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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
7章:『理法揺凝の呪海』
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411:サーチデザート-1

「おっ、タルさんだ」

「どうもっす。昨日ぶりでー」

「あ、今日はザリチュも居るんだ」

「こんにちは。ザリア分隊の皆さん」

「どうもでチュー」

 さて、『岩山駆ける鉄の箱』の始発駅とでも言うべき場所には、ザリア分隊のプレイヤーたちが車座になって休憩していた。

 いや、休憩だけでなく、反省会も兼ねている感じか。

 死に戻りになったためにこの場に居るようだし。


「攻略は苦戦中な感じかしら?」

 折角なので、少し『岩山駆ける鉄の箱』について聞いておくか。

 教えて貰えないならそれで構わないと言う気持ちで聞くが。


「ですね。そこのトロッコに乗ると移動が始まって、その上で戦闘が始まるんすけど……」

「慣性が特殊でやりづらいよな」

「風圧はないけど、カーブで跳んでたりすると大惨事になるんだよな」

「アイアムトマトを何度やった事やら……」

「なるほど」

 どうやら難易度が高いと言うよりは、特殊であるらしい。

 私が予想したとおり、ジャンプした瞬間にトロッコがカーブに差し掛かったりすると、そのまま壁に叩きつけられる事になるようだ。


「でも、攻略を諦めない程度には手に入るアイテムが美味しいと」

「美味しいっすねぇ」

「シンプルに耐久度だけ高くなった鉄や銅がガッポガッポですわぁ」

「モンスターの素材も悪くないしな」

「ほうほう。それは気になるでチュねぇ」

 ふむ、金属素材、それも使い勝手のいい物が安定的に手に入るのか。

 稼ぎ場所として便利そうだ。


「タルさんも行きますか?」

「タルさんの邪眼術は相性良さそうだよな。慣性とか気にしなくていいし」

「いやでも、空中浮遊のせいでトロッコに乗れないんじゃ……」

「そこは誰かに持ってもらうとか、適当に紐で体を結んでおくとかでいけるんじゃね?」

「あー、お誘いはありがたいけど、今日は外の様子を確認する予定なの。ごめんなさいね」

「あ、こっちこそすいません。そっちの事情も聞かずに誘った上に色々言っちまって」

 が、誘っておいて悪いのだが、今日の私は『岩山駆ける鉄の箱』を攻略する気はない。

 と言う訳で、私はザリア分隊の面々に別れを告げると、ダンジョンの外へと向かって飛んでいく。


「いいんでチュか?」

「あれだけ報酬が美味しいと言うのなら、潰さずに残すでしょうから、後回しでも大丈夫よ」

 ダンジョンの入り口に着いた。

 此処までは岩の足場で、少しの明かりしかないが、外は強烈な日差しが射すと共に、渇いた砂が風に吹かれて舞っている。

 『砂漠のお守り』をきちんと持っている事を確認。

 では、外に出よう。


「うーん、砂漠ねぇ」

「砂漠でチュねぇ」

 どうやら『岩山駆ける鉄の箱』の入り口は、砂漠の真ん中で砂の中から突き出ている高さ3メートル、幅5メートルもないような岩山にあるらしい。

 ザリア分隊の話では、これが急に砂の中から出て来たそうで、実に不思議な物である。


「ちょっと飛びましょうか」

「大丈夫なんでチュか?」

「短時間なら大丈夫でしょう。たぶん」

 自分の周囲の呪詛濃度を高め、地面を強く蹴り、最高点で羽ばたく事によって、私は高く飛び上がる。

 ザリチュの化身ゴーレムも同様に動いて、私に続く。

 そうして高さ数十メートル程度にまで飛び上がったところで、周囲を観察する。


「んー……皆乾かしの砂漠のどの辺なのかしらねぇ」

「かなり進んだ先っぽいでチュけどねぇ」

 東の方には『試練・砂漠への門』と思しきものの陰が見える。

 いや、砂漠と言う環境を考えると、蜃気楼の可能性もあるだろうか?

 まあ、それは置いておくとしてだ。


「北、南はエリアの境界が見えない。やっぱり広いのね」

「まあ、当然と言えば当然でチュよね」

 北と南はどこまでも砂漠が見えている。

 いや、微かだが、南の方に火山が沸き起こっているであろう煙が見えるか?

 となると、僅かにだが南に寄っているかもしれない。


「西は……んー? 壁? 山? よく分かんないわね」

「なんなんでチュかね?」

 西の方は……本当に微かだが、山の陰のようなものが見えなくもない。

 どうやら何かはあるらしい。

 とは言え、そちらの方へ進むのであれば、今の私ならば地上を進むのではなく、『理法揺凝の呪海』経由で進んだ方が早いし、楽だし、確実だと思うので、進む時が来たら、そちらを利用して進むが。


「む、そろそろ降りた方がよさそうね」

「でチュね」

 周囲に不穏な空気が漂い始めている。

 どうやらお仕置きモンスターの類が接近してきているようだ。

 と言う訳で、とっとと地上に降りる。

 だが、ただ降りるのでは勿体ないので、情報収集は継続。


「プレイヤーも居る。モンスターも居る。ダンジョンもある。けれど一部のダンジョン周囲の呪詛の流れが少しおかしいわね」

「おかしいんでチュか?」

「呪詛を一切吐き出していないダンジョンがあるのよね。それなのに呪詛濃度が上がっていないと言う事は、何処かに呪詛が流れていると言う事。たぶん、レイドボスの居る領域に繋がっているダンジョンね」

 まず、呪詛の流れがおかしいダンジョンを確認した。

 とは言え、これはあって当然のものと言える。


「不審な動きをしているプレイヤーも居たわね」

「居たんでチュか?」

「ええ。微かに影が見えただけなんだけど、やけに周囲を気にしているなと感じるプレイヤーの集団があったわ」

 着地成功。

 さてここからどうするか。


「モンスターは?」

「変なのは居なかったわね。と言う訳で、周囲を気にしている感じのプレイヤーを追ってみましょうか。何かあるなら確認したいわ」

「分かったでチュ」

 まあ、不審なプレイヤーを追ってみよう。

 とは言え、呪詛濃度5の地上で、装備と呪詛支配によって呪詛濃度20前後の霧を纏っている私に隠密行動は不可能なので、正面から堂々と追う事になるが。

 さて、何があるか楽しみだ。

02/02誤字訂正

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― 新着の感想 ―
[一言] >サーチデザート タル「おっ○ーザリチュ、デザート」 ザリチュ「何が言いたいかよくわからないけどとりあえず伏せ字にしておくでチュ」 >「アイアムトマトを何度やった事やら…」 「アカーン!!…
[一言] ≫「あ、今日はザリチュも居るんだ」 いつも居るんだよなぁ ≫周囲を気にしている感じのプレイヤーを追ってみましょうか 密猟者がジャングルで怪物に襲われる系の映画みたい 目立ってるプレイヤー…
[一言] 親方!空から女の子が!(呪詛濃度20)(動くカース)(成長するカース)(隙あらば未知)(異形度で差をつけろ)
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