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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
8章:『悲しみ凍る・怒り飲み込む呪地』
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482:シベイフミク・クカンカ-2

「さて時間ね」

『頑張るでチュよ、たるうぃ』

 私は化身ゴーレムをセーフティーエリアの中に置いたまま『悲しみ凍る先送の呪地』に入る。

 化身ゴーレムを使う時が来たら出て来てもらうが、それまでは化身ゴーレムによる防護は無し。

 相性的に被弾は許されないので、気を付けておこう。


「来たかタル」

「ええ、来たわよ。で、聞いていた通りだけど……やっぱり少ないわね」

「デンプレロの時は多すぎたと個人的には思ってるぞ。まあ、その辺の証明も含めているのが、今回の戦闘ではある」

 『悲しみ凍る先送の呪地』には既にシベイフミク討伐のメンバーが入り始め、戦闘開始時の予定位置への移動を始めている。

 なお、メンバーは500人に満たない程度で、ほぼ全員が普段から雪山で活動しているメンバーである。

 外からの助っ人と言えそうなのは、『エギアズ』と検証班の一部メンバーぐらいだろうか。


「そう言えばザリアとか『光華団』は呼ばなかったのね」

「防御面での相性が悪そうだったから、見合わせて貰った。タルのように攻撃面で圧倒的な優位を取れるわけでもないしな。代わりに南の火山に行っているんじゃないか? あっちも動きが起き始めているらしいしな」

「へー、そうなの。こっちが終わったら、一度見に行っておこうかしら」

 配置につき終わったプレイヤーからのメッセージが飛んできているのか、マントデアは忙しそうに手を動かしている。

 そして、全員の配置が完了したのだろう。

 マントデアが私の方を向く。


「じゃ、打ち合わせ通りにやればいいのね」

「頼む。総合火力なら毒の方なんだろうが、俺たちがシベイフミクのハイペースな形態変化に対処出来なくなって、全滅のリスクが高まりそうなんでな。情けない話で済まないが、火の方で頼む」

「ま、安定第一で行くのは私も納得している事だから問題はないわ」

 では始めるとしよう。

 と言う訳で、私は『死退灰帰』を服用して、異形度を24にまで高める。

 それから空高く飛んで、休眠状態にあるシベイフミクの全身を視界に収める。


「宣言する。『継承の華呪』シベイフミク・クカンカ、貴方に紅色に輝く灼熱の星を降らし、蔦のように纏わりつく業火を味合わせてあげましょう」

 相手が休眠状態なので効くのかは不明だが、『呪法(アドン)呪宣言(ロックオン)』発動。


「『熱波の呪い(ドロクセルブ)』、ezeerf(エゼールフ)! ezeerf(エゼールフ)! ecafrus(エカフルス)カラezeerf(エゼールフ)! eci(エシ)dloc(ドロク)wons(ウォンス)liah(リィアッ)reicalg(レイカルグ)ノゴトク! efil(エフィル)ym(イム)evas(エヴァス)……」

 続けて、『熱波の呪い』を発動した上で、『呪法(アドン)破壊星(ミーティア)』の星と『呪法(アドン)感染蔓(スプレッド)』の種を生成、一体化させて放出。

 紅色の呪詛の円を13の目それぞれを中心とする形で展開する事で『呪法(アドン)極彩円(サークル)』発動。

 『呪法(アドン)方違詠唱(ハイキャスト)』は当然のように使用し、詠唱に合わせて生成した結晶を空を高速で飛んでいる星の進路上に置くことで装填、『呪法(アドン)呪法装填(ブースト)』を成立させる。


「『灼熱の邪眼・2(タルウィスコド)』」

「?」

 そして、呪詛の星がシベイフミクに重なったところで『灼熱の邪眼・2』を発動し……私は全身の目を閉じながらシベイフミクに背を向け、両手を広げ、『呪法(アドン)逆残心(スペルビア)』の効果を発揮しつつ、プレイヤーたちに向かって口を開く。


