表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
8章:『悲しみ凍る・怒り飲み込む呪地』
469/1000

469:リベンジカースズ-4

「ーーーーー!」

「始まったわね……」

「あっぶなでチュ!?」

 第四段階に突入した。

 気温の変化、流砂と蟻地獄の発生、遠距離攻撃が可能な号砲の蠍呪の出現はどうでもいいが、デンプレロの持つ三つの大規模攻撃は注意しなければいけない。

 最初の大規模攻撃は……巨大な火球。

 尾の先に生成された火球は化身ゴーレムを掠めるだけでなく、着弾先で私を爆風に巻き込めるように、きっちり軌道計算がされている。


「っう……まあ、耐えられるわね」

 デンプレロが火球を飛ばし、着弾、爆発。

 近くに居た蠍呪たちが吹き飛ばされ、私の体に爆風が襲い掛かる。

 だが、ダメージの大半が火炎属性であるおかげで、今の私にとっては直撃しなければそこまで脅威ではないようだ。


「たるうぃ! 位置取りを考えた方がいいでチュか!?」

「不要よ。生き残る事を優先して!」

「ーーーーー!」

 デンプレロは落雷を放ちつつ、風弾と毒ビームを化身ゴーレムに向かってひたすら撃ち込み続ける。

 化身ゴーレムは素早く小刻みに空を動き回る事で、これらの攻撃を回避。

 時には剣と盾でわざと風弾を受け止める事で、反撃の光球発生を狙い、それによってヘイトを稼いでいるようだ。

 おかげで30万もの毒が未だに残っているのに、デンプレロの私へのヘイトはすっかり薄れている。


citpyts(シトピィトス)出血の邪眼・2(タルウィブリド)』」

「? ……!?」

 と言う訳で、呪詛の剣で演奏の蠍呪の首を切り裂くようにしつつ『出血の邪眼・2』を行使し、直後にネツミテの柄で小突き、出血を発動。

 演奏の蠍呪の首を落としていく。

 うん、以前の戦いで沈黙がやけに入ったからもしかしてと思っていたのだが、デンプレロの取り巻きの中でも演奏の蠍呪は特に状態異常に弱く、首を切り落とせば、虫型カースのくせに数秒で息絶えるのだ。

 なお、もぎり、行進、号砲と言った他の取り巻きたちは、首を落とした程度では再生はしないが、数分は普通に動くようである。


「ーーーーー! ……!?」

「おっと、氷塊」

「援護助かるでチュ!」

 再びのデンプレロによる大規模攻撃。

 化身ゴーレムの頭上に巨大な氷塊が出現する。

 大きく離れている私の方には放っておいても被害はないが、直撃したら化身ゴーレムでもきついのは確実なので、眼球ゴーレムによる『気絶の邪眼・2(タルウィスタン)』を撃ち込み、攻撃をワンテンポ遅らせ、回避を容易にさせる。


「チュララララアッ!」

「ーーー!?」

「あ、割れた後の氷塊は氷塊一つごとに別の呪術判定なのね」

 氷塊が割れ、飛んできた鋭い破片を化身ゴーレムは剣で撃ち落としていく。

 そして、幾つかの破片は光球に変化して、デンプレロに襲い掛かっていく。


「ーーーーー!!」

「チュアッ!?」

「おっと最終段階」

 さて、私が取り巻きを処理し、化身ゴーレムがデンプレロの気を引き続けている間に、デンプレロは最終段階に突入したようだ。

 化身ゴーレムが吹き飛ばされ、デンプレロの姿が変化し、取り巻きが大量に出現する。

 更にはマップ中に雷鳴が轟き、閃光が瞬いた。


「ーーー……!」

 デンプレロが私の方へと突っ込んでくる。

 風弾と毒液ビームを撒き散らし、何時でも鋏を閉じれるように構えつつ、勢いよくこっちに向かってくる。

 これは……ゴーレムやペットだと、ヘイトを稼げないと言う事だろうか?


