460:タルウィベーノ・3-9
本日は二話更新です。
こちらは二話目です。
明日からは一話更新に戻ります。
「さて、称号から見ていきましょうか」
「まあ、常時発動しているわけでチュから、優先した方が良さそうでチュよね」
まずは称号。
『竜狩りの呪人』から。
△△△△△
『竜狩りの呪人』
効果:特定NPCとの友好度変化率上昇(小)
条件:一定以上の強さを持った、竜の因子を保有するカースを討伐する。
呪いに満たされた世界であってもなお竜とは苦難、暴威の象徴に足る強大な存在である。
ならば、それを打ち破った者には相応の名誉が与えられて然るべきだろう。
▽▽▽▽▽
「『呪い狩りの呪人』に似た感じかしらね。まあ、大した称号ではない感じね」
「でチュね」
うん、これは軽いジャブのようなものだ。
では、本題。
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『虹霓瞳の不老不死呪』
効果:他プレイヤーに対して表示される称号は、強制的にこの称号となる。称号の所有者よりもレベルまたは異形度が低いものが放つ低位の攻撃によって受けるダメージを軽減する(小)。この効果はレベル差、異形度差が大きくなるほど効果を増す。(一部特殊裁定あり)
条件:プレイヤーである事を保ったまま、異形度20以上になる。偽神呪から称号を授けられる。(特殊裁定あり)
不老不死のカースの一体。それは敵対する者にとってはおおよそ絶望しかない存在である。一時的に退ける事は可能であっても、恒久的な勝利を得る事は世界に挑むに等しい程の難事となるだろう。
最大の特徴は虹色に輝く瞳と、そこから放たれる禍々しき輝きの邪眼。
主虹と副虹、二つの輝きを秘めた邪眼は、一つの守りで満足する者をあざ笑う。
▽▽▽▽▽
「……。軽減率次第だけど、壊れてない? と言うか、何がどうなった結果としてこんな効果に……」
「あ、ザリチュの『渇鼠の騎帽呪』も同じ効果みたいでチュよ。対象になるのは化身ゴーレムだけみたいでチュけど」
とりあえず運営に大丈夫かと連絡。
返答は……問題なし。
しかもこちらの不安を察してか、具体的な数字を出してくれた。
どうやら、私がレベル31、異形度24と言う状態、相手のレベルが1、異形度1と言う最大限に効果を発揮する状態で、使われたのが通常攻撃と言う最弱の攻撃であっても、軽減率は5%程度との事。
つまりこれは……ほぼ誤差だな、うん。
カスダメなら同時被弾した数次第では無効化されるかもねとの事なので、そちらの効果がメインなのかもしれない。
「しかし、本当にどうやったらこんな効果の称号になるのかしら……」
「倒したドラゴン関係で何かあって、それをあの偽神呪が有効化したとかなのかもでチュねぇ。後、あのドラゴンが攻撃を防いでいたのは、これに似た何かじゃないでチュか?」
「そうね。そうかもしれないわ」
余談だが、虹霓とは雨の後に空に浮かぶ虹……主虹と、それに伴って現れる事がある副虹の事だが、竜の一種でもある。
確か虹が雄、霓が雌だったはずだ。
そう捉えると、虹霓瞳は竜瞳となり、私にも竜の要素が加わっているのかもしれない。
異形度には出てきていない様だが。
「じゃあ、次は呪法ね。名づけつつ行くわよ」
「分かったでチュよ」
では、次は呪法だ。
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呪法・呪宣言
効果:邪眼術発動の準備が始まる前に、使用する邪眼術、呪法、攻撃部位などを宣言することで、発動した邪眼術の性能が向上する。
条件1:宣言対象が宣言内容を聞いた上で、ある程度理解している事。
条件2:宣言してから(使用者のレベル×3)秒以内に宣言内容を満たす事。
条件3:発動する邪眼術は詠唱キーによって発動する事。
条件4:宣言内容を満たす邪眼術は使用者自身の体から放たれる事。
条件5:他の呪法が使用されておらず、邪眼術が使用可能な状態。
