314:コレクトアイテムズ-3
「まさかのだったわね」
『でっチュねぇ』
さて、新種の植物が発生していないかと、『ダマーヴァンド』の中を見て回っていた私だが、その成果はあった。
具体的には二つのアイテムが回収出来るようになっていた。
△△△△△
黒バクチクの実
レベル:20
耐久度:100/100
干渉力:110
浸食率:100/100
異形度:10
バクチクの実に形は似ているが、果皮が黒い小さな果実。
強い衝撃を与えると爆発し、爆音と共に周囲に黒煙を発生させる。
効果範囲内にいるものに対して火炎属性ダメージ(極小)+呪詛属性ダメージ(極小)+暗闇(3)を与える。
注意:『ダマーヴァンド』または『ダマーヴァンド』と類似した環境でしか生育しません。
▽▽▽▽▽
「何時変化したと思う?」
『『暗闇の邪眼・2』入手後なのは確かでチュけど、正確に何時と言われるとざりちゅには分からないでチュねぇ』
一つ目は黒バクチクの実。
ザリチュの言う通り、『暗闇の邪眼・2』の影響を受けた植物なのは間違いない。
元となったのがストラスさんからもらったバクチクの実、それと呪い除けの煙玉なのは間違いないだろう。
「うーん、他のアイテムは完全に駄目になっているわね」
『氷結属性、電撃属性、浄化属性の攻撃アイテムもあったんでチュけどねぇ』
火山の件でストラスさんからもらったアイテムがインベントリである袋の中に入っていたのに、こうして変化してしまった件については、『呪圏・薬壊れ毒と化す』の仕様を考えれば、納得は行く。
周囲からの影響を完全に排除できるタイプのインベントリでなければ、私の呪いは防ぎきれないのだろう。
他の属性のアイテムが駄目になってしまったのは惜しくはあるが、まあ、諦める他ないか。
「とりあえず第五階層限定植物にしておきましょうか」
『でっチュね』
発生から数日経っている可能性もあるので、今更かもしれないが、イベント間近である今のタイミングで入手できるプレイヤーの数は減らしておいた方がいいだろう。
余談だが、暗闇の状態異常に私がかかった場合、視界の明度を下げるタイプは特に効果はないが、視界を制限するタイプの場合、制限された範囲内に対象が移動してしまうと、邪眼術を発動できなくなる。
まあ、ザリチュの装備効果で防げるので、ある程度注意しておけば大丈夫だろう。
「で、こっちも第五階層限定植物に……出来ないか」
『格上と言うのが此処でも出ているんでチュねぇ……』
さて、新たなアイテムはもう一つある。
こちらは第四階層である山の頂上に生えた小人の樹にだけ実っていた。
△△△△△
『ダマーヴァンド』の偶像ライム
レベル:25
耐久度:100/100
干渉力:125
浸食率:100/100
異形度:18
『ダマーヴァンド』で採れるライムに似た果実。
皮は黄緑色だが、中身は石灰のように白い。
甘味、酸味、苦味が程よく混じった味が特徴で、一度嵌まると病みつきになる。
注意:食べると、食べた量に応じて石化と魅了の状態異常が付与されます。
注意:『ダマーヴァンド』または『ダマーヴァンド』と類似した環境でしか生育しません。
▽▽▽▽▽
「そして汁を飲んだだけでも石化(3)に魅了(3)ねぇ……」
『魅了はざりちゅの能力で実質無効化でチュけどね』
「私の意思で体が動かせないなら、ザリチュの意思で動かすだけだものね」
『石化の邪眼・1』と『魅了の邪眼・1』、両方の効果を含んでいる内容からしても、ほぼ間違いなくさっき発生したばかりだろう。
これが出来たメリットとしては、このアイテムから石化・魅了対策アイテムが作れることもそうだが、酸味を料理に加える事が出来るようになったことが上げられるだろうか。
後で収穫して、まとめて絞り、料理に使えるか試しておこう。
なお、偶像ライムによる魅了にかかると、自分の体の石化状態を気にすることなく、偶像ライムを食べるように動こうとするようだ。
養分の確保か何かが目的だろうか?
『で、どう処分するでチュ?』
「んー……まあ、放置しておきましょう。私の方がレベル的に格下である限りはどうしようもないわ」
『分かったでチュ』
またしても余談になるが、私の『石化の邪眼・1』による石化では、効果対象となった部位が石灰に似た鉱物になるようである。
当然硬さや柔軟性なども石灰に似た状態になる為、その気になれば素手でも破壊することが可能なようだ。
まあ、殴って壊すのは流石に手が痛くなるので、実際にやるとすればネツミテでの破壊か、押して倒す事での破壊を狙う事になるだろうが。
「さて、明日はザリアたちと一緒にスクナの道場にお邪魔するから、『CNP』をやれるのは夜遅くになってから。ログインしない可能性もあるわね」
『でチュか。まあ、それは仕方がないでチュね』
「となるとズワムに挑むのは早くても月曜日になってからね。うーん、今の内にアレを作っておきましょうか?」
『チュッ?』
その後、私はログアウト時間が来るまで、熱拍の幼樹呪の樹皮と木材を使って、飢渇の毒砂を大量に持ち運ぶための木箱を作ったり、黒バクチクの実に幾つかのアイテムを組み合わせる事で状態異常付与の手榴弾のようになったアイテムを作成したりした。
さて、これらのアイテムの活用、それにスクナの道場で何かを掴むことで、ズワムを倒せるようになればいいのだが……まあ、半分くらいは出たところ勝負、やれるだけやるとしよう。