表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
7章:『理法揺凝の呪海』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

418/1000

418:テリブルデイ-4

「土下座……」

「タルが土下座……」

「しかも震えて……」

「何というレア光景……」

 『悪創の偽神呪』は去って、イベントは終わった。

 だから土下座をしている私の姿を見て、他のプレイヤーがざわついているのは分かる。

 分かるが……


「あ、レベル0なんだな」

「お前もなー」

「と言うか見た感じレベル1以上は居ないな」

「で、件のカースはやっぱり砂漠の底か」

 解除したくても、人間形態の『悪創の偽神呪』が目の前に居た恐怖で体が震えていて解除できない!

 手足も翅も碌に動かせない!

 完全に羞恥プレイと言う名のペナルティになっているんですが!?


「なあ、誰かタルに声を……」

「え、嫌だよ。俺、陰キャだし」

「親しくもない相手に声をかけるのって難易度が……」

「サボテンちゃん何処だ?」

 アレか!?

 『禁忌・虹色の狂眼(ゲイザリマン)』をすかしたペナルティですか!?

 お怒りなんですか!?

 怒られるどころか呆れられても仕方がないだけの醜態を晒していた自覚はあるけども!!


「タル! しっかりしなさい! タルってば!」

「ザ、ザリア……ああ……うん、助かったわ……」

 ザリアが話しかけ、脇の下に手を入れ、引き上げてくれる。

 それによってようやく硬直が解け、若干の震えを残しつつも、立ち上がることが出来た。


「何があったの?」

「『悪創の偽神呪』が目の前に居て、最後の怒気を直接ぶつけられた……」

「……」

「うわぁ……」

「神様の怒りを真正面から……」

「そら、動けなくなるわ……」

「映像越しでもヤバかったよな。アレ……」

 周囲のプレイヤーから同情の思いが込められた視線が降り注ぐ。


「とりあえず一度ログアウトした方がよさそうね」

「いえ、その前にちょっと聖女ハルワのところに行きたいわ」

「聖女ハルワのところ? どうして?」

「ちゃんと復活したかを確認しておきたいのよ。その、私の目の前でね……」

「ああ、なるほど……」

 私はザリアに支えてもらいつつ、結界扉の方へと向かっていく。

 なお、何故かは分からないが、周囲のプレイヤーから注がれる視線の種類が変わったようだった。

 私は何か変な事を言ったのだろうか?

 とりあえず先日と同じように一緒に私のセーフティールームに入り、サクリベスに転移。

 小人化して箱に入り、ザリアに運んでもらった。


----------


「最悪の悪夢だったわ」

「ハルワ姉さまですが、お昼ごろのうたた寝から目覚めて以来、ずっとこんな感じなのです。いったい何があったのでしょうか? あ、その汚物帽子を燃やしたら気が晴れるかもしれませんね。少し貸していただけますか? カースタル」

「「……」」

 そして、見るからに機嫌が悪そうな聖女ハルワと、見た感じ特に変化のなさそうな聖女アムルの前に私は立ち、不機嫌極まりない感じの声を聞くことになった。


「一応、何があったかを聞くわ」

「大した事じゃないわ。詳細は覚えていないけど、凄く嫌な事が起きていく夢の中で、最後の最後にそこの呪限無の化け物と会う事になる。と言う奴だから」

『姉妹で反応が極端に分かれたでチュねぇ。何も覚えていない聖女アムルが滑稽でチュねぇ。チュッチュッチュッ』

 どうやら聖女ハルワは先程の出来事について、かなり詳しく覚えているようだ。

 詳細は覚えていないと言うが、その内容ならば私への好感度が極端に下がっていてもおかしくないはず。

 なのに、下がっていないと言う事は、何も覚えていない聖女アムルの事を考えて、口を噤んだに違いないだろう。

 後、ザリチュがようやく反応を示し始めた気がする。

 罵倒の感じからして本調子には程遠いようだが。


「で、そちらこそ何で訪ねて来たのかしら? 用もなく尋ねてくるような間柄じゃないでしょう?」

「……。強いて言えば何となくよ。酷く嫌な予感がしたからザリアに頼んで、連れてきてもらったの」

「そう」

 聖女ハルワが口では納得したように、目では色々と察したような雰囲気を出す。

 やはり聖女ハルワは覚えているらしい。

 しかし、『不老不死の大呪』、『悪創の偽神呪』まで知っているかとなれば怪しいだろうし、私の口から語る事は出来ない。


「まあ、丁度いいと言えば丁度よかったわ」

 そう言うと聖女ハルワは懐から一本の五寸釘のような物体を取り出して、私の前に置く。


「これは?」

「呪限無の化け物が持ち込んだ二つの素材をメインとして作ったアイテムよ」

 私が持ち込んだ素材と言う事は……ズワムの糞と呪いを弾く鉄か。

 つまり浄化の力が大量に込められていると。

 そうなると……


「効果としては大型の呪限無の化け物が自らの拠点の外へと無理やり出るのを防ぐ事が出来るわ」

「ハルワ姉さまお手製の貴重品です。なので大事に使うようにと言いたいですが……」

「あー、タル自身がカースだから、使うのが難しいわね」

「そうね。私自身が拠点の外に出られなくなるわ……」

 私自身が使うのは難しいアイテムと言う事になる。

 ああいや、これを破るための手段を入手するために、手に入れる価値はあるか。


「とりあえず鑑定はさせてもらっても?」

「鑑定どころか持っていっても構わないわ。それについては、そこの呪限無の化け物の為に作ったものだから。それと多少品質が落ちたものをザリアさんのような腕利きの呪人に渡そうと考えていたのだけれど……着服していた人間が居て、渡るべき場所に渡っていないようだったから、この場で直接渡す分以外は調査が終わってからよ」

「なるほど」

 とりあえず私の分らしい五寸釘は毛皮袋に入れておく。

 そしてザリアの分らしき五寸釘も複数本出てきたので、こちらはザリアに持ってもらう。


「で、嫌な予感は晴れたのかしら?」

「ええ、晴れたわ。晴れたから、蠍呪の討伐。頑張らせてもらうわ」

「そう。諦めるんじゃないわよ。そんなつもりはないでしょうけど」

「勿論よ。不老不死のカースを敵に回したことを後悔させてあげるわ」

 恐らくは私と聖女ハルワ自身にしか分からない言葉を交わし、私たちは神殿を後にする。

 それからセーフティーエリアに向かう途中でザリアが口を開く。


「タル。今日のリアル時間13時から、『試練・砂漠への門』の広場で、デンプレロ対策会議をする事になったわ。参加はするわよね?」

「勿論参加するわ。流石に一人では勝つには事前準備が足りなさすぎるもの。でも、ふぬけた態度なら……」

「心配しなくても、その時は私も一緒よ」

 私とザリアは共に『試練・砂漠への門』へと向かう。

 『悪創』はデンプレロが不活性状態である事を示している。

02/06誤字訂正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 久々にこのシーン読んだがザリアに持ち上げられるタルが伸びるネコで脳内再生されていしまう……!
[一言] 2ndナイトメアアフターで蘇芳色の蜥蜴にアウト判定なかったっけ?と思ったらあれか、邂逅イベントが発生したから別にいいのか 称号は貰えなさそうだけど
[一言] ゲイザリマンすかしたらまぁ、怒られるわな。LV3は何やらかしたんですかねぇ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