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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
8章:『悲しみ凍る・怒り飲み込む呪地』
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486:シベイフミク・クカンカ-6

「生きてるか!?」

「生きて……ぬぐあっ!?」

「体が震えて……恐怖の状態異常がばら撒かれているぞ!」

 シベイフミクの最終段階は劇的な変化を戦場にもたらした。

 呪詛濃度の上昇、『太陽の呪い(ノームセルブ)』の範囲内でも雪がちらつき、気温が零下に達しているだけではない。

 シベイフミクは恐怖の状態異常をもたらす叫び声を上げながら、氷の棘を生やした体を唸らせて暴れ回る。

 勿論、氷の牢獄は出現するし、氷の茨が生える種はばら撒かれるし、大量の氷塊は乱れ飛び、取り巻きのカースたちは湧き続ける。

 正に最終段階に相応しい暴れっぷりである。


「着いたでチュよ。ちょっと危なかったでチュが」

「まあ、これだけ降っていればね」

 と、ここで化身ゴーレムが到着。

 私の隣に浮かぶ。

 なお、私自身はHPと満腹度の回復に専念中。

 どうせ、この後消費するのだが、詠唱中に被弾する可能性もあるので、念のためにだ。


「で、やるんでチュか?」

「やるわよ。使わなくても押し切れそうだけど、折角だもの」

 周囲の状況を確認。

 シベイフミクはとにかく暴れ続けており、多数のプレイヤーたちを当たるを幸いに薙ぎ払っている。

 対するプレイヤーたちはこの状況下でも己の役割を果たすように動き、火力担当は大技を撃ち込み続け、他のプレイヤーはそれを支援している。

 特に目立った動きを見せているのは……シベイフミクの攻撃を特に多く惹き付け、防いでいるマントデアたち巨人系プレイヤー、複数人で協力して撃つ大型術式だけでなく単騎でも相応の火力を発揮している『エギアズ』の面々、他プレイヤーたちの隙間を縫うように動いて取り巻きを処理している狐耳の鎌使い、全体の回りが良くなるように支援と伝達をやっている検証班の数人、この辺か。

 まあ、私が居なくても勝つことは出来るだろう。

 シベイフミクの攻撃は確実に処理されていき、反撃は積み重なり、回復を防ぐ灼熱のスタック値は未だ十分にあるのだから。


「さ、始めましょうか。ザリチュ」

「分かったでチュ」

 私はネツミテを錫杖形態にする。

 化身ゴーレムは私の前で剣を捧げるようなポーズでひざまづく。


「『akuuuytni(アクーィトニ)』」

 錫杖形態のネツミテに呪詛を纏って、化身ゴーレムが持つ剣に触れる。

 すると呪詛が化身ゴーレムの持つ剣へと流れ込んでいく。


「『rewolf(レウォルフ)chino(チノ) rewolf(レウォルフ)』」

 剣の纏う呪詛が血のように赤く輝きだす。

 その剣を持った化身ゴーレムは立ち上がり、大上段に剣を構えながら、シベイフミクを視界の真正面に捉える。


「『rehtiw(レシィウ)enilced(エニルセド)esrepsid(エセプシド)』」

 剣の纏う呪詛が化身ゴーレムの全身へと伝播していき、まるで全身が燃え上がっているかのように紅く染まる。

 それだけでなく、化身ゴーレムの手足や顔にひびが入り始め、何かが砕け散るような嫌な音も響く。


「『uyniam(ウィニアム)atnups(アツプス) esruc(エスルク)』」

「ーーーーー!」

「させるかよぉ!」

 私たちの行動に気づいたシベイフミクが、他の全てを無視して私たちの方へと攻撃を向かわせて来る。

 だがその動きはマントデアたちに阻まれ、それどころかシベイフミクの体はその場で縛り付けられ、固定される。

 そんな中で、化身ゴーレムが全力で宙を駆け出し、シベイフミクへと向かって行く。


「『禁忌・虹色の狂創(アーリマンキス)』」

「!?」

 その瞬間、私の視界は紅に染まる化身ゴーレムを除いて、全てのものが白と黒の二色で彩られた。

 より正確に言えば、生きているものは黒く、死んでいるものは白く染められた。

 そんな世界で化身ゴーレムがシベイフミクを切りつけ、化身ゴーレムの全身が砕け散ると同時に、切りつけた線に従ってシベイフミクの体に紅の線が引かれる。


「さあ、花開きなさい」

 紅の線から虹色が漏れ出す。

 シベイフミクの全身を染め上げていく。

 そして……


「虹色の彼岸花よ」

「ーーーーー!?」

 爆発。

 虹色の閃光が、強烈な風が、あらゆる音をかき消すような爆音が周囲を満たし尽くす。


「決着のようね」

『でチュねぇ』

 爆発が止んだ後、シベイフミクの姿は既になく、取り巻きのカースたちの姿もなく、残されたのは雪の代わりに虹色に輝く彼岸花の花びらが舞い散る幻想的な光景と、何処か唖然とした様子のプレイヤーたちの姿だった。


≪超大型ボス『継承の華呪』シベイフミク・クカンカが討伐されました。共同戦闘を終了します。報酬はメッセージに添付してお送りいたします≫

≪称号『灼熱の達人』を獲得しました≫

「はい、ちゃんと確定っと」

 と言う訳で、無事に討伐を告げるアナウンスも入ったので、討伐確定である。

 さて、後処理に入らなければ。



△△△△△

『灼熱の達人』

効果:灼熱の付与確率上昇(中)

