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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
6章:『呪われた戦場の悪夢』
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364:3rdナイトメア5thデイ-2

ザリア視点です

「て、敵襲!!」

「ゴーレムがなんぼのもんじゃアアァァ!」

「ぶち破れええぇぇ」

「私のゾンビを傷つけんじゃねぇ!!」

 まず騎馬隊が南西の砦へと突っ込んでいく。

 野外陣地は進路上に居たプレイヤーをひき潰しつつ、壁は破砕し、逆茂木は避けて突破する。

 岩と土で出来たゴーレムについては近づいた白陣営プレイヤーに反応して抑え込みにかかると言うルーチンのようなので、此処にいる白陣営の中でも身のこなしに優れた一人に囮になってもらい、引き剥がす。


「馬鹿め! ただの突撃で石の壁を打ち破れると……」

「梯子を掛けさせるな!」

「返り討ちにしてくれる!!」

 そうして騎馬隊は城壁に到達。

 動物型プレイヤーと、それに跨ったプレイヤーたちは分離して、組み立て式の梯子を城壁へ何本も掛けようとする。

 すると当然ながら城壁の上に居る黒陣営のプレイヤーの目はそちらに向く。

 そのタイミングで……


「「「ヒャッハアアアァァァ!!」」」

「「「なっ!?」」」

 ゾンビ馬……正確に言えば95度程度の壁までならば駆け上れる特殊な足を持つ馬型モンスターのゾンビが、その背にプレイヤーたちを乗せたまま城壁を駆け上がる。

 そして城壁の上で騎馬兵が暴れ回ると言う、現実ではまず目に出来ないような光景が広がっていく。


「さあ今の内全員上るのよ!」

「「「おうっ!!」」」

 このゾンビ馬は白陣営のネクロマンサーが今回のイベントに使えると思って、事前に複数体をとあるダンジョンで確保したものだと聞いている。

 本人は七日目に使って度肝を抜きたかったようだが、タルの暗躍で七日目に持ち込むのが難しくなったため、今日投入してくれたらしい。


「さて、この辺ね」

「……」

「おうし、俺らの仕事だな」

 さて、城壁上で騎馬隊と大多数のプレイヤーが頑張っている間に、別ルートの開拓もしてしまうとしよう。

 各砦の内部構造は事前に公表されている。

 その公表されている情報によれば、各砦には数か所、明らかに城壁が薄い場所がある。

 壊してくださいと言わんばかりに。

 が、実際にはこの薄い場所を破壊するのは難しい。

 一般プレイヤーならばともかく、『エギアズ』ならば初日の内に生産組の力を借りて補強しているはずだし、白陣営では『光華団』の指示で実際にやっているのだから。


「おらぁ!」

「ふんっ!」

 だから、そこから少し離れた場所、薄くはないが厚くもない場所を狙って仕掛ける。

 ロックオとオンガの呪術込みの攻撃によってヒビを入れる。


「タルの事だから見ているんでしょうね。これも」

「……」

「ま、仕方がねえさ」

 そうして入ったヒビへと特別製の液体を流し込んでいく。

 実を言えば、これは出来れば七日目に残しておきたかった、私の切り札である。

 が、私はエリクサー症候群には罹患していないので、切るべき時には躊躇わず切る。


「では……咲き誇りなさい! 『咲けよ(ブラッディ)血の花(フラワリング)』!!」

 私はヒビに向けて『咲けよ血の花』を放つ。

 『呪法(アドン)(イン)注入(ジェクション)』は当然乗せるし、相手がただの壁である事をいいことに、制限時間内で放てるだけの斬撃を放って出血を蓄積させる。

 そして最後の一突きでもって起爆。

 事前に流し込んだ特別製の液体によって出血による爆発は更に強化されているので……


「「「!?」」」

