327:ズワムアフター-3
「さあ、興奮と恐怖の確認タイムよ」
『慎重に一つずつ進めていくでチュよー』
さて午後である。
全快状態になった私は熱拍の樹呪の果実を確認するのに使った特別解体場に移動すると、そこでズワム戦の戦利品の目録を取り出す。
そして一種類ずつ最小単位で取り出して、鑑定をしていった。
△△△△△
『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムの歯
レベル:30
耐久度:100/100
干渉力:130
浸食率:100/100
異形度:15
『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムの歯の一部。
尋常ではない大きさに思えるが、これでも極一部でしかない。
あらゆるものを噛み砕き、磨り潰す力を有し、それは形のない呪いにも及ぶ。
▽▽▽▽▽
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『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムの鱗
レベル:30
耐久度:100/100
干渉力:130
浸食率:100/100
異形度:15
『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムの鱗の一部。
尋常ではない大きさに思えるが、これでも極一部でしかない。
堅く、軽く、火炎と乾燥に対して高い耐性を有する上に、砕けてもすぐに再生する力を有する。
▽▽▽▽▽
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『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムの目玉
レベル:30
耐久度:100/100
干渉力:130
浸食率:100/100
異形度:15
『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムの目玉。
尋常ではない大きさに思えるが、これでも小型化されている。
受けた呪いを記憶して、光球として放出する力を有する。
▽▽▽▽▽
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『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムの油
レベル:30
耐久度:100/100
干渉力:130
浸食率:100/100
異形度:15
『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムの体液。
必要に応じて粘性の度合いや状態などの性質を自在に変化させる事が可能な不思議な油。
油が必要ならば、これ一種類で全てに対応が可能であると言ってもいい。
注意:現在の容器は再利用できません。中身がなくなると共に消滅します。
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『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムの血
レベル:30
耐久度:100/100
干渉力:130
浸食率:100/100
異形度:18
『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムの血液。
尋常ではない巨体を支えるために必要な要素を全身へくまなく送れる力を持った液体。
濃密な呪いを帯びているとも言える。
注意:現在の容器は再利用できません。中身がなくなると共に消滅します。
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『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムの柔皮
レベル:30
耐久度:100/100
干渉力:130
浸食率:100/100
異形度:15
『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムの柔らかい皮。
見た目は薄いゴムのような皮であり、引っ張るとよく伸び、高い衝撃吸収能力を持つ。
だが、打撃だけでなく斬撃と刺突を含めた、あらゆる物理的攻撃に対して耐性を有している。
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『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムの毛皮
レベル:30
耐久度:100/100
干渉力:130
浸食率:100/100
異形度:16
『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムの毛皮。
あらゆる環境に真っ先に飛び込む部位であるためか、高温、低温、湿潤、乾燥、その他さまざまな外的要因に対して高い適応能力を有している。
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『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムの肉
レベル:30
耐久度:100/100
干渉力:130
浸食率:100/100
異形度:18
『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムの肉。
カースの肉は呪いの塊と言ってもいい、こんなものを食べても大丈夫なのは、同じカースくらいだろう。
なお、正体さえ知らなければ、誰もが絶賛する程度には味の保証はある。
注意:異形度19以下の存在が食べると100%の確率でランダムな呪いを恒常的に得て、異形度が1上昇します。
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『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムの糞
レベル:1
耐久度:100/100
干渉力:100
浸食率:100/100
異形度:1
『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムの排泄物。
完全に噛み砕かれ、消化され、帯びていた呪いが除去されているために、食べる前が何であったのかは分からない。
栄養分に富むと同時に、新たな呪いを受け付けない性質を持つため、清浄な土とも言えるかもしれない。
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『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムの声帯
