468:リベンジカースズ-3
≪大型ボス『変圧の蠍呪』デンプレロ・ムカッケツとの共同戦闘を開始します。現在の参加人数は1人です≫
「えch・mvcvlsl!」
「さて始まったわね」
「でチュね」
『笑み乾く行進の呪地』に出現した、複数本の避雷針に囲まれた広場の中に入ると、劣化版デンプレロとの戦闘が始まる。
避雷針と他のプレイヤーが消え、若干狭くなった『笑み乾く行進の呪地』にデンプレロと25体のもぎりの蠍呪が出現。
こちらに向かってくる。
「「「ーーーーー……!?」」」
「とりあえず『沈黙の邪眼・2』」
「もぎりたちが既に悲しいことになっているでチュねぇ……」
私とザリチュの二人で挑むのに、もぎりの蠍呪とマトモにやり合う意味はないので、戦闘開始と同時に飛翔。
もぎりの蠍呪の攻撃は勿論のこと、デンプレロの攻撃も大半が届かない場所に移動する。
しかし、デンプレロの風弾攻撃による弾幕が張られ始めたので、それを弱体化させるために『沈黙の邪眼・2』を撃ち込む。
「いきみl……!?」
「まあ、防がれるわよね。なので本命。ysion『沈黙の邪眼・2』」
勿論、デンプレロの蜃気楼回避は想定済み。
と言う訳で、初段は呪法無しの『沈黙の邪眼・2』を三つの目で発動して、蜃気楼回避を誘発。
その後に本命として、呪法を三つほど乗せた『沈黙の邪眼・2』を十の目で撃ち込んで黙らせる。
与えた状態異常は……沈黙(948)か。
これなら、戦闘中はずっと黙らせることが出来るだろう。
「じゃあ、本命行くわよ。宣言するわ。デンプレロ、アンタの体に強烈な毒の槍を叩き込んであげる」
「!?」
「弾幕が濃いから、ザリチュに期待し過ぎないで欲しいでチュよ」
では毒を盛ろう。
宣言して、深緑色の円を出現させ、呪詛の種を仕込んだ槍を回転させ始める。
「etoditna eniccav htlaeh |ssenihtlaeh |citerypitna |tnasserpeditna |yrotisoppus『毒の邪眼・3』」
「ーーー!?」
そして宣言通りに攻撃を叩き込む。
が、余裕は見せない。
化身ゴーレムが私とデンプレロの間で滞空して、盾と剣で攻撃を防いでくれているが、全てを防げているわけではなく、時々私の方にまで抜けて来ていて、きちんと回避しなければいけない状態だからだ。
流石にリスクが高すぎる。
と言う訳で与えた状態異常は……毒(307,280)か。
「さて、どのくらいで第二形態に移るかしらね?」
「なるべく短く……いや、短すぎても困りものでチュね」
『呪法・破壊星』ではなく、『呪法・貫通槍』を使ったこと。
『呪法・逆残心』をしなかった事で、案外威力が落ちたようだ。
まあ、それでも10秒ごとに30万のダメージを与えられるなら十分だし、逃げ回っていれば、その内倒せるだろう。
「ーーーーー!」
「おっと」
「当たらんでチュよ」
デンプレロが毒液ビームを放ってくる。
が、オリジナル版でも散々躱した攻撃なので、十分な距離さえあれば、避けるのは容易い。
風弾攻撃の弾幕についても現状では問題なし。
もぎりの蠍呪は刃物を投げて来るが、どう足掻いても届かない軌道なので、ただの空気である。
「んー……ただ待っているのもアレなのよね……変な行動をされてもあれだし、適度に仕掛けましょうか。pmal『暗闇の邪眼・2』」
「!?」
「ガードするざりちゅの身にもなって欲しいでチュけどね」
私はザリチュに接近すると、『呪法・増幅剣』他幾つかの呪法を乗せた『暗闇の邪眼・2』を撃ち込む。
するとデンプレロは鋏攻撃を仕掛けようとし、もぎりの蠍呪たちは私たちの方へと移動を始める。
待つ理由は当然ない。
なので、私たちは距離を取り……
「ーーーーー!」
「「「ーーー!?」」」
「大惨事ねー」
「でっチュねー」
直後にデンプレロの鋏攻撃がもぎりの蠍呪たちに炸裂。
哀れ、もぎりの蠍呪たちは消し飛んでしまった。
「HPと満腹度は適度に回復して……おっ、来たわね」
「電撃放出。第二形態でチュね。ちなみに此処までで3分ほどでチュ」
「ーーーーー!」
毒を撃ってから3分。
デンプレロの甲殻の紋章が発光し、デンプレロの全身から電撃が放たれる。
気温変化は問題なし。
そして、デンプレロ戦をソロで行う場合の難関、演奏の蠍呪が複数体出現し、演奏を開始する。
「ザリチュ。デンプレロ本体は引き付けておいて」
「分かってるでチュ」
まあ、問題ない。
化身ゴーレムがデンプレロに攻撃を仕掛けて、挑発する。
「『毒の邪眼・3』」
「ーーー!?」
その間に私はマップ内を見回って、『毒の邪眼・3』によって演奏の蠍呪を始末していく。
だが全てを始末するのではなく、この後に備えて、沈黙と……『出血の邪眼・2』による伏呪付きの出血を重ねた個体を用意しておく。
「ーーーーー!」
「無駄でっチュよー!」
「第三段階に入ったわね。じゃあ……」
そうして第三段階突入。
デンプレロが落雷攻撃を敢行するが、空を飛ぶ化身ゴーレムに雷が吸われて無効化。
同時に気温の上昇開始と……槍持ちの蠍呪が出現した。
名称は……行進の蠍呪だったかな?
まあ、問題はない。
何せ彼らは私の方へと向かって来ていて、私の足元には沈黙と出血によってどうしたらいいか分からない演奏の蠍呪が居るのだから。
「「「!?」」」
「はい、たまやー」
私が飛び上がったところに、槍持ちが突撃。
そこで演奏の蠍呪を踏んづけて、起爆。
黄色混じりの血煙が広がり、高温と毒が撒き散らされ、蠍呪たちは一体も残らず倒れていく。
「ザリチュ。合流するわ」
「分かったでチュ」
「ーーーーー!」
さて、此処までは問題なし。
問題は第四段階から始まる大規模攻撃と支援砲撃か。
アレを凌ぎきれるかどうかで、勝てるかどうかが決まるだろう。
そんなことを考えつつ、私はデンプレロへの嫌がらせを始めた。
03/17誤字訂正




