこうか。



△△△△△

『継承の華呪』シベイフミク・クカンカの葉

レベル:30

耐久度:100/100

干渉力:130

浸食率:100/100

異形度:15


『継承の華呪』シベイフミク・クカンカの葉の一部。

尋常ではない大きさに思えるが、これでも極一部でしかない。

非常に強固で刃のような鋭さを持つと共に、冷気を排出する力を有する。

▽▽▽▽▽


△△△△△

『継承の華呪』シベイフミク・クカンカの蔓

レベル:30

耐久度:100/100

干渉力:130

浸食率:100/100

異形度:15


『継承の華呪』シベイフミク・クカンカの蔓の一部。

尋常ではない大きさに思えるが、これでも極一部でしかない。

非常に強固で鞭のようなしなやかさを持つと共に、冷気を排出する力を有する。

▽▽▽▽▽


△△△△△

『継承の華呪』シベイフミク・クカンカの根

レベル:30

耐久度:100/100

干渉力:130

浸食率:100/100

異形度:15


『継承の華呪』シベイフミク・クカンカの根の一部。

尋常ではない大きさに思えるが、これでも極一部でしかない。

非常に強固で槍の穂先のような鋭さを持つと共に、突き刺した相手から呪詛を吸い取る力を有する。

▽▽▽▽▽


△△△△△

『継承の華呪』シベイフミク・クカンカの花弁

レベル:30

耐久度:100/100

干渉力:130

浸食率:100/100

異形度:15


『継承の華呪』シベイフミク・クカンカの花弁の一部。

尋常ではない大きさに思えるが、これでも極一部でしかない。

人の顔のような物が浮かんでおり、その姿と発する音は、認識した者の心を恐怖で凍えさせる。

▽▽▽▽▽


△△△△△

『継承の華呪』シベイフミク・クカンカの蜜

レベル:30

耐久度:100/100

干渉力:130

浸食率:100/100

異形度:15


『継承の華呪』シベイフミク・クカンカの花の蜜。

とても甘く、これだけでも甘味として通用する。

極めて安定しており、極度の低温でも蜜の状態を保ち、長く放置しても腐らない。

注意:現在の容器は再利用できません。中身がなくなると共に消滅します。

▽▽▽▽▽


△△△△△

『継承の華呪』シベイフミク・クカンカの氷

レベル:30

耐久度:100/100

干渉力:130

浸食率:100/100

異形度:12


『継承の華呪』シベイフミク・クカンカが扱う水を凍らせたもの。

とても澄んだ水であり、物理的な不純物は一切内包していない。

溶かす事で大量の呪詛を内包した特殊な水になる。

注意:現在の容器は再利用できません。中身がなくなると共に消滅します。

▽▽▽▽▽


△△△△△

『継承の華呪』シベイフミク・クカンカの種

レベル:10

耐久度:100/100

干渉力:100

浸食率:100/100

異形度:3


『継承の華呪』シベイフミク・クカンカの種。

氷を固めて作ったような見た目の種で、芽吹くと青白い奇麗な花を咲かす。

だが、その花は強烈な凍結の呪詛を秘めているため、取り扱いには注意が必要。

注意:生育には0度以下の気温、澄んだ水、大量の呪詛が必要。

▽▽▽▽▽


△△△△△

『継承の華呪』シベイフミク・クカンカのカプセル

レベル:30

耐久度:100/100

干渉力:130

浸食率:100/100

異形度:15


『継承の華呪』シベイフミク・クカンカのカプセルとしか称しようのない物体。

極めて安定した物体で、内側に入れたものは物理的にも、呪詛的にも、何十年、何百年と安定して保管できる。

▽▽▽▽▽


△△△△△

『継承の華呪』シベイフミク・クカンカの心臓

レベル:30

耐久度:100/100

干渉力:130

浸食率:100/100

異形度:21


『継承の華呪』シベイフミク・クカンカの心臓に相当する部位。

人間の体とほぼ同じ大きさの心臓は、まるで脳のように自分が万全であったころの記憶を持っている。

そう、まだ死んでいないのだ。

心臓は周囲の呪詛を吸い集める事で、復活を目論んでいる。

▽▽▽▽▽


△△△△△

残滓の人呪の骨

レベル:25

耐久度:100/100

干渉力:115

浸食率:100/100

異形度:14


残滓の人呪の体の一部だった骨。

『継承の華呪』にその力の大半を吸い尽くされた搾りかすであるため、力はほとんど残っていない。

だがそれでもカース特有の強力な再生能力は残している。

▽▽▽▽▽



「ふむふむ。ezeerf(エゼールフ)灼熱の邪眼・2(タルウィスコド)』」

『いつものでチュねー』

 一通りの鑑定終了。

 心臓は手早い処理が必要なので、即座に焼いて、灰に変えてしまう。

 そして、灰も鑑定しておく。



△△△△△

『継承の華呪』シベイフミク・クカンカの灰

レベル:30

耐久度:100/100

干渉力:100