レベル:30
耐久度:100/100
干渉力:130
浸食率:100/100
異形度:18
『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムの発声器官。
人の可聴域外の音を上下どちらの方向でも出すことが出来る、極めて優秀な発声器官。
知識を持って特定の音を出せば、聞いたものの聴覚を一時的に奪う事も可能。
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『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムの心臓
レベル:30
耐久度:100/100
干渉力:130
浸食率:100/100
異形度:21
『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムの心臓。
人間の体とほぼ同じ大きさの心臓は、まるで脳のように自分が万全であったころの記憶を持っている。
そう、まだ死んでいないのだ。
心臓は周囲の呪詛を吸い集める事で、復活を目論んでいる。
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「はい焼却。呪詛属性と毒も乗せていくわよー」
『うんまあ、知っていたでチュねー』
カロエ・シマイルナムンの時と同じように、心臓は目録から取り出すと同時に復活を目論んで周囲の呪詛を吸い始めた。
なので私はそれを阻止するべく、『灼熱の邪眼・2』、『毒の邪眼・2』、『暗闇の邪眼・2』で復活できないように破壊。
灰になるまで焼き尽くした。
で、灰の鑑定結果がこれになる。
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『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムの灰
レベル:30
耐久度:100/100
干渉力:100
浸食率:100/100
異形度:15
『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムの素材を燃やして得られた灰。
呪いそのものであるカースが基になった物質であるため、周囲の呪詛を集めやすい。
路削ぎと言う様々な繋がりを破壊する呪いに関わりがある。
心臓が基になったためか、他の素材を燃やして得た灰よりも質が良い。
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「これで確認は終了ね。うんまあ、分かってはいたけど、今の私だとちょっと扱いきれないわね……」
『レベル差7は流石に挑戦する気にはならないでチュよねぇ……って、何をやっているんでチュか』
私はズワムの灰を回収すると、ズワムの血と油、肉を挽いて細かくしたもの、それに『ダマーヴァンド』の毒液を混ぜていき、特製の液体を作成する。
「何って、自発的な強化は無理でも、システムの方で勝手にやってくれる強化については、今の私でも問題なく出来るでしょ?」
『それは……まあ、そうかもしれないでチュが』
で、そうして出来た液体とズワムの素材を呪怨台の前に持っていくと、作業開始。
私はズワムの歯に『呪法・方違詠唱』の法則に合わせて文字を書き込んでいく。
「よし始まった」
するとある程度書き込んだところで、ズワムの歯が砕け散って、呪怨台に吸い込まれていき、呪怨台は呪詛の霧に包みこまれる。
予定通り呪怨台のアップデートが出来たようだ。
が、時間がかかるようなので、他のアップデートの準備もしておこう。
と言うわけで、目玉、柔皮、声帯にも同じように文字を書き込んでいく。
「出来上がりね」
『なんか全体的に豪華になったでチュね』
「そうね」
呪詛の霧の中から現れた呪怨台は各所に私の目をモチーフとしたような虹色の宝石が付いている。
で、私が変化した呪怨台の確認をしている間に、他のアップデートが行われた。
目玉が砕け散り、『鑑定のルーペ』と合体して、付属の紐がズワムをモチーフとした感じのしっかりした物に変化した。
柔皮が砕け散り、セーフティーエリア及びマイルームと融合して、面積が倍以上に広がった。
声帯が砕け散り、私の体に取り込まれて、BGM再生機能とやらが追加された。
「折角だし、毛皮と鱗にも書き込んでみましょうか」
『でっチュねー』
アップデートは更に行われる。
毛皮は柔皮と同じように結界扉に取り込まれて、恐らくだが外の影響の中で、私にとって良くないものをシャットダウンする力が強まった。
鱗は……驚くことに回復の水に取り込まれて、回復能力が向上、同時にフェアリースケルズも強化されたようだった。
「えーと、鑑定結果はと」
と言うわけで、私の推測を確かめるためにも、最後に鑑定できるものは鑑定してみた。
△△△△△
『虹瞳の不老不死呪』・タル レベル23
HP:1,200/1,220
満腹度:148/150
干渉力:122
異形度:21
不老不死、虫の翅×6、増えた目×11、空中浮遊、呪圏・薬壊れ毒と化す、遍在する内臓
称号:『呪限無の落とし子』、『生食初心者』、『ゲテモノ食い・3』、『毒を食らわば皿まで・3』、『鉄の胃袋・3』、『暴飲暴食・3』、『大飯食らい・2』、『呪物初生産』、『呪術初習得』、『呪法初習得』、『毒の達人』、『灼熱の名手』、『沈黙使い』、『出血の達人』、『淀縛使い』、『恐怖使い』、『小人使い』、『暗闇使い』、『乾燥使い』、『呪いが足りない』、『かくれんぼ・1』、『ダンジョンの創造主』、『意志ある道具』、『称号を持つ道具』、『超克の呪い人』、『1stナイトメアメダル-3位』、『2ndナイトメアメダル-1位』、『七つの大呪を利する者』、『邪眼術士』、『呪い狩りの呪人』、『呪いを支配するもの』、『???との邂逅者』、『呪限無を行き来するもの』、『砂漠侵入許可証』、『火山侵入許可証』、『虹瞳の不老不死呪』、『生ける呪い』、『雪山侵入許可証』、『海侵入許可証』
呪術・邪眼術:
『毒の邪眼・2』、『灼熱の邪眼・2』、『気絶の邪眼・1』、『沈黙の邪眼・2』、『出血の邪眼・1』、『小人の邪眼・1』、『淀縛の邪眼・1』、『恐怖の邪眼・3』、『飢渇の邪眼・1』、『暗闇の邪眼・2』、『魅了の邪眼・1』、『石化の邪眼・1』、『禁忌・虹色の狂眼』
呪術・原始呪術:
『不老不死-活性』、『風化-活性』
呪術・渇砂操作術-ザリチュ:
『取り込みの砂』、『眼球』、『腕』、『鼠』
呪法:
『呪法・増幅剣』、『呪法・感染蔓』、『呪法・貫通槍』、『呪法・方違詠唱』、『呪法・破壊星』
所持アイテム:
呪詛纏いの包帯服、熱拍の幼樹呪の腰布、『渇鼠の帽子呪』ザリチュ、『太陽に捧げる蛇蝎杖』ネツミテ、『呪山に通じる四輪』ドロシヒ、鑑定のルーペ、毒頭尾の蜻蛉呪の歯短剣×2、喉枯れの縛蔓呪のチョーカー、毒頭尾の蜻蛉呪の毛皮袋、フェアリースケルズ、タルの身代わり藁人形、蜻蛉呪の望遠鏡etc.
