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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
7章:『理法揺凝の呪海』

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394:ニューヒートサースト-5

「『禁忌・虹色の狂眼(ゲイザリマン)』!」

 呪詛を込めて紡がれた詠唱が終わると共に、私の体にある13の目から虹色の光が放たれる。

 対象は熱拍の幼樹呪であり、その体には呪詛の種と呪詛の星が重なっている。

 つまり、『禁忌・虹色の狂眼』に『呪法(アドン)感染蔓(スプレッド)』、『呪法(アドン)破壊星(ミーティア)』、『呪法(アドン)方違詠唱(ハイキャスト)』を組み合わせた、現状の私が経験値の事を考えずに放てる最大の一撃が熱拍の幼樹呪に向かって放たれた。


「あー……」

 効果は絶大だった。

 熱拍の幼樹呪の体内で私が持つ13の邪眼術の効果が発揮され、毒のエフェクトが生じ、炎と電撃と闇が荒れ狂い、全身が震え出し、石と化し、虹色の蔓が伸びて絡みつく度に小規模な爆発を起こしては全身が砕け散っていく。

 破片はこちらに届くよりも早く落ちて行くので問題はないが……。


「これは拙いかもしれないでチュねぇ……」

 うん、ザリチュの言う通り拙い。

 熱拍の幼樹呪には根性、ガッツ、食いしばり、作品ごとに色々な呼ばれ方があるが、とにかく一撃では死なないようになる特性がある。

 その特性と、受けた攻撃に対処出来るように変異する能力を組み合わせる事で、物理的な攻撃を用いる外敵に襲われた際に熱拍の変異樹呪に変異、外敵を排除する習性を持つ。

 で、変異先である熱拍の変異樹呪から得られる素材は、熱拍の幼樹呪がどのような変異を遂げたかによって、細かい性質が変わってくる。


「やらかしたわね。これは……」

 そんなわけで、『禁忌・虹色の狂眼』による変異を遂げた熱拍の変異樹呪から得られる素材に興味を持った私は、化身ゴーレムと言う新たな手札を得た事もあって、今回回収に来たわけだが……。

 うん、完全にやらかした。


「ーーーーー……」

 熱拍の幼樹呪は変異しようとした。

 変異しようとしたが、虹色の蔓に包まれ、押し潰され、圧倒され、まるで、底なし沼に飲み込まれていく人のように、虹色の球体から押し潰された叫び声を漏らし、助けを求めるように伸ばされた手を引きずり込まれ……


「あ、ギリギリ残った」

「本当にギリギリでチュけどね……」

 最終的には直径1センチほどの虹色の球体と化してしまった。


「でも砕けた」

「石化の効果でチュかねぇ」

 そして、虹色の球体は急いで接近、回収した私の掌の上で砕け散り、塵となって消えてしまった。


「うーん、ホラーでっチュね?」

「まあ、ホラーなのは否定しないでチュよ。それと、可愛く言っても無駄だと思うでチュよ。たるうぃ」

 どうやら私は強くなりすぎてしまったらしい。

 いや、私がと言うよりは、『禁忌・虹色の狂眼』と『呪法・感染蔓』の相性が危険すぎると言うべきか?

 とにかく『禁忌・虹色の狂眼』を多段ヒットさせてしまうと、ズワムのような規格外の相手でもない限りは素材を残す事すら叶わなくなってしまったようだ。

 しかも、相手を消し去る工程が完全にホラーのそれである。

 虹色の球体にする形で押しつぶすとは……。

 これで原始呪術『風化-活性』や『不老不死-抑制』を組み合わせた日にはいったいどうなるのだろうか?

 気にはなるが、入念に安全対策をしておかないと、私自身含めて、取り返しのつかない事になる気がする。


「あ、検証の方はどうでチュか?」

「そっちはまあ、予想通りね」

 うん、やってしまったものは仕方がないので、気を取り直そう。

 さて、今回の『禁忌・虹色の狂眼』使用では一つの検証を含んでいる。

 それは最大HPや最大満腹度を削るザリチュの渇砂操作術との兼ね合いだ。


「と言うわけで結果発表よ」

 『化身』は使用時に最大HPの30%、最大満腹度の30%、最大値が減って、これは化身ゴーレムが居る限り回復しない。

 私の本来の最大HPは1,240の最大満腹度は150。

 これが『化身』のコストで減って、最大HP868の最大満腹度105。


 『禁忌・虹色の狂眼』は使用すると、現在の状況では最大HPの21%、最大満腹度の39%の現在値を消費する。

 本来のステータスで使用するなら、HPを260、満腹度を58は消費する。

 これが『化身』のコストで最大値の減少に伴って減るならば、HPは182、満腹度は40の消費で済むようになる。


 と言うわけで、後者になる可能性へ期待を込めて、今回検証してみた訳だが……。


「思いっきり本来のステータスに基づいた計算式で削られたわ」

「でっチュよねー」

 はい、前者のHP260、満腹度58のパターンでした。

 まあ、イベント中に『化身』のコストが回復しきらないままに次の『化身』を使ったら、コストが積み重なっていたのだ。

 ならばこの結果は妥当と言う他ない。


「とりあえずこれで、計算式が最大値に依存するタイプのコストは、最大値が減っていても本来のステータスで計算される。と言う風に考えていいわね」

「でチュね。例外はいずれ見つかるかもでチュが、基本的にはたるうぃの考えた通りでいいと思うでチュ」

 なお、この結果については検証班に報告を上げておく。

 コストがステータスの最大値に関係してくる呪術やアイテムが現状どのくらいあるかは分からないが、知っておいても損にはならないだろう。


「じゃあ、今日のところは引き揚げましょうか。熱拍の幼樹呪の解体もしないといけないわけだし」

「でチュね」

 そういう訳で、やるべき事を済ませた私たちは第五階層に帰還。

 腕ゴーレムとアップグレードした機材を利用する事で熱拍の幼樹呪を解体。

 解体して得た熱拍の幼樹呪の素材を使う事で、第三回イベントで得た機材のアップグレードをさらに進めた。


「んー、何処かで金属を手に入れてきたいわね」

「釣り合いを考えるとカース素材相当の金属でチュかね」

「ま、今日のところはログアウトね。『化身(ザリチュアバタ)』も解除で」

『分かったでチュ』

 そうして区切りがいいところで、ログアウトをしたのだった。

01/15誤字訂正

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― 新着の感想 ―
[一言] 感染を入れなければ大丈夫かな、ゲイザリマンに適応した相手とかなかなか大変そうだが アップグレード祭りじゃー
[一言] >変異しようとしたが、虹色の蔓に包まれ、押し潰され、圧倒され、まるで、底なし沼に飲み込まれていく人のように、虹色の球体から押し潰された叫び声を漏らし、助けを求めるように伸ばされた手を引きずり…
[気になる点] おや、フルブーストゲイザリマンで倒したけど、獲得称号なしですか
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