「っう……今までよりはるかに痛いわね……」

 私は高く飛ぶことで突進と鋏は回避し、毒液ビームも避けた。

 だが、一発の風弾が足に掠って……それだけで骨が折れた感触がした。

 物理耐性の低下の影響だろう。


「!?」

「あ、ぶつかるのはそのままなのね」

 しかし死ななければ問題ない。

 デンプレロが柱に突っ込んで目を回している間に、回復をしておく。


「たるうぃ!」

「『禁忌・虹色の狂眼(ゲイザリマン)』なら使わないわよ。放っておいても死ぬ相手に使うなんて勿体ないし」

「いや、ざりちゅが気になったのは足の怪我の方なんでチュけど」

「死な安よ。そういう耐性なんだし」

「ーーー……」

 デンプレロが風弾を撒き散らしつつ、岩の柱をよじ登り始める。

 だがオリジナル版の時と違って、岩の天井には呪限無に通じる穴はないので、逃げられることはない。

 なので、私もザリチュもデンプレロの行動は放置して、取り巻きの中に居る演奏の蠍呪だけを叩き潰していく。


「ーーーーー!!」

「さ、残り僅か。全力で逃げるわよ」

「ざりちゅの下に来ないように気を付けるでチュよ!」

 やがて天井に辿り着いたデンプレロは、そこから風弾、毒液ビーム、落雷、3種類の大規模攻撃を乱射し始め、私と化身ゴーレムへの攻撃を試みる。

 が、回避に専念しているならば、この程度の攻撃程度はどうとでもなる。

 そして、僅かな隙間を縫って……。


「『重石の邪眼・2(タルウィヘビィ)』からの、thgil(スィジル)重石の邪眼・2(タルウィヘビィ)』」

「ーーーーー!?」

 蜃気楼回避誘発からの本命撃ち込みで、デンプレロの体を重くする。


「チュラッハァ!」

「!?」

 そこへ化身ゴーレムが剣と盾の効果で生じた光球を幾つも叩き込み、僅かに怯ませる。


「落ちなさい」

「ーーー……」

 更に追撃。

 眼球ゴーレムによる『気絶の邪眼・2』を撃ち込んで、気絶状態にする。

 体の重量が増え、怯んで足の力が緩み、その状態で意識がなくなったなら……どうなるかなんて考えるまでもない。

 デンプレロの巨体は岩の天井から離れ……


「ーーーーー!?」

 砂の大地に叩きつけられ、絶叫。

 同時に砂煙と轟音が鳴り響く。


≪大型ボス『変圧の蠍呪』デンプレロ・ムカッケツが討伐されました。共同戦闘を終了します。報酬はメッセージに添付してお送りいたします≫

≪称号『毒の王』を獲得しました≫

 そして、デンプレロは死んだ。


「終わったわね。報酬は……悪くない」

「そりゃあ、ソロ狩りでチュからねぇ」

 はい、と言う訳で報酬確認。

 えーと……デンプレロの棘、甲殻、爪、肉、紋章殻が三つずつで、鋏と毒腺が一つか。

 掲示板で調べた限り、心臓もあるようだが、出なかったようだ。

 それと取り巻きの素材も結構出ているか。

 まあ、十分だろう。


「称号は……」

 続けて新たな称号、『毒の王』。



△△△△△

『毒の王』

効果:毒の付与確率上昇(大)

条件:毒(100,000)以上を与え、毒による与ダメージの合計が10,000,000以上。かつ毒の効果が残っている状態で、毒の効果によって倒す。これらの条件を、毒の付与者のレベルが30以上、対象がレベル30以上のカースと言う状態で満たす。


我こそは毒の王。毒の支配者。毒そのもの。

王の座に至りしものよ。肉なき呪いすら蝕むものよ。

汝は何処へ至ろうとしているのか。

▽▽▽▽▽



「ああ、雑魚相手に稼ぐのは許しませんなのね」

「そもそもHP一千万以上の時点で、普通の生物どころか、並のカースじゃ満たせないと思うでチュ」

 まあ、ある意味テンプレ称号だ。

 ほぼ間違いなく毒の王以外にも称号があるのだろうけど……参の位階に至らなければ、獲得は出来ないだろう。


「さて、一度放送を切って……補給を終えたら、ズワムに行きましょうか」

「分かったでチュ。ズワムは状態異常対策があるから、これまでよりは厄介かもでチュね」

 得るものは得た。

 と言う訳で、カロエ・シマイルナムンの時と同じように、配信を切ってから、『理法揺凝の呪海』経由で『ダマーヴァンド』に移動。

 補給を終え、配信再開と共にズワムとの戦闘を開始した。



△△△△△

『虹霓瞳の不老不死呪』・タル レベル31

HP:372/1,300 (-390)

満腹度:37/150 (-45)

干渉力:130

異形度:21 (+4)

 不老不死、虫の翅×6、増えた目×11、空中浮遊、呪圏・薬壊れ毒と化す(ダマーヴァンド)、遍在する内臓、(Expブースト、死退灰帰)

