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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
5章:『熱樹渇泥の呪界』
329/1000

329:リスプレッド-1

「ん?」

「お久しぶりでございます。タル様」

 火曜日。

 『CNP』にログインしようとしたら、C7-096に遭遇した。

 どうやら何かしらの連絡事項があるらしい。


「何かあったのかしら?」

「誠に申し訳ありませんが、タル様の呪法『呪法(アドン)感染蔓(スプレッド)』に修正が入る事になりました。一体の敵に対して多段ヒットする仕様の強さを鑑みての事になります」

「む……」

 『呪法・感染蔓』の修正か。

 ズワムを倒す時に散々使ったわけだが、アレで流石に強すぎると判断されたのだろうか。

 悲しいとか悔しいとかいう感情がないわけではないが、それが運営の適切な判断の下に出された結論であるなら、受け入れる他ない。


「データを確認させてもらっても?」

「どうぞ。なお、本修正はタル様だけでなく、同様の呪法……単体対象かつ単発の呪術を複数回繰り返す事で、複数人への行使を出来るようにする呪法を所有している全てのプレイヤーに対して行われています」

「つまり、私だけを狙い撃ちにしたわけではないのね。事実はどうあれ」

「そういう事ですね」

 私はC7-096からもらった新たな『呪法・感染蔓』のデータを確認する。



△△△△△

呪法(アドン)感染蔓(スプレッド)

効果:呪詛を固めた種、条件を満たして発動した邪眼の数に応じて、発動した邪眼術の性能低下と引き換えに効果が広がっていく。

効果詳細:(O=起点、n=発動した邪眼の数、m=Oから数えて何次の感染対象であるか)

・Oには100%の効果が発揮される。

・Oからはn本の蔓が、感染対象からは1本の蔓が生じ、1秒かけてnメートル伸び、蔓に触れたものが次回の感染対象となる。

・蔓が巻き付いた感染対象に、O-7m%(小数点以下切り上げ、1%未満にはならない)の効果が発揮される。

・これをn回繰り返す。

・次回の感染対象が確保できなかった蔓は停止する。

・一度蔓を伸ばしたものはn×180秒間、『呪法・感染蔓』の対象にならず、新たに蔓を伸ばす事もない。


条件1:呪詛の種はタルの表皮から10センチメートル以内の空間で作成する事。

条件2:呪詛の種を作成する際に起点、感染対象、両者に共通するイメージを認識している事。

条件3:呪詛の種と邪眼対象の体が重なっている事。

条件4:出現している呪詛の種が1個以内である事。


根を張り、蔓を伸ばし、呪いは広がっていく。敵と味方を見極める事で邪眼の輝きは増していく。

注意:次回の感染対象を確保できなかった蔓が発生した場合、蔓の数×20のHPダメージを受けます。

注意:一度使用すると、10分間は使用できなくなる。

▽▽▽▽▽



「……。弱体化はされているけど、戦闘中に一度しか使う気が無いなら、むしろ強化されていないかしら? これ」

「修正とは言いましたが、弱体化とは言っていませんよ。タル様」

 修正点は四つ。

 一つ目は効果減少に下限値が設けられ、それに伴って蔓の停止条件が感染対象が確保できなかった場合だけになった。

 二つ目は一度感染した相手に対して再使用出来るようになるまでの時間の延長で、13の目で発芽させたもので感染させると、39分もの間、対象に出来なくなる。

 三つ目は作り置きが出来なくなったことで、使用の度に作り直さないといけなくなった。

 四つ目は『呪法・感染蔓』そのものに再使用時間が設けられた。

 使える頻度が大きく下がっているので、全体的に言えば弱体化となる。

 が、一つ目の修正点のおかげで、より多くの敵を巻き込んだり、単体に多段ヒットさせる場合の威力増強は大きく強化されている。

 運営的には威力面よりも、頻繁に使える事の方が問題だったと言う事だろうか?


「まあ、この修正なら、私はむしろ歓迎するわ。超大型ボスや絶え間ない連戦でもなければ、むしろ強化とすら言えるわけだし」

「ご納得いただけて何よりでございます」

 あるいは、運営のプレイヤーが努力で手に入れたものは出来るだけ無下にしたくないと言う意思なのかもしれない。

 なんにせよ、私が今言ったとおり、これならば私は歓迎である。

 ズワム戦程の頻度で使う予定も現在はないわけだし。


「ところでタル様。イベントへの参加登録についてですが」

「土曜日にやる予定よ。出来る限りの強化をしたいと思っているから」

「分かりました。それでは土曜日の正午以降にログアウトをする際にイベントへの登録が済んでいなければ、お声を掛けさせていただきます」

「お願いするわ」

 イベントへの参加登録については土曜日でいい。

 今日を含めて、まだ五日もあるのだ。

 五日もあれば、既存の範囲でのレベル上げ、装備とアイテムの調達だけでなく、新たなアイテムの回収と、そのアイテムを基にしたアイテム作成だって出来るはずだ。

 うん、考えるだけでもワクワクしてくると言うものだ。


「連絡事項はこれくらいかしら?」

「少々お待ちを。はい、大丈夫でございます。他に連絡事項はございません」

「じゃあ、ログインさせてもらうわ」

「ありがとうございます。では、タル様。よい悪夢を」

 と言うわけで私は『CNP』にログインした。

11/18誤字訂正

11/19誤字訂正

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「私は現実のゲーム運営に場当たり的弱体化ではなく適切なバランス調整ができる能力を求めている」 [一言] この運営現実にもください 仕事っていうのはこういう事なんだよ
[一言] >「どうぞ。なお、本修正はタル様だけでなく、同様の呪法……単体対象かつ単発の呪術を複数回繰り返す事で、複数人への行使を出来るようにする呪法を所有している全てのプレイヤーに対して行われています…
[気になる点] ミミチチソギズワム 耳をそぎ 道をそぎ 未知をそぎおとす ミミズっぽいワーム ついでにタルの豊満な乳もそぎ落とせたら良かったのに [一言] 作者の人、そこまで考えてないと思うよ
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