条件:灼熱(100,000)以上を与え、灼熱によるHP回復阻害の合計が300,000以上かつ灼熱の効果が残っている状態で倒す。


ああ、燃え上がる。傷を癒さんとする力を燃料に、激しく天高く燃え上がる。

実に素晴らしい光景だ。

きっとこれ以上の光景なんて無いに違いない。

▽▽▽▽▽



△△△△△

『虹霓瞳の不老不死呪』・タル レベル32

HP:524/1,310 (-786)

満腹度:59/150 (-90)

干渉力:131

異形度:21 (+3)

 不老不死、虫の翅×6、増えた目×11、空中浮遊、呪圏・薬壊れ毒と化す(ダマーヴァンド)、遍在する内臓、(死退灰帰)

称号:『呪限無の落とし子』、『生食初心者』、『ゲテモノ食い・3』、『毒を食らわば皿まで・3』、『鉄の胃袋・3』、『暴飲暴食・3』、『大飯食らい・2』、『呪物初生産』、『呪術初習得』、『呪法初習得』、『毒の王』、『灼熱の達人』、『沈黙の名手』、『出血の達人』、『淀縛使い』、『恐怖の名手』、『小人使い』、『暗闇使い』、『乾燥使い』、『魅了使い』、『重力使い(増)』、『呪いが足りない』、『かくれんぼ・1』、『ダンジョンの創造主』、『意志ある道具』、『称号を持つ道具』、『超克の呪い人』、『1stナイトメアメダル-3位』、『2ndナイトメアメダル-1位』、『3rdナイトメアメダル-赤』、『七つの大呪を利する者』、『邪眼術士』、『呪い狩りの呪人』、『竜狩りの呪人』、『呪いを支配するもの』、『偽神呪との邂逅者』、『呪限無を行き来するもの』、『砂漠侵入許可証』、『火山侵入許可証』、『虹霓瞳の不老不死呪』、『生ける呪い』、『雪山侵入許可証』、『海侵入許可証』、『いずれも選ばなかったもの』、『呪海渡りの呪人』、『泡沫の世界の探索者』


呪術・邪眼術:

毒の邪眼・3(タルウィベーノ)』、『灼熱の邪眼・2(タルウィスコド)』、『気絶の邪眼・2(タルウィスタン)』、『沈黙の邪眼・2(タルウィセーレ)』、『出血の邪眼・2(タルウィブリド)』、『小人の邪眼・1(タルウィミーニ)』、『淀縛の邪眼・1(タルウィボンド)』、『恐怖の邪眼・3(タルウィテラー)』、『飢渇の邪眼・1(タルウィハング)』、『暗闇の邪眼・2(タルウィダーク)』、『魅了の邪眼・1(タルウィチャム)』、『石化の邪眼・1(タルウィペトロ)』、『重石の邪眼・2(タルウィヘビィ)』、『禁忌・虹色の狂眼(ゲイザリマン)

呪術・原始呪術:

『不老不死-活性』、『不老不死-抑制』、『風化-活性』、『転写-活性』

呪術・渇砂操作術-ザリチュ:

取り込みの砂(ザリチュメモリ)』、『眼球(ザリチュサイト)』、『(ザリチュアーム)』、『(ザリチュラット)』、『化身(ザリチュアバタ)』、『禁忌・虹色の狂創(アーリマンキス)

呪術-ネツミテ:

太陽の呪い(ノームセルブ)』、『熱波の呪い(ドロクセルブ)

呪法:

呪法(アドン)増幅剣(エンハンス)』、『呪法(アドン)感染蔓(スプレッド)』、『呪法(アドン)貫通槍(ピアース)』、『呪法(アドン)方違詠唱(ハイキャスト)』、『呪法(アドン)破壊星(ミーティア)』、『呪法(アドン)呪宣言(ロックオン)』、『呪法(アドン)極彩円(サークル)』、『呪法(アドン)呪晶装填(ブースト)』、『呪法(アドン)逆残心(スペルビア)


所持アイテム:

『路竜の包帯服』ジタツニ、『渇鼠の騎帽呪』ザリチュ、『陽憑きの錫杖呪』ネツミテ、『呪山に通じる四輪』ドロシヒ、鑑定のルーペ、毒頭尾の蜻蛉呪の歯短剣×2、喉枯れの縛蔓呪のチョーカー、毒頭尾の蜻蛉呪の毛皮袋、フェアリースケルズ、蜻蛉呪の望遠鏡etc.


所有ダンジョン

『ダマーヴァンド』:呪詛管理ツール、呪詛出納ツール、呪限無の石門、呪詛処理ツール、呪詛貯蓄ツール×5設置


システム強化

呪怨台参式・呪詛の枝、BGM再生機能、回復の水-2、結界扉-2、セーフティ-2

▽▽▽▽▽

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― 新着の感想 ―
[一言] う~ん・・・何話か前ですが、毒噛みねずみや毒吐きねずみとガレキで作ったこんぼうで戦っていた頃が一番面白かったです その先は経過するごとに戦闘がつまらなくなっていきます 主人公がどのようなリ…
[一言] 此処に居たのかエセ関西弁性転換狐wwww
[良い点] ロマン砲 『禁忌・虹色の狂創』 炸 裂 !! [一言] 関係ないけど昔、なにかの台詞だったか唄の歌詞だったかで 「キスをしてあげる せめて最期に・・・」 ていうのを思い出した >>「さあ…
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