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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
6章:『呪われた戦場の悪夢』

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351:3rdナイトメア3rdデイ-2

「さて、まずは罠の解除を目指すべきかしらね」

「そうですね。入念に調べるなら、アイムさんとの戦闘は避けられないでしょう」

「なら、そのつもりで」

 北の山の麓に着いた私は、一度北の山全体を見渡す。

 異常らしい異常は見当たらない。

 強いて言えば、山の頂上から上空の呪詛の霧に向かって、呪詛の霧の柱が立ち上っているのが、初日時点では無かったことなので異常と言えるくらいか。

 でもこれは山の中に砦があって、そこにタルが居るのであれば、当然の光景と言えるだろう。


「ぬぐあああぁぁぁ!?」

「黒陣営かしら?」

「あるいは白陣営かも。ただし、掲示板を見てない」

「あー……居ないとは言えませんよね。裏取りするなら第一候補のルートですから」

 左手に今回のイベントの境界である断崖絶壁を眺めつつ山を登っていく私たちの耳に他のプレイヤーの叫び声が届いた。

 叫び声が一つだけであったことからして単独だったようだ。


「でも今はもう白も黒も山経由での裏取り対策は万全よね?」

「万全。さっき見てもらったとおり、麓には陣地が築かれている」

「私たちの側がそうなら、黒側もそうでしょうねぇ」

 で、その後に声が続かない事を考えると死に戻りしたようだ。

 私たちは注意を払いつつ先に進んでいく。


「さて、罠が出現し始めたわね」

「ワイヤーに……矢?」

「その通りです。ただの矢ではないかもしれませんけど」

 私は木の間にワイヤーが仕掛けられていて、そのワイヤーに引っかかると矢が放たれる罠を発見する。

 回避してもいいが……試してみよう。


「切るわよ」

「分かりました」

「分かった」

 私はかがんだ状態で細剣を伸ばし、ワイヤーを切断する。

 すると罠が発動して矢が放たれる。

 矢の通るルートは、私が立っていた場合に胸へ当たるようなものであり、かがんでいる私には当たるはずがない物。

 が、矢は空中でその軌道を捻じ曲げ、私へと向かってくる。


「ふんっ!」

 しかし来ると分かっているならば、払い落とす事は容易い。

 私は剣を振り上げて矢を弾き、弾かれた矢は地面に落ちて、完全に動きを止めた。


「なるほど。呪いを利用しているから、こういう事も出来るのね」

「回避型の天敵?」

「かもしれませんね」

 どうやらアイムさんの使う罠は、引っかかった人間の姿勢やちょっとした動き程度では外れないようになっているらしい。

 こうなると、地雷についても踏んだ人間だけでなく、踏んだ人間と一緒にいる人間も効率よく吹き飛ばせるような呪いが施されているとかありそうだ。

 なお、ストラスさんはアイムさんとそこまで親しいわけではなく、検証班の人数の多さに、未検証事項については仲間内であっても検証の被りを防ぐ程度の情報共有しか行われていない事情もあって、アイムさんの使う罠の詳細までは知らないらしい。


「じゃあ先に……」

「ストップ。ワイヤーの陰にもう一本ワイヤーがある」

「二重罠……そう言うのもあるのね」

 ライトリカブトさんの指摘を受けて、私は再度細剣を振るった。

 そして、その後も罠の処理をしつつ北の山の中を進んでいく。

 進んでいくのだが……。


「罠が多いわね。昨日の比じゃないわよ」

「もしかしたら仲間に遠慮しなくて済むようになったから……」

「あー、ありそうですね。それ。レライエさんは北の山中を行ったり来たりしていたようですし」

 とにかく罠が多かった。

 そして凶悪だった。

 最初のワイヤーからの矢や、蔓が絡まり逆さ吊りにされるスネアトラップぐらいなら可愛いもので、罠を起動させると、超高速で小型の鉄球が飛んでくるもの、丸太が飛んでくるもの、何処からか大岩が落ちて来るもの、酸が噴出されるもの、毒霧が生じるものなど、まるでローグライクゲームに出て来るような罠が幾つも私たちに襲い掛かってきた。

 中には踏むと特定の方向に跳ね飛ばされる仕掛けが四つ程連動する形で仕掛けられており、その罠で吹き飛ばされた先に槍が仕込まれた落とし穴があって、PTを一網打尽にする事を狙ったものまであり、本当に殺意が高い。

 そしてアイムさんが罠を仕掛けられる程度には近くに居る事を示すように、次の一歩が触れる地面あるいは歩みの補助として掴もうとした木の幹に突如として罠が現れる事もあった。

 極悪である。


「「「ぎゃあああぁぁぁっ!?」」」

 と、此処で本日何度目になるのかも考えたくなくなってきた叫び声と爆音が響く。

 どうやら数人が跳ね飛ばし系の罠にかかり、跳ね飛ばされた先にあった地雷によって爆散させられたようだ。


「……。早い所見つけださないとヤバいわね。被害がどんどん拡大していっているわ」

「そうですね。早く見つけ出さなければ」

「でも何処に居る?」

 私たちは改めて周囲を見る。

 先ほどからの攻勢の激しさを見る限り、この付近にいる事は間違いない。

 だが誰もアイムさんを見つけられていないと言う事は……普通に探していたら見つからない場所にいるのだろう。

 それこそ木の上や土の中……は無理らしいので、岩の陰、苔や藪に紛れてと言う可能性もある。

 となると、色よりも形で見つけようと思った方がいいかもしれない。


「……」

 そう思って周りを見ていると……気づいた。

 樹の根元、半分くらい地面に埋もれるように、薄汚れた宝箱がある事に。

 そして、その周囲の罠が少しだけ他よりも多い事に。


「見つけたあぁ!」

「「!?」」

 だから私はその箱に突進し、細剣を突き刺し……


「!?」

 宝箱が爆発した。


「ザリアさん!?」

「ダミー」

 私は大きく吹き飛ばされたが、幸い死んではいない。

 死んではいないが……。


「まさかダミーまで用意しているとは思わなかったわ……流石は罠使い……」

 どうやらアイムさんの討伐は一筋縄ではいかないようだった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] この跳ね飛ばし罠の仕掛け方、もしやアイムボックスはアストロノーカのファン!?
[良い点] というかですね、数多あるダンマス系小説の中で多くの作者が自重して制限きた事の1つに 攻略中のフィールドにピンポイントで追加罠発注というものがありまして(^_^;) (……いいぞ、もっとヤ…
[一言] ≫「見つけたあぁ!」 あ、恥ずかしいやつだこれ 宝箱の中に女の人だったら萌え系ミミックみたいだな まぁ中身がどんな見た目か分からないけど……なんとなくやどかりだと思ってる
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