表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
5章:『熱樹渇泥の呪界』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

317/1000

317:現実世界にて-13

「さて、体験開始なわけだが、各自どういう事を学びたいかの希望を改めて出してほしい。それに合わせてこちらも動こう」

「じゃあ私は細剣についてで。大丈夫ですか?」

「問題ない。細剣は最近のVRゲームではスピード型の剣として人気がある武器種だからな。ウチでも取り扱っている」

 さて、体験会開始である。

 と言うわけで、まずは芹亜さんが細剣について学ぶ。

 基本的な構えの指導から始め、隙の無い歩き方などを学んでいくようだ。

 まあ、本気で学ぼうとしたら、才能のある人間でも年単位の修練が必要だろうし、今日一日かけてもさわりの部分と言う事になるだろう。


「クカタチはどうする?」

「うーん、格闘術みたいなものはありますか?」

「勿論あるぞ。柔術の類も取り扱っている。クカタチなら、その辺は一通り学んでおいていいだろうな」

「じゃあ、そちらでお願いします!」

 千華ちゃんは格闘術……と言うか、無手で出来る事を一通り学ぶ形か。

 確かにクカタチの戦闘スタイルだと武器を持つことはないだろうし、知っていれば、出来る事の幅は広くなるだろう。


「マナブ、クカタチの相手を頼んでもいいか? お前の方が若干大きいが、丁度いいんだ」

「は、はい、分かりました!」

「よろしくねマナブ君」

「よ、よろしくクカタチさん」

「千華でいいよー。リアルだしさ」

「よろしく千華さん」

 なんだろう、青春の臭いがする気がする。

 私はそっち方面についてはどうでもいいと感じてしまうので、未知があってもほぼ興味が湧かないのだが、千華ちゃんとマナブのやり取りにはニヤける感じがある。

 まあ、外野が余計な口出しをする案件ではないので、生暖かく見守る事にするとしよう。


「最後にタルだが……」

「誘いを受けた時の通りです。剣の動きについてお願いします」

「分かった。少し待ってくれ。折角だから、お前には色々と見せてみたい」

「それは楽しみですね」

 そう言うと、スクナが指示を出し、弟子の方たちが慌ただしく動き始める。

 なお、弟子の方たちは『芹亜さんや千華ちゃんのように自分の体に覚え込ませるんじゃないのか?』と言う感じの視線を私に向けてきている。

 うん、私はそういう事をしないんだ。

 しても意味がないとも言う。


「一応、契木(ちぎりき)術、棒術と言った物を教える事も可能だがどうする?」

「空中浮遊込みのですが?」

「その通りだ。とは言え、俺も好晴も空中浮遊持ちではないし、空中浮遊の挙動については検証班から聞いたのと、お前との付き合いで見たぐらいだからな。型を組めるほどに情報が足りているとはとてもではないが言えないな」

「うーん、それなら遠慮しておきます。まずは剣の動きを見る方に集中したいですし」

「そうか」

 タルは『空中浮遊』の呪いを持っている。

 この呪いを持っていると、知っての通り、その場で踏ん張ると言う行為が出来なくなる。

 それはつまり、殆どの武術において重要であろうしっかりとした踏み込みが出来ないと言う事であり、タル専用に構築された武術でなければ、まず扱えないと言う事でもある。

 まあ、フレイルを扱う時は、単純な勢いだけで攻撃するか、棒の部分で敵の攻撃を受けて凌ぐ使い方でほぼ全てだし、しっかりとした武術がなくてもいいだろう。

 後、四辻さんの下の名前は『ヨシハル』と言うらしい。

 プレイヤーネームが『ヨシバル』なので、実に紛らわしい。


「師範、準備出来ました」

「ご苦労。では、折角だから全員に見せるとしよう」

 準備が整ったらしい。

 道場の外、砂利が敷き詰められた場所にあるのは……一本の竹と木刀?


「何をする気ですか?」

「木刀で竹を切る」

 木刀で竹を切る、か。

 流石はスクナと言うべきか、何と言うべきか……。


「まあ、木刀と言っても、この木刀は多少だが刃を尖らせてある特製の物だ。そこら辺にある普通の木刀と俺の実力だと、竹を折るのが限界だな」

 なお、竹は地面から真っ直ぐ生えるように置かれていて、根元の部分以外は固定されていない。

 普通に叩いたら、折れずに、よくしなって、戻るだけではないだろうか?

 と言うか、素人だと、仮に真剣を使っても切れないと言うか、下手したら剣の方が折れそうな気がする。


「では、行くぞ……ツェアアアアァァァァ!!」

 スクナは声と共に剣を斜めに振り下ろす。

 そして竹は……木刀が振り下ろされた軌跡に沿って、見事に切断されていた。

 まさか本当に木刀で竹を切るとは……これぞ正に未知なる光景である。


「ふうっ。こんなものだな。さてタル。今の俺の動きは見えたか?」

「いいえ。腕の動きや踏み込みの大まかな部分は見えましたが、刃の部分は全く見えませんでした」

「そうか。教える事がちゃんとありそうで何よりだ」

 私が見えたのはスクナ自身の動きぐらいだった。

 木刀そのものの動きについては、全く見えなかったと言ってもいい。


「ではタル。先ほどやったのと同じ動きを、今度はゆっくりとやってみせよう。そして、剣がどう動いているかをよく見て欲しい」

「分かりました。よろしくお願いしますね」

「手が空いている者もよく見ておくといい。何時何処でどう体と剣を動かすかを見せる事など、頻繁にある事ではないからな」

 今度はスクナが誰の目にも見えるようにゆっくりと体を動かしていく。

 私はそんなスクナ……ではなく、スクナが持つ木刀の動きにひたすら注視する。

 木刀で竹が切られた時点で確信はあった。

 この刀の動きを、『呪法(アドン)増幅剣(エンハンス)』で模倣することが出来れば、私にとって大きな力になる、と。

 それから一時間ほど、スクナは様々な剣の動き方を私に見せてくれた。

 そして私も様々な角度から、スクナの操る剣の動きを見たのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] リアルなのにファンタジー武術だなぁ こいつなら竹やりで戦闘機を落とせるんじゃないかなもう
[気になる点] 空中浮遊持ちが出来そうな武術と言うと自分は立ち泳ぎしながら弓を射るというのを思い出した 空中浮遊持ちは設定上相性は悪くなっていますがアバターに応用出来そうな武術はあるとすれば水中戦闘技…
[一言] 空中浮遊持ちの相手に教えれそうな武術だと、0G環境の戦闘術ぐらいですかね。 SF世界系のVRゲームに対応した師範の方は席を外している最中ですか。 スクナは無重力に対応できても、SF世界には対…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