所有ダンジョン
『ダマーヴァンド』:呪詛管理ツール、呪詛出納ツール、呪限無の石門、呪詛処理ツール設置
システム強化
呪怨台参式・呪詛の枝、BGM再生機能、回復の水-2、結界扉-2、セーフティ-2
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呪怨台参式・呪詛の枝
レベル:25
耐久度:∞/∞
干渉力:100
浸食率:100/100
異形度:15
周囲の呪詛を集めて、台の上に置かれた非生物を呪う事が出来る。
呪術の習得に関係するアイテムの作成にプラスの補正がかかる。
高異形度のアイテムの作成にプラスの補正がかかる。
注意:レベル不足のため、プラス補正が100%の効果を発揮しません。
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回復の水-2
レベル:25
耐久度:∞/∞
干渉力:100
浸食率:100/100
異形度:15
呪人にかかっている不老不死の呪いを活性化させることによってあらゆる傷を癒す事が出来る緑色の液体。
器を置かれた場所から動かす事は出来ないが、置かれた部屋の中ならば何処に居ても回復効果は得られる。
追加機能:強化されたことによって、湧き出す液体の効果が強化された。
追加機能:自己修復機能を有するアイテムの回復も早まる。
注意:レベル不足のため、追加機能が100%の効果を発揮しません。
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フェアリースケルズ
レベル:19
耐久度:100/100
干渉力:110
浸食率:100/100
異形度:16
回復の水が染み込んだ粉塵が入った袋。
中身を振りかけるか、飲むかして使用する。
容量はHPにして7,500ポイント分あり、回復の水が湧き出している場所に近づくと自動補給される。
所有者が袋に触れない限り、中身が出てくることは無い。
注意:回復したHP量に応じた毒を付与する。
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『ダマーヴァンド』の結界扉
レベル:25
耐久度:∞/∞
干渉力:100
浸食率:100/100
異形度:19
『ダマーヴァンド』のセーフティーエリアに繋がる金属製の扉。
呪人以外に開ける事は出来ず、明確な意思がなければ、誰かと共に入ることも出来ない。
追加機能:外部からの害意、敵意に対する防衛力が強化された。
注意:レベル不足のため、追加機能が100%の効果を発揮しません。
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「微妙に項目が変わったわね」
『呪怨台以外もあるからでチュかね』
ステータスの表記が微妙に変わり、確認できる範囲では性能は全て向上した。
『ところで糞はどうするでチュか?』
「んー……イベントが終わった後にでも、ザリアかストラスさん経由でサクリベスに押し付けようかしら。私には要らないでしょこれ。文字を書き込めるものでもないし」
『それはそうなんでチュが……他に渡す先はないんでチュかねぇ? 豊穣関係の土だから持っていたくはないでチュけど、だからと言ってあの糞聖女に渡すのもざりちゅとしては気分を害するんでチュよねぇ。糞繋がりでちょうどいいと言えばちょうどいいかもしれないんでチュが、ただで渡すのは違うと思うんでチュよ。搾り取れるだけあの聖女から血を搾り取って……』
「はいはい、その辺にしておきましょうか。とにかく糞についてはイベントが終わってからよ」
私はザリチュの言葉を遮ると、調理用アイテム一式にズワムの油を設置、六瓶ほど設置すれば、以降調理限定で使いたい放題に出来るとの事なので、喜んでアップデートさせてもらった。
そして、ここまでやったところで私はログアウトし、今日の活動を終えた。