浸食率:100/100

異形度:15


『継承の華呪』シベイフミク・クカンカの素材を燃やして得られた灰。

呪いそのものであるカースが基になった物質であるため、周囲の呪詛を集めやすい。

継承と言う様々なものを引き継ぐことに長けた呪いに関わりがある。

心臓が基になったためか、他の素材を燃やして得た灰よりも質が良い。

▽▽▽▽▽



「さて、システム関係の強化をしていきましょうか」

『でチュね』

 全ての鑑定が終わったところで、私は灰を『ダマーヴァンド』の毒液で溶き始めた。



△△△△△

『虹霓瞳の不老不死呪』・タル レベル32

HP:1,309/1,310 

満腹度:147/150 

干渉力:131

異形度:21 

 不老不死、虫の翅×6、増えた目×11、空中浮遊、呪圏・薬壊れ毒と化す(ダマーヴァンド)、遍在する内臓

称号:『呪限無の落とし子』、『生食初心者』、『ゲテモノ食い・3』、『毒を食らわば皿まで・3』、『鉄の胃袋・3』、『暴飲暴食・3』、『大飯食らい・2』、『呪物初生産』、『呪術初習得』、『呪法初習得』、『毒の王』、『灼熱の達人』、『沈黙の名手』、『出血の達人』、『淀縛使い』、『恐怖の名手』、『小人使い』、『暗闇使い』、『乾燥使い』、『魅了使い』、『重力使い(増)』、『呪いが足りない』、『かくれんぼ・1』、『ダンジョンの創造主』、『意志ある道具』、『称号を持つ道具』、『超克の呪い人』、『1stナイトメアメダル-3位』、『2ndナイトメアメダル-1位』、『3rdナイトメアメダル-赤』、『七つの大呪を利する者』、『邪眼術士』、『呪い狩りの呪人』、『竜狩りの呪人』、『呪いを支配するもの』、『偽神呪との邂逅者』、『呪限無を行き来するもの』、『砂漠侵入許可証』、『火山侵入許可証』、『虹霓瞳の不老不死呪』、『生ける呪い』、『雪山侵入許可証』、『海侵入許可証』、『いずれも選ばなかったもの』、『呪海渡りの呪人』、『泡沫の世界の探索者』


呪術・邪眼術:

毒の邪眼・3(タルウィベーノ)』、『灼熱の邪眼・2(タルウィスコド)』、『気絶の邪眼・2(タルウィスタン)』、『沈黙の邪眼・2(タルウィセーレ)』、『出血の邪眼・2(タルウィブリド)』、『小人の邪眼・1(タルウィミーニ)』、『淀縛の邪眼・1(タルウィボンド)』、『恐怖の邪眼・3(タルウィテラー)』、『飢渇の邪眼・1(タルウィハング)』、『暗闇の邪眼・2(タルウィダーク)』、『魅了の邪眼・1(タルウィチャム)』、『石化の邪眼・1(タルウィペトロ)』、『重石の邪眼・2(タルウィヘビィ)』、『禁忌・虹色の狂眼(ゲイザリマン)

呪術・原始呪術:

『不老不死-活性』、『不老不死-抑制』、『風化-活性』、『転写-活性』、『蠱毒-活性』

呪術・渇砂操作術-ザリチュ:

取り込みの砂(ザリチュメモリ)』、『眼球(ザリチュサイト)』、『(ザリチュアーム)』、『(ザリチュラット)』、『化身(ザリチュアバタ)』、『禁忌・虹色の狂創(アーリマンキス)

呪術-ネツミテ:

太陽の呪い(ノームセルブ)』、『熱波の呪い(ドロクセルブ)

呪法:

呪法(アドン)増幅剣(エンハンス)』、『呪法(アドン)感染蔓(スプレッド)』、『呪法(アドン)貫通槍(ピアース)』、『呪法(アドン)方違詠唱(ハイキャスト)』、『呪法(アドン)破壊星(ミーティア)』、『呪法(アドン)呪宣言(ロックオン)』、『呪法(アドン)極彩円(サークル)』、『呪法(アドン)呪晶装填(ブースト)』、『呪法(アドン)逆残心(スペルビア)


所持アイテム:

『路竜の包帯服』ジタツニ、『渇鼠の騎帽呪』ザリチュ、『陽憑きの錫杖呪』ネツミテ、『呪山に通じる四輪』ドロシヒ、鑑定のルーペ、毒頭尾の蜻蛉呪の歯短剣×2、喉枯れの縛蔓呪のチョーカー、毒頭尾の蜻蛉呪の毛皮袋、フェアリースケルズ、蜻蛉呪の望遠鏡etc.


所有ダンジョン

『ダマーヴァンド』:呪詛管理ツール、呪詛出納ツール、呪限無の石門、呪詛処理ツール、呪詛貯蓄ツール×5設置


システム強化

呪怨台参式・呪詛の枝、BGM再生機能、回復の水-2、結界扉-2、セーフティ-2

▽▽▽▽▽

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― 新着の感想 ―
[一言] 読み返してて気づいた。 残骸の再生能力ってカース化した奴なら容易に取り込めるのでは? もしそうならマントデアの強さがかなり上がるぞ!?
[一言]  そいや、ヒトテシャに毒のスタックがどの程度入ったのか?スタックがまったく入らず全反射されたのか?っていう情報はありませんでしたね。確認する前にタルが毒で落ちたのもあるのでしょうけど  試練…
[一言] >『蠱毒-活性』 いきなりなんぞコレ?と思ったら >押し付けの道具を壊して得た呪詛を『熱波の呪い』に盛り込んで、効率よく破壊させてもらった。 なるほどここか
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