「さあ、戦闘開始よ。相手がかつてから何を継承していようとも、恐れず踏み砕いてやりなさい。esaeler(エサエレー)太陽の呪い(ノームセルブ)』!」

 『熱波の呪い』を解除しつつ『太陽の呪い』を発動。

 空から灼熱の陽光が降り注ぎ始めると同時に私は目を開き、邪眼術が効果を発揮し始める。


「!?」

「「「ウオオォ……は?」」」

『うわぁ……派手でチュねぇ……』

≪超大型ボス『継承の華呪』シベイフミク・クカンカとの共同戦闘を開始します。現在の参加人数は472人です≫

 シベイフミクの全身を包み込む形で火柱が吹き上がった。

 シベイフミクの全身も、周囲の雪も、針葉樹も、何もかも焼き尽くすような炎が立ち上り、『太陽の呪い』の効果以上に周囲を明るく照らして、開戦と同時に突撃を敢行しようとしたプレイヤーたちの脚が思わず止まる。

 戦闘開始を告げるアナウンスも彼らの耳には届いていないようだ。

 なお、与えた灼熱はほぼ100万で、999,999とも言う。

 いつものようにカンストしてしまっているようだ。


「え、これ生きてんのか?」

「超大型ボスを一撃とかぶっ壊れてんなぁ……」

「もはやどっちがレギオンボスなのか分からないな。これ」

 そして、実際に与えたダメージは弱点属性である事もあって、それ以上であると思うのだが……。


「ーーー……」

「お前らぁ! 油断しているんじゃねえぞ!! 奴はきちんと生きていやがるぞ!!」

 炎に包まれたシベイフミクの体が僅かに動き、その動きを目ざとく捉えたマントデアが檄を飛ばす。


『あー、もしかしなくても、一度に与えられるダメージにもロックがかかっている感じでチュかね』

「なるほど。複数の形態を一気にすっ飛ばして。と言うのを許さない感じかしらね」

「ーーーーー!!」

 シベイフミクが炎を吹き飛ばし、『太陽の呪い』の範囲外で降る雪が一気に強まる。

 それから勢いよく蔓と葉で呪地全体を震わせて……


「おい待て、まさかこれ……」

「第二段階に突入したぞー!」

「雪崩が来るぞ! ターゲットになった山から急いで逃げろ!!」

 雪崩が起きた。

 シベイフミクの四方にある雪山の一つが動き出し、勢いよく滑り落ちて、木の上に逃げるなどの対処が出来なかったプレイヤーたちを呑み込み、死に戻りさせていく。

 同時に気温が低下していき、吹雪も激しくなっていき、『太陽の呪い』の範囲外はほぼ視界がゼロの状態になってしまった。


「ーーーーー!!」

「野郎どもかかれぇ!!」

「「「うおおおおおぉぉぉぉ!!」」」

「さて、此処からが戦闘の本番のようね」

『頑張って避けるでチュよ。たるうぃ』

 そんな中でシベイフミクが私に向けて複数の氷塊を飛ばし、マントデアたちがシベイフミクへと突貫。

 私がシベイフミクの攻撃を避けるという形で、本格的な戦闘の幕は開けた。

04/01誤字訂正

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― 新着の感想 ―
[良い点] 開幕からド派手。まだ弱体化前なのに、どこぞの海月さんとか蜻蛉さんと同列扱いをされる未来が垣間見えてますね。HP多くて実験台にちょうど良さそう。 [気になる点] レイド戦なのに戦力外通告され…
[一言] あー、嫌なやつだ、最近だとポケモンで何度苦い思いした事か 毒でやってたら数秒ごとに段階が進んでたんだろうか そうなってたら超忙しいなクカンカ 下手すりゃ段階移行時の行動中に次の段階になりか…
[一言] 〈悲報〉第一形態スキップ〈何時ものタルウィ〉 いや、他に言えないんですけど?! 精神安定の呪文を唱えなくては。 タルしかータルしかー。
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