「よし」

 私の最後の一突きを起点とし、城壁が爆発。

 城壁の内側へと瓦礫が吹き飛んでいき、運悪くその場にいた黒陣営のプレイヤーたちを仕留めていく。


「おうし、上手くいったな」

「……。オクトヘードの計算通りだったな」

「そうね。ギリギリ行けると聞いた時は耳を疑ったけど、上手くいって何よりだったわ」

 開いた穴から私たちは砦の中へと突入。

 瀕死の状態のプレイヤーにトドメを刺していくと共に、眠っているプレイヤーや生産職を中心に部屋の中で閉じこもっていたプレイヤーたちを仕留めていく。


「ギャアアアッ!」

「ちくしょう! よくも……後ろからアアァァ!?」

「ふははははっ! 逃げる敵はただの敵だ! 逃げない敵はよく訓練された敵だぁ!!」

「おっ、居たわね」

 そうして砦の中を進んでいく内に、上からやってきたプレイヤーと合流。

 何人か減っているが、どうやらあちらも無事だったようだ。


「ゾンビ馬は?」

「あっちでゴーレム使いの本体と遭遇してな。今はゾンビとゴーレムの軍団で戦争中。キャパの関係とやらでゾンビ馬は回収された。ま、この砦の中で馬は取り回しが悪いしな。こっちはこのまま砦を制圧していくから、ザリア隊長は援軍を頼む」

「なるほど。分かったわ。行きましょう」

 私は激しい戦闘音が響いている方へと駆けていく。

 そうして見えてきたのは、広間で5体のゴーレムと、無数のゾンビが戦いを繰り広げている光景。

 それぞれの術者は自分の得物に指示を出しつつ、相手を睨みつけている。

 どうやらゾンビの攻撃はゴーレムにあまり効かないが、ゴーレムの方も数が少ないので、戦況が拮抗しているようだ。


「援軍に入るわ」

「相手本体を頼みます」

「分かったわ」

 状況を確認したところで、私たちは戦場に突入。

 ゴーレム使いに針を投げつけて沈黙にした上で切りかかる。

 ロックオとオンガも攻撃を仕掛けて、押していく。

 五体のゴーレムがそれぞれ別に動き、襲い掛かって来たのには驚いたが、バリエーション豊かなゾンビの働きもあって、戦況は傾いていく。


≪砦1-3を白の陣営が獲得しました≫

「よし」

「ふぅ」

「……」

「助かりました」

 時間こそかかったが、特に危うい場面もなく戦闘は終了。

 同時に砦もこちらの物になった。


「さて、折角取った砦をそのまま取り返されるわけにはいかないわよ」

「「「おうっ」」」

「最後まで暴れるわよ」

「「「ヒャッハアアァァ!」」」

 が、今現在私たちが居るのは敵陣の真っただ中である。

 ぶっちゃけ、どんなに粘れても明日の朝には取り返されているだろう。

 なので私たちは……徹底的に砦を破壊してやることにした。

 門を破壊し、城壁を崩し、僅かな備蓄に火を放ち、井戸に毒を投げ込み、その上で道連れに出来るだけ黒陣営のプレイヤーを道連れにしながら、死に戻りした。

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― 新着の感想 ―
[一言] ≫「私のゾンビを傷つけんじゃねぇ!!」 嫌なら引っ込めろ!つーかたぶん戦闘で傷つくの前提の運用だろそいつ ≫95度程度の壁までならば駆け上れる特殊な足を持つ馬型モンスターのゾンビ 馬が登れ…
[一言] >「馬鹿め! ただの突撃で石の壁を打ち破れると……」 マントデア「ん?何か言ったか?」 >が、実際にはこの薄い場所を破壊するのは難しい。 壁が薄いからとギシアンが聞こえるだけの仕掛けで対策…
[良い点] タルのせいで他プレイヤーの行動のハードルが下がりまくっててワロタ まぁ実際はタル100%じゃなくてタル+黒の本陣奇襲=白「ポイントの為ならなんでもやったら〜!」だとは思うが ヒャッハー…
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