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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
7章:『理法揺凝の呪海』

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428/1000

428:デンプレロ・ムカッケツ-6

本日二話目です

「ーーーーー!」

「そうらこっちよ!」

 デンプレロの正面に立った私は、鋏による攻撃が届くか届かないかのギリギリの距離を保ちつつ、デンプレロの風による攻撃を避け、反撃に邪眼術を撃ち込んでヘイトを取っていく。

 その上で、生き残ったプレイヤーたちから離れるように移動先を誘導していく。


「状況は……結構拙いわね」

「ーーー!」

「雷は効かないんでチュよ!」

 現在のこちらのプレイヤーの生き残りは……300人程度か。

 砂混じりの暴風、その後の竜巻、突然の流砂、遠距離攻撃が可能となった蠍呪、そう言った要素が重なりに重なった結果として、対応しきれなかったプレイヤーが落ち、落ちたプレイヤーの穴を埋めきれずに他が落ち、結果として孤立したプレイヤーが狩られていき、と言う流れか。

 とりあえずザリアたち、マントデア、スクナたち、『エギアズ』と『光華団』の主要面子は生き残っているようなので、私がデンプレロを惹きつければ、立て直しは時間の問題になるだろう。

 うん、やっぱり拙い。

 『死退灰帰』は効果を発揮しない状況だし、私が落ちたら、そのまま残りのメンバーも蹂躙されそうだ。

 プレイヤーが参戦する度にもぎりの蠍呪が出てくる以上、立て直しにかかる時間は何処かの糞雑魚海月とは比べ物にならないのだし。


「たるうぃ!」

「分かってるわ……よ!」

「ーーーーー!」

 状況確認終了。

 落雷攻撃を仕掛けてきたデンプレロが振り上げた鋏を、下さずそのまま引いた。

 なので鋏攻撃が来ると判断して上昇。


「っう!?」

 直後に超音速の鋏攻撃に伴う衝撃波が私の体を貫き、私のHPが削られる。

 が、この程度であれば原始呪術『不老不死-活性』でリカバリー可能。

 私はHPを回復しつつ、私向けとして学習したのか、追撃として放たれる冷気だけを含む強烈な風による攻撃を後退して回避。

 その際、突起に付いている噴気孔の向きを見る事で、被弾量を抑えていく。


「ーーー……」

「げっ」

「全身吸気……来るでチュよ!」

 十分に距離が取れたところでデンプレロは全身の突起から空気を吸い込み始める。

 周囲をよく見てみれば、先ほど形成された砂の竜巻は既に消えていた。

 つまり、またアレが来る。

 しかも、私とザリチュの化身ゴーレムに狙いを付ける形で。


「ーー……!?」

「素撃ちは流石に拒否よ!」

 私は素早く毛皮袋に手を伸ばすと、手首のスナップだけで袋の中から眼球ゴーレムを数体、外に出す。

 同時に生成して周囲に浮かせておいた呪詛の槍をデンプレロに向かって飛ばす。

 そしてデンプレロが攻撃を放つ直前に、『気絶の邪眼・2(タルウィスタン)』を発動。

 デンプレロの体から眼球ゴーレムの方へと稲妻が迸るようなエフェクトと共に、デンプレロの体が一瞬だが硬直する。

 その硬直の間に私も化身ゴーレムも横方向に向かって、全力で飛んだ。


「ーーー!」

「うげっ」

「チュア……」

 直後。

 デンプレロの背中にある突起から上空に向けて、強烈な冷風が放たれ、冷風は上空で直径数メートルはある氷塊に変化、私とザリチュが居た場所に向けて勢いよく落下。

 砂地に衝突した氷塊は、幾百幾千の大小様々な鋭い破片になるように割れると、矢のような速さでもって周囲に散らばった。


「っう……私じゃなければ即死よ……」

「ゴーレムでなかったら死んでいたでチュよ……」

「ーーー……」

 結果。

 私は両腕がもげた上に腹に穴が開き、翅も二枚ほどやられた。

 ザリチュの化身ゴーレムも頭が半分ほど吹き飛んでいた。

 幸いなのは、散らばる速さが速過ぎるおかげなのか、与ダメージの割合が氷結属性ではなく物理に大きく傾いていた事か。

 うん、大ダメージには違いないが、生きているのなら『遍在する内臓』と『不老不死-活性』とフェアリースケルズの使用でどうとでもなる。


「ーーーーー!」

「と言うかあれね。雷、氷と来ているし、火も来るでしょ。これ」

「絶対あるでチュね」

 これでも落ちないのかと言わんばかりの目をデンプレロは向けてくる。