宣言する。より正確に、より忠実に。傲慢とも取れる言葉を現出させる事で邪眼の輝きは増していく。
注意:宣言内容に反する攻撃が使用者自身の体を使って行われた場合、攻撃結果はなかったことになる。
▽▽▽▽▽
「眼球ゴーレムを介しては駄目になったわね」
「ドラゴンとの戦いで、眼球ゴーレムを介して呪術を使ったのに、宣言を成立させた影響だと思うでチュ」
「まあ、そうなるのかしらね」
『呪法・呪宣言』はドラゴン戦で四つ目に編み出した呪法ではあるが、実戦では最初に使う事になるであろう呪法だろう。
他の呪法や邪眼術のCTが動いていない状態でないといけないようだし。
とりあえず今の私なら、宣言してから93秒以内に宣言内容を満たせばいい。
では次。
△△△△△
呪法・極彩円
効果:邪眼術発動の準備が始まる前に、発動する目を中心として呪詛の円を生じさせ、空間に固定することで、発動した邪眼術の性能が向上する。
条件1:邪眼術を発動する目を中心として、呪詛の円を出現させる事。
条件2:邪眼術発動の際に生じる光の色と、近い色である事。
条件3:呪詛の円を出現させてから1秒以上経過している事。
正しき色を配し、狭き円であればあるほど、円は強靭となり、邪眼の輝きは増していく。
注意:呪詛の円から中心となった目が出た場合、出た目が放とうとしていた邪眼術のチャージ状態はキャンセルされる。
注意:適さない色を用いると発動する邪眼術の性能が低下する。
▽▽▽▽▽
「使いやすいわね」
「使いやすいでチュね」
『呪法・極彩円』はそれ単体で見れば、とても使いやすい呪法である。
なにせ呪詛の円を出現させるだけで強化できるのだから。
ドラゴン戦で検証した限り、呪詛の円の直径は1メートルから10メートルの範囲内で動かせるようだし、サイズや状況に合わせて調整すればいいだろう。
だがそれ以上に素晴らしいのは、適した色の反対色を呪詛の円に使う事で、使う邪眼術の威力を敢えて下げられる点だろうか。
今後、敢えて手加減しないといけない場面もあるかもしれないし、この仕様は覚えておけば便利だろう。
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呪法・呪晶装填
効果:邪眼術発動前に、呪詛を言葉の形に変形させた後に結晶化、武器の形をした呪法に結晶を取り込ませることで、発動した邪眼術の性能が向上する。
条件1:発する言葉は発動する邪眼術に相応しいものである事。
条件2:発動する邪眼術は詠唱キーによって発動する事。
条件3:『呪法・増幅剣』、『呪法・貫通槍』、『呪法・破壊星』のいずれかが生じている事。
正しき言葉、虚を突く言葉、呪いの言葉。刻み付ける言葉を研究する事で邪眼の輝きは増していく。
注意:1単語につき満腹度を1消費する。
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「『呪法・方違詠唱』の別バージョン」
「使い方も似たような感じでチュよね」
特に感想は無し。
今後、武器の形をした呪法を思いついた時に、対応する呪法が自動で増えてくれるかが問題か。
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呪法・逆残心
効果:邪眼術発動後に、目を閉じ、隙だらけの姿を晒す事で、その長さに応じて発動した邪眼術の性能が向上する。
条件1:邪眼術発動後に邪眼術を発動した目を全て閉じること。
条件2:目を閉じている間に呪詛を相手へと送り込むこと。
条件3:1秒以上目を閉じ続ける事。
敵を倒したと確信せよ。隙を晒せ、強者の余裕を見せつけよ。傲慢でしかない行動によって邪眼の輝きは増していく。
注意:この呪法を発動中に敵からの攻撃を受けた場合、与えた状態異常は耐性を無視して、全て術者に返ってくる。
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「ひえっ……」
