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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
7章:『理法揺凝の呪海』
430/1000

430:デンプレロ・ムカッケツ-8

本日二話目です。

明日からは一話更新に戻ります。

「「「勝ったぞおおおぉぉぉ!!」」」

「「「ヒャッハアアアァァァ!!」」」

「「「カースを倒したぞおおぉぉ!!」」」

「「「悪創消えたああぁぁ!」」」

「「「デンプレロザマアアアァァァァ!!」」」

「「「いやっふうううぅぅ!!」」」

 千人を超える人間が歓喜の声を上げ、空気が激しく震える。

 両手を上げて喜びを表現する者が居れば、友と抱き合って無事を分かち合う者が居る。

 気が抜けて座り込む者も居れば、宙に視線をやることで得た報酬を早速確認する者も居る。

 中には悲しそうにしている者も居るし、悔し涙を流しているように見える者も居るが、概ねデンプレロの討伐を喜んでいるようだ。


≪『変圧の蠍呪』デンプレロ・ムカッケツが討伐されたため、リアル時間で24時間、『笑み乾く行進の呪地』にモンスターは出現しません≫

「とりあえず範囲縮小と着地っと」

「でチュね」

 私は『呪圏・薬壊れ毒と化す(ダマーヴァンド)』の範囲を半径10メートルほどにまで縮小すると、周囲にプレイヤーが居ない場所に着地する。

 モンスターが出現しないとは言え、誰もが疲労困憊の状態なので、不意に薬や食料が毒化してしまうと面倒なことになるからだ。

 そして私自身のHPと満腹度も危ないので、とりあえず斑豆を食べて満腹度は回復しておく。


「さて、確認ね」

 近くに居るプレイヤーとの話が終われば、ザリアたち辺りは私に近づいてくるかもしれない。

 と言う訳で、その前に今回の戦闘で得たものの確認をしておく。



△△△△△

『沈黙の名手』

効果:沈黙の付与確率上昇(小)

条件:沈黙(1,000)以上を与え、沈黙の効果が残っている間に生物を殺害する。


私の沈黙捌きは如何かな? 悲鳴一つどころか、息をする事もままならない。まだ先もあるんだけどね。

▽▽▽▽▽



「はいテンプレ」

「知っていたでチュ」

 『沈黙の名手』はテンプレ称号。

 ただ、デンプレロに与えたスタック値だけを見れば、『沈黙の達人』を獲得してもおかしくはなかったはず。

 なのに獲得出来なかったとなると、スタック値以外の条件を満たせなかったと言う事になるか。

 まあ、飛ばして得てしまうと悲しい事になるので、獲得せずに済んで良かったと思おう。



△△△△△

『重力使い(増)』

効果:重力増大の付与確率上昇(微小)

条件:重力増大(100)以上を与え、重力増大の効果が残っている間に生物を殺害する。


私の重力増大の力を見るがいい。

▽▽▽▽▽



「こっちもテンプレ。ただ、増大に限った称号と言うあたり……」

「まあ、減少方向もあると思うでチュよ」

 『重力使い(増)』もテンプレ称号。

 ただ、わざわざ括弧付きで増の表記がある辺り、重力減少のような状態異常があり、そちらにも同様の称号があるのだろう。

 私がそちらの称号を取得したら、括弧が取れるだけの気もするが。


「『悪創:変圧の蠍呪Lv.0』は傷跡の類として残る事もなく完全消滅なのね」

「残っていても邪魔なだけだと思うでチュよ」

 『悪創:変圧の蠍呪Lv.0』は表記通りにしっかり消えている。

 やはりペナルティとしての側面が大きいからだろうか。


「さて……」

 では問題児のターンである。

 何故修得してしまったのかは分からないが、修得してしまった以上はきちんと確認をしなければいけない。



△△△△△

『転写-活性』

レベル:1

干渉力:100+発動者のレベル

CT:なし

トリガー:思考発動

効果:『七つの大呪』の一つ、『転写』の呪いを活性化させる。


『転写』の呪いとはこの世を為す七つの呪いの内の一つである。

強固な想いを写し取り、対象に刻み込む事を手助けするための呪いであり、新たなる呪いを生み出す事を容易とする。

だがこの呪いは、この世に在らざる力あるいは極限定的な力を求めた者たちが、己の欲を満たさんがために生み出した強欲の呪いであり、僅かでも自分の求めるものと違えば諦めると言う、行き過ぎた分別の思想に囚われた集団のものでもあった。

四番目の大呪であり、混沌、始原、変化、様々な要素に繋がり、肥大を続けるが、唯一だけはない。

▽▽▽▽▽



「……」

 新たなる呪いを生み出す事を容易にする、か。

 もしかしなくても呪怨台と同じような事が出来るのだろうか?

 そうなると色々と悪用出来そうな気がするが……まあ、『七つの大呪』なので、迂闊に利用すると酷い目に合うのだろうけど。


「どうしたでチュか? たるうぃ」

「まあ、有用そうではあるわね」

 とりあえず今回の『禁忌・虹色の狂眼(ゲイザリマン)』での使われ方としては、私の意思を『禁忌・虹色の狂眼』に刻み付け、強化。

 その結果を受けて、修得をしたのだと思う。

 で、『転写-活性』の効果が如実に表れたのが『呪法(アドン)感染蔓(スプレッド)』の蛇のようになった蔓であり、絡み貪るような動きだったのだろう。

 エフェクトの変化もそうかもしれないが。

 えーと、となれば、普段使う分には邪眼術の発動前に、発動する邪眼術の内容に合わせたイメージをして、放つ呪いにその念を込める、と言うところか。

 強化率がどの程度かは分からないが、きちんと使えば有用なのは間違いない。


「アイテムについては……詳細は『ダマーヴァンド』に戻ってからでいいわね」

「でチュねー」

 デンプレロの素材については目録こそ見たが、詳細については後回し。

 その後の鑑定もあるので、安全な場所でじっくりとやりたい。

 とりあえず、それなりの量はあったし、名前からして有用そうなものもあった。


「タル! お疲れ様!」

「ザリア。お疲れ様」

 さて、ザリアたちに……スクナたち、マントデア、ストラスさん、ライトリがやって来たか。

 単純にお互いを労うだけで終えてもいいのだけど……少しだけ他の話もする事になりそうだ。

02/15誤字訂正

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― 新着の感想 ―
[一言] 先程、修得と習得で表記揺れがありますと感想に書き、その部分が下記のように訂正されていたのですが、 >何故修得してしまったのかは分からないが、修得してしまった以上はきちんと確認をしなければい…
[気になる点] >ただ、デンプレロに与えたスタック値だけを見れば、『沈黙の達人』を獲得してもおかしくはなかったはず。  なのに習得出来なかったとなると、スタック値以外の条件を満たせなかったと言う事にな…
[一言] ラスアタいただきだぜ! 討伐おめー、お疲れ様でしたー 最後に外に行こうとするとは……危なかったぜ まったく、ムカつくケツを見せ付けやがって
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