 そして同時にこれまでと同じような攻撃が再び飛び始めるので、私もザリチュも慎重に飛び回って避けていく。


「ーーーーー!」

「まあ、ズワムに比べれば楽ね。弾が見えないだけで攻撃が来る方向は限定的で、避け易いわ……」

「それはおかしい感想だと思うでチュよ!?」

 避けつつ考察。

 今更だが、デンプレロは物理、電撃、氷結、火炎の四属性を扱えるとみていいだろう。

 で、さっきの氷塊攻撃並みの火炎属性攻撃もあると見ておく。

 巨大な火球を作り出して、着弾と同時に大爆発とか、そんな感じの奴だ。

 と言うか、除湿、送風、温風、冷風って……今更だが、デンプレロは漏電しているエアコンか何かなのだろうか。

 うん、割と当てはまってしまう気がする。

 紫色のビームも、有毒性の熱交換用の液体とかに当てはまりそうだし。


「ーーー!」

「おっと」

 その紫色のビームが来たので、急降下からの即時上昇、そこからのランダムな動きで掠りもせずに避け続ける。


「ーーー……」

「たるうぃ!」

「来たわね……」

 再びの全身吸気。

 範囲の都合上、私一人に狙いを定めて放たれてしまうと避けるどころではないので、私は再び眼球ゴーレムを取り出して、『気絶の邪眼・2』を放ち、無理やりにだが避ける隙を作り出す。


「ーーーーー!」

 そうしてデンプレロの尾から放たれたのは、私の予想通りに巨大な火球。

 デンプレロの尾の突き出しに合わせるように放たれた火球は見当違いの方向に飛翔。

 しばらく飛んだところで砂地に着弾し……。


「火炎属性でもこれは受けられないわね……」

「でっチュねぇ……」

 マップ全体を震えさせるような爆発と熱波を周囲に撒き散らす。

 現在の気温は零下30度なので、熱波についてはむしろありがたいが、響いてくる爆発の衝撃だけでも、受けてはいけない攻撃なのは容易に想像できた。


「でもこれでこの段階の攻撃は全部出たかしら?」

「そう思いたいでチュね」

「タル! ある程度の立て直しは出来たわ! 攻略を再開する!」

「ーーーーー!?」

 しかし、今の攻撃を放った時点で、私がどうなっていても状況はプレイヤー側に傾いていたらしい。

 プレイヤーの数はいつの間にか1,000人近くにまで戻り、取り巻きである蠍呪たちを蹴散らしたプレイヤーたちは、砂に足を取られつつも、第四段階以前と同じようにデンプレロを包囲する。


「攻撃開始ぃ!」

「「「うおおおおおぉぉぉ!」」」

「ーーー!?」

 ザリアたちの攻撃が始まる。

 デンプレロの猛攻を見て、時間はかけられないと判断したのか、これまで以上に攻撃は激しい。

 その間に私は距離を取って、満腹度を回復し、HPも戻し、精神の状態も整えていく。


「すぅ……さて、そろそろ仕掛け時かしらね」

 戦闘開始から気が付けば1時間以上経っている。

 これだけの猛攻を仕掛けたのだから、デンプレロの残りHPはそう多くはないだろう。

 しかし、こちらのリソース的にも、そろそろ決着を狙いたいところである。


「ーーーーー!」

「と言うか、そろそろ終わってくれないと拙いわね……」

 そんなことを思いつつ、このマップの上の方、岩の天井に意識を向けた私は、あまり見つけたくないものを見つけてしまった。

 そこには穴があった。

 地上に通じる穴ではなく、呪限無に通じる穴だ。

 どうやらこの戦闘の累計死者数がかさんできたために、敗北条件を満たしつつあるらしい。


「さて、上手く蜃気楼を誤魔化す必要があるわね」

 聖女様の釘があるから、昨日のような事にはならないはずだが、負けていい事にはならない。

 目指すは勝利、デンプレロを叩き潰す事。

 では行くとしよう。

 私は砂地を蹴って、飛び上がった。

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― 新着の感想 ―
[一言] イメージがハサミと尻尾と足がついた色褪せたエアコンになった。
[一言] >プレイヤーが参戦する度にもぎりの蠍呪が出てくる以上、立て直しにかかる時間は何処かの糞雑魚海月とは比べ物にならないのだし。 唐突にこき下ろされる糞雑魚海月wそのうちカースの強さを表す単位とし…
[一言] ≫エアコンか何かなのだろうか 風にゴミ(砂)混ざってるとか買い替え不可避 みんなよくやるなぁ 即死級の攻撃ばっかのやつと長期戦とかメンタル持たないぜ
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