「デメリットがヤバいでチュね……」
予想以上の問題児である。
デメリットがヤバすぎる。
いやまあ、隙だらけの姿を晒したところに反撃を食らうような馬鹿な真似をしたなら、当然の跳ね返しなのかもしれないが……これは気を付けて使わないと、大惨事になりそうだ。
耐性無視の万単位の毒とか、私が喰らったら即死である。
「と、とりあえず邪眼術に移りましょうかー……」
「で、でっチュねぇー……」
では、今回の本題。
と言うか、これを得るために今回の試練を受けたのである。
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『毒の邪眼・3』
レベル:30
干渉力:125
CT:10s-5s
トリガー:[詠唱キー][動作キー]
効果:対象周囲の呪詛濃度×2+5の毒を与える
使用者周囲の呪詛濃度が高いほど、効果に上方修正がかかる。
伏呪
トリガー:[詠唱キー]
効果:この呪術の効果によって生じた毒が効果を発揮する度に出血(周囲の呪詛濃度)、灼熱(周囲の呪詛濃度)、沈黙(周囲の呪詛濃度)のいずれか1つを与える。
貴方の目から放たれる呪いは、敵がどれほど堅い守りに身を包んでいても関係ない。
全ての守りは破れずとも、相手の守りの内に、相手を為すための呪いへと直接毒を生じさせるのだから。
そして与えられた毒は熱病の如く、毒に侵されたものを追い詰めていく。
注意:使用する度に自身周囲の呪詛濃度×1のダメージを受ける(MAX10ダメージ)。
注意:伏呪使用時にはダメージの上限値がなくなる。
▽▽▽▽▽
「普通に強いわね……。伏呪のキーはプレイグ。つまり『毒の邪眼・3』になるのね」
「後、地味に化身ゴーレムとかにも効くようになっていないでチュか? 相手を為すための呪いへと、と言うのはそういう事でチュよね」
「あー……確かにそうかもしれないわね」
威力が大幅に上がっている上に、伏呪も付いた。
うん、強い。
ただ、この伏呪の内容はもしかしなくても、ドラゴンが使っていた毒と同じ内容である。
となると……今後、参の位階で同じように試練を受けた場合、気を付けた方がいいかもしれない。
強力な呪術を得ようとしたら、それだけ試練の難易度が跳ね上がる事になりそうだ。
では最後の確定問題児。
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『禁忌・虹色の狂創』
レベル:1
干渉力:100+使用者のレベル
CT:10s-86,400(24h)
トリガー:[発動キー]
効果:対象に罹っている状態異常の種類の数とスタック値の総和に応じた耐性無視の物理属性ダメージを与える。
使用者周囲の呪詛濃度が高いほど、効果に上方修正がかかる。
虹色ノ 彼岸花ガ 咲キ誇ル。
花ヲ 摘ミ取レ 摘ミ取レ 摘ム数ガ 増エレバ 傷モ 開ク。
虹色ノ 彼岸花ハ 紅ノ 彼岸花ヘ
注意:ザリチュの『化身』が発動している事。
注意:チャージを開始した時点で、呪術の成否に関わらず、発動後にザリチュの『化身』は解除が確定する。
注意:CTはザリチュが処理するが、トリガーは着用者が引く必要がある。
注意:効果発動後、対象に罹っている全ての状態異常は解除される。
注意:使用すると着用者に最大HP低下(最大HPの30%)、最大満腹度低下(最大満腹度の30%)が付与される。この効果は新たな渇砂操作術が使えるようになるまで、スタック値が減少しない。
注意:一度使用するとリアル時間で24時間経過するまで『禁忌・虹色の狂創』は再使用できません。
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「……。え、これ、使えるところあるの?」
「火力はあるんじゃないでチュか? 火力は、でチュけど」
えーと、使おうとした時点で、結果に関わらず、化身ゴーレムが消えるのが確定。
