443:メイクザリチュアームズ-1
「さて今日から暫くは半分くらいは引き籠りね」
「割と元から引き籠りじゃないでチュ……ああああぁぁぁぁ!?」
日曜日。
ログインした私はとりあえずザリチュの本体を抓っておく。
すると化身ゴーレムが頬のあたりを手で押さえた。
対応関係でもあるのだろうか?
まあいいか。
「とりあえずはデンプレロ素材の確認からしていくわよ」
「分かったでチュ……」
私はデンプレロ討伐報酬の目録をそれなりの広さがある場所に向かって投げる。
そして、私の行動によって目録の状態から、素材の状態へと変化した。
では鑑定である。
△△△△△
『変圧の蠍呪』デンプレロ・ムカッケツの棘
レベル:30
耐久度:100/100
干渉力:130
浸食率:100/100
異形度:15
『変圧の蠍呪』デンプレロ・ムカッケツの棘の一部。
尋常ではない大きさに思えるが、これでも極一部でしかない。
周囲の空気を取り込み、その性質を変化させた上で排出する力を有する。
▽▽▽▽▽
△△△△△
『変圧の蠍呪』デンプレロ・ムカッケツの甲殻
レベル:30
耐久度:100/100
干渉力:130
浸食率:100/100
異形度:15
『変圧の蠍呪』デンプレロ・ムカッケツの甲殻の一部。
尋常ではない大きさに思えるが、これでも極一部でしかない。
堅く、軽く、温度変化にも強く、周囲の乾燥を進めやすくする。
▽▽▽▽▽
△△△△△
『変圧の蠍呪』デンプレロ・ムカッケツの毒腺
レベル:30
耐久度:100/100
干渉力:130
浸食率:100/100
異形度:15
『変圧の蠍呪』デンプレロ・ムカッケツの毒液が詰まった袋。
大量の熱を蓄えておくことが出来るだけでなく、放出することも出来る液体。
毒性が強く、迂闊に触れればそれだけで皮膚がただれる。
▽▽▽▽▽
△△△△△
『変圧の蠍呪』デンプレロ・ムカッケツの肉
レベル:30
耐久度:100/100
干渉力:130
浸食率:100/100
異形度:15
『変圧の蠍呪』デンプレロ・ムカッケツの肉。
カースの肉は呪いの塊と言ってもいい、こんなものを食べても大丈夫なのは、同じカースくらいだろう。
なお、正体さえ知らなければ、誰もが絶賛する程度には味の保証はある。
注意:異形度19以下の存在が食べると100%の確率でランダムな呪いを恒常的に得て、異形度が1上昇します。
▽▽▽▽▽
△△△△△
演奏の蠍呪の壊れた楽器
レベル:25
耐久度:47/100
干渉力:115
浸食率:100/100
異形度:14
演奏の蠍呪が使っていた弦楽器。
聞いたものの感情を震わせる力を持っているが、壊れているので、使うには修理が必要。
この世ならざる恐ろしき音色を奏でられるかは使い手次第。
▽▽▽▽▽
「なるほどね。ezeerf『灼熱の邪眼・2』、pmal『暗闇の邪眼・2』」
「平然と焼いたでチュねぇ……」
一通りの鑑定終了。
と言う訳で、デンプレロの肉を焼いて灰にする。
△△△△△
『変圧の蠍呪』デンプレロ・ムカッケツの灰
レベル:30
耐久度:100/100
干渉力:130
浸食率:100/100
異形度:15
『変圧の蠍呪』デンプレロ・ムカッケツの灰。
呪いそのものであるカースが基になった物質であるため、周囲の呪詛を集めやすい。
変圧と言う様々な圧力を変化させる呪いに関わりがある。
▽▽▽▽▽
「さて何が起きるかしらねー」
「強化に使うのは棘だけなんでチュね」
「流石に勿体ないもの」
デンプレロの灰、『ダマーヴァンド』の毒液、ズワムの肉を細かくした物を混合。
そうして出来た液体を筆に付け、デンプレロの棘へと『呪法・方違詠唱』の法則に合わせて文字を書き込んでいく。
で、長さ1メートルほどの棘の表面にびっしりと文字を書き込んだところで、アップデート開始。
棘が砕け散って、セーフティーエリア及びマイルームと融合した。
「やっぱりエアコンじゃない」
「エアコンでチュね」
解放された機能は簡単に言えば、除湿機能付き冷暖房……ぶっちゃけ、エアコンである。
ただ、その機能の範囲は現実のエアコンよりも明らかにハイスペックであり、上は50度まで、下は零下10度まで対応しており、除湿も湿度0%までやれる。
つまり、部屋を冷凍庫に変える事も、昼の砂漠に変える事も出来ると言う事だ。
「まあ、基本的に乾燥機能は無し。温度は20度前後で固定するけど」
「えー、乾燥させないんでチュかぁー」
「流石に湿度0%の環境はお断りよ」
「残念でチュねぇ……」
この機能、普段は使わないと思うが、特殊な素材を扱う時にはもしかしたら使うかもしれない。
例えば常温だと溶けたり揮発してしまう物体を部屋ごと冷却する事で問題なく置いておくとか、鍛冶作業をするときに部屋ごと暖めておくことで冷える速さを抑えるとか。
ああでも、素材の保存だけなら、今の私なら他の機材でも問題ない……いや、燃費はこの機能を使った方がいいのか。
とりあえず機能がある事は忘れないようにしておこう。
「とりあえず毒腺は冷凍保存しておくとして」
「あ、直ぐに使わないんでチュね」
では整理整頓。
他の素材は適当に放置しておいても大丈夫だが、デンプレロの毒腺は生ものっぽい感じなので、適当なケースに入れた上で、マイルームに設置してある冷凍庫に入れて、保存しておく。
「出来ればレベル30になってから扱いたいのよ。と言う訳で、昨日の予定通り、化身ゴーレムの装備作成から行くわよ」
「分かったでチュ」
そして、目録から必要であろう量のズワムの鱗と柔皮を取り出すと、私は作業を開始した。
02/27誤字訂正