称号:『呪限無の落とし子』、『生食初心者』、『ゲテモノ食い・3』、『毒を食らわば皿まで・3』、『鉄の胃袋・3』、『暴飲暴食・3』、『大飯食らい・2』、『呪物初生産』、『呪術初習得』、『呪法初習得』、『毒の王』、『灼熱の名手』、『沈黙の名手』、『出血の達人』、『淀縛使い』、『恐怖の名手』、『小人使い』、『暗闇使い』、『乾燥使い』、『魅了使い』、『重力使い(増)』、『呪いが足りない』、『かくれんぼ・1』、『ダンジョンの創造主』、『意志ある道具』、『称号を持つ道具』、『超克の呪い人』、『1stナイトメアメダル-3位』、『2ndナイトメアメダル-1位』、『3rdナイトメアメダル-赤』、『七つの大呪を利する者』、『邪眼術士』、『呪い狩りの呪人』、『竜狩りの呪人』、『呪いを支配するもの』、『偽神呪との邂逅者』、『呪限無を行き来するもの』、『砂漠侵入許可証』、『火山侵入許可証』、『虹霓瞳の不老不死呪』、『生ける呪い』、『雪山侵入許可証』、『海侵入許可証』、『いずれも選ばなかったもの』、『呪海渡りの呪人』、『泡沫の世界の探索者』


呪術・邪眼術:

毒の邪眼・3(タルウィベーノ)』、『灼熱の邪眼・2(タルウィスコド)』、『気絶の邪眼・2(タルウィスタン)』、『沈黙の邪眼・2(タルウィセーレ)』、『出血の邪眼・2(タルウィブリド)』、『小人の邪眼・1(タルウィミーニ)』、『淀縛の邪眼・1(タルウィボンド)』、『恐怖の邪眼・3(タルウィテラー)』、『飢渇の邪眼・1(タルウィハング)』、『暗闇の邪眼・2(タルウィダーク)』、『魅了の邪眼・1(タルウィチャム)』、『石化の邪眼・1(タルウィペトロ)』、『重石の邪眼・2(タルウィヘビィ)』、『禁忌・虹色の狂眼(ゲイザリマン)

呪術・原始呪術:

『不老不死-活性』、『不老不死-抑制』、『風化-活性』、『転写-活性』

呪術・渇砂操作術-ザリチュ:

取り込みの砂(ザリチュメモリ)』、『眼球(ザリチュサイト)』、『(ザリチュアーム)』、『(ザリチュラット)』、『化身(ザリチュアバタ)』、『禁忌・虹色の狂創(アーリマンキス)

呪法:

呪法(アドン)増幅剣(エンハンス)』、『呪法(アドン)感染蔓(スプレッド)』、『呪法(アドン)貫通槍(ピアース)』、『呪法(アドン)方違詠唱(ハイキャスト)』、『呪法(アドン)破壊星(ミーティア)』、『呪法(アドン)呪宣言(ロックオン)』、『呪法(アドン)極彩円(サークル)』、『呪法(アドン)呪晶装填(ブースト)』、『呪法(アドン)逆残心(スペルビア)


所持アイテム:

『路竜の包帯服』ジタツニ、『渇鼠の騎帽呪』ザリチュ、『太陽に捧げる蛇蝎杖』ネツミテ、『呪山に通じる四輪』ドロシヒ、鑑定のルーペ、毒頭尾の蜻蛉呪の歯短剣×2、喉枯れの縛蔓呪のチョーカー、毒頭尾の蜻蛉呪の毛皮袋、フェアリースケルズ、蜻蛉呪の望遠鏡etc.


所有ダンジョン

『ダマーヴァンド』:呪詛管理ツール、呪詛出納ツール、呪限無の石門、呪詛処理ツール、呪詛貯蓄ツール×5設置


システム強化

呪怨台参式・呪詛の枝、BGM再生機能、回復の水-2、結界扉-2、セーフティ-2

▽▽▽▽▽

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] テンプレ称号でふと気絶にもあったら気絶の王……?って なぜかそいつの方がよく気絶してそうに見える
[気になる点] 464:ジュゲムオーシャン-6より >ヤバいのはExpブースター……取得経験値量増加の効果を持ったアイテムである。  価格は一本10,000SCと決して安いものではないが、一本でゲーム…
[気になる点] 毒の王……。 恐怖で条件を満たせば、恐怖の王ですかね? ……あれ?恐怖の王と言うより、恐怖の大王な気がします? [一言] 足が折れた?怪我で動かせない? あんなの飾りです。偉い人にはそ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