使った後はまずゲーム内で24時間、渇砂操作術が使えなくなる。
その間、最大HPと最大満腹度は合わせて60%低下し続け、回復する事もない。
回復を待ってから化身ゴーレムを作り直す必要があると考えれば、ゲーム内時間で30時間くらいはマトモに戦闘できないと考えた方がいいかもしれない。
「まあ、火力はあるし、切り札にはなるか」
「でチュよ」
確かに『禁忌・虹色の狂眼』と合わせた場合の火力は間違いなく桁違いであり、有用かもしれないが……デメリットも桁違いのものになりそうだ。
えーと、トリガーについては……うん、『禁忌・虹色の狂眼』並みに長い。
化身ゴーレムが動く必要もあるし、これは使い方を考えないと、発動なんて出来なさそうである。
「まあ、とりあえず強くはなったわよね」
「でチュねぇ」
最後にステータスを確認して、私はログアウトした。
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『虹霓瞳の不老不死呪』・タル レベル31
HP:822/1,300 (-387)
満腹度:97/150 (-45)
干渉力:130
異形度:21
不老不死、虫の翅×6、増えた目×11、空中浮遊、呪圏・薬壊れ毒と化す、遍在する内臓
称号:『呪限無の落とし子』、『生食初心者』、『ゲテモノ食い・3』、『毒を食らわば皿まで・3』、『鉄の胃袋・3』、『暴飲暴食・3』、『大飯食らい・2』、『呪物初生産』、『呪術初習得』、『呪法初習得』、『毒の達人』、『灼熱の名手』、『沈黙の名手』、『出血の達人』、『淀縛使い』、『恐怖の名手』、『小人使い』、『暗闇使い』、『乾燥使い』、『魅了使い』、『重力使い(増)』、『呪いが足りない』、『かくれんぼ・1』、『ダンジョンの創造主』、『意志ある道具』、『称号を持つ道具』、『超克の呪い人』、『1stナイトメアメダル-3位』、『2ndナイトメアメダル-1位』、『3rdナイトメアメダル-赤』、『七つの大呪を利する者』、『邪眼術士』、『呪い狩りの呪人』、『竜狩りの呪人』、『呪いを支配するもの』、『偽神呪との邂逅者』、『呪限無を行き来するもの』、『砂漠侵入許可証』、『火山侵入許可証』、『虹霓瞳の不老不死呪』、『生ける呪い』、『雪山侵入許可証』、『海侵入許可証』、『いずれも選ばなかったもの』、『呪海渡りの呪人』、『泡沫の世界の探索者』
呪術・邪眼術:
『毒の邪眼・3』、『灼熱の邪眼・2』、『気絶の邪眼・2』、『沈黙の邪眼・2』、『出血の邪眼・2』、『小人の邪眼・1』、『淀縛の邪眼・1』、『恐怖の邪眼・3』、『飢渇の邪眼・1』、『暗闇の邪眼・2』、『魅了の邪眼・1』、『石化の邪眼・1』、『重石の邪眼・2』、『禁忌・虹色の狂眼』
呪術・原始呪術:
『不老不死-活性』、『不老不死-抑制』、『風化-活性』、『転写-活性』
呪術・渇砂操作術-ザリチュ:
『取り込みの砂』、『眼球』、『腕』、『鼠』、『化身』、『禁忌・虹色の狂創』
呪法:
『呪法・増幅剣』、『呪法・感染蔓』、『呪法・貫通槍』、『呪法・方違詠唱』、『呪法・破壊星』、『呪法・呪宣言』、『呪法・極彩円』、『呪法・呪晶装填』、『呪法・逆残心』
所持アイテム:
『路竜の包帯服』ジタツニ、『渇鼠の騎帽呪』ザリチュ、『太陽に捧げる蛇蝎杖』ネツミテ、『呪山に通じる四輪』ドロシヒ、鑑定のルーペ、毒頭尾の蜻蛉呪の歯短剣×2、喉枯れの縛蔓呪のチョーカー、毒頭尾の蜻蛉呪の毛皮袋、フェアリースケルズ、蜻蛉呪の望遠鏡etc.
所有ダンジョン
『ダマーヴァンド』:呪詛管理ツール、呪詛出納ツール、呪限無の石門、呪詛処理ツール、呪詛貯蓄ツール×5設置
システム強化
呪怨台参式・呪詛の枝、BGM再生機能、回復の水-2、結界扉-2、セーフティ-2
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03/10誤字訂正(呪法、呪術の一部表記含む)