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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
5章:『熱樹渇泥の呪界』
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326:ズワムアフター-2

「じゃあまずは称号から」

 私は自分への鑑定を行い、『毒の達人』、『灼熱の名手』、『七つの大呪を利する者』の三つの称号を確認する。


△△△△△

『毒の達人』

効果:毒の付与確率上昇(中)

条件:毒(10,000)以上を与え、毒による与ダメージの合計が1,000,000以上かつ毒の効果が残っている状態で倒す。


ああ、悶え苦しむがいい。苦悶の声が、表情が、私の心を実に癒してくれる。

実に素晴らしい光景だ。

きっとこれ以上の光景なんて無いに違いない。

▽▽▽▽▽


△△△△△

『灼熱の名手』

効果:灼熱の付与確率上昇(小)

条件:灼熱(10,000)以上を与え、灼熱の効果が残っている間に生物を殺害する。


私の灼熱捌きは如何かな? これでもう傷を癒しても、死に近づくだけ。まだ先もあるんだけどね。

▽▽▽▽▽


「この二つについては、まあ状態異常称号として一般的な物ね」

『スタック値は一般じゃないでチュよー』

 『灼熱の名手』については特に言う事なし。

 普通の称号だ。

 『毒の達人』については……貴重な情報が隠れている。

 習得条件にスタック値を増やすだけでなく、他の条件を満たす事も要求されている。

 恐らくだが、他の状態異常の達人称号についても、スタック値以外の条件があるのだろう。


『そう言えば、沈黙や暗闇の称号は手に入らなかったんでチュね』

「そっちはたぶんズワムとの戦闘中に一度解除されているのが原因ね。まあ、次の機会に狙えばいいわ」

 『沈黙の名手』と『暗闇の名手』はズワム戦の開幕に『禁忌・虹色の狂眼(ゲイザリマン)』で与えたスタック値を考えれば、獲得条件を満たしているように見える。

 だが、あの時与えた沈黙と暗闇は戦闘中に解除されてしまっているし、その後の付与は条件を満たすほどではなかった。

 獲得できなかったのはそれが理由だろう。

 まあ、今度のイベントの時にでも狙えばいいだろう。


「はい、それじゃあ問題児その一ね」

『まあ、そう判断するでチュよね』

 問題はここからである。

 と言うわけで、『七つの大呪を利する者』の詳細を見る。

 


△△△△△

『七つの大呪を利する者』

効果:特定NPCとの友好度変化率上昇(中)、原始呪術の習得難易度低下

条件:この世を為す七つの呪いの名前を知り、原始呪術を一つ以上習得する


貴方はこの呪われた世界の根幹、その一端を知るだけに留まらず、利用するようになった。

それは世界の深淵を覗き見るための手形を手にしたとも言える。

呪いの始まりを、悪夢の始まりを、宴の始まりを知りに行くといい。

尤も、知る事を拒んだところで、あちらから近づいて来るだろうが。

勿論、この件については同じ称号を得た者にしか告げてはいけない。

▽▽▽▽▽



「……。やっぱり厄ネタじゃない」

『元が『七つの大呪を知るもの』でチュからねぇ……』

 どうやら原始呪術とやらを手に入れたことで獲得することになったらしい。

 厄介事が近づいてくるとフレーバーテキストで言ってきているので、そちらについては要警戒にしておくとして、原始呪術とやらの詳細を確認してみよう。



△△△△△

『不老不死-活性』

レベル:1

干渉力:100+発動者のレベル

CT:なし

トリガー:思考発動

効果:『七つの大呪』の一つ、『不老不死』の呪いを活性化させる。


『不老不死』の呪いとはこの世を為す七つの呪いの内の一つである。

呪人(のろいびと)を呪人とする為の呪いであり、この呪いの保有者には様々な変化が生じる。

だがこの呪いは、己の世界の負債を自分たち以外の手で返そうとする傲慢な者が生み出した呪いでもあり、世界が救われるならば世界が滅んでも良いと言う行き過ぎた忠義の思想でもある。

最も新しき大呪であり、維持と変化、相反する要素を兼ね合わせる。

▽▽▽▽▽


△△△△△

『風化-活性』

レベル:1

干渉力:100+発動者のレベル

CT:なし

トリガー:思考発動

効果:『七つの大呪』の一つ、『風化』の呪いを活性化させる。


『風化』の呪いとはこの世を為す七つの呪いの内の一つである。

この世界全てを覆い尽くし、蝕む呪いであり、文明崩壊の元凶とも言える。

だがこの呪いを生み出したのは他ならぬ人間であり、自分のものでないならば、全てを食い尽くし、利用し尽くても構わないと言う暴食の思想は特定個人ではなく、行き過ぎた節制の思想に基づく社会全体のものでもあった。

最も古き大呪であり、虚無と終焉に通じるが、救いはない。

▽▽▽▽▽



「完全なる厄ネタ!」

『『七つの大呪を知る者』とか、全然厄ネタじゃなかったでチュね!』

 いやうん、本当に『七つの大呪を知る者』とか全然厄ネタじゃ無かったわ。

 まず、推奨レベル1なのがヤバい。

 効果の割にレベルが低いのは、『禁忌・虹色の狂眼』と同じような何かと言う事であり、明らかにヤバい何かだ。

 干渉力もヤバい。

 発動者のレベルに応じると言う事は、発動者が強くなるほどに飛躍的に強まっていくと言う事だ。

 CTなしとトリガーが思考発動なのは問答無用でヤバい。

 適切な使用方法であれば、何時でも、何処でも、どういう状況でも使えると言う事なのだから。

 だが一番不味いのはフレーバーテキストだろう。


「さらっと色々な裏話を載せているんじゃないわよ」

『喜ぶでチュよたるうぃ。たるうぃの好きな未知でチュよ』

「うんまあ、喜んでいるのも確かよ。此処から探りを入れていけば、もっと面白い事に通じると思ってるから。ただ密度がねぇ……」

『濃いでチュよねぇ。本当に』

 重要事しか書いてない。

 消化不良を起こしそうなレベルである。


『それにしても行き過ぎた節制が何故暴食なんでチュかね?』

「行き過ぎた節制の先って要するに、利用できるものは何でも使う。無駄だと判断したものは切り捨てる。と言う事だからでしょ。使ってはいけないものまで使い、必要なものまで不要として、自身ごと食い尽くしてしまうのよ」

『そういう事でチュか』

「そういう事よ」

 うーん、こうなると他の原始呪術の習得を目指すべきか否か、少し迷うところである。

 何と言うか、私がもう少し強くならないと、手に負えなくなりそうな予感がするのだ。


「さて……」

 なお、『不老不死-活性』については自分のHPや肉体の再生で、『風化-活性』については最後の『呪法(アドン)増幅剣(エンハンス)』に混ぜる形で、ズワム戦で使ったのだと思う。

 こちらについては、細心の注意を払いつつ、今後も使うべき時は使うとしよう。


「一度ログアウトしましょうか。流石に疲れたわ」

『分かったでチュ。たるうぃ』

 そうして戦闘終了後の確認も一通り終えた私は、一度ログアウトすることにした。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 風化は ハルワ 不老不死は イグニティチ ? 多分!
[一言] >『毒の達人』 うわ~~、もううわ~~としか言いようがない 毒のスタック1万も合計ダメージ100万越えとか与えた側もそうだけど、喰らった側も毒だけでそれって最大HPは一千万位有ったのかあいつ…
[一言] ≫まだ先もあるんだけどね 重症化のさらなる段階があるかのようだ 厄ネタが汲めども汲めども尽き果てぬ あと5つほど取るしかないな!(検証班並感)
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