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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
5章:『熱樹渇泥の呪界』

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310/1000

310:コレクトアイテムズ-1

「ログインっと」

『でっチュねー』

 さて土曜日である。

 明日はスクナの道場へ見学に行く都合上、今日の内に色々とやっておきたいところである。

 やっておきたいところだったのだが……。


「レベル低下が治ってない……」

『効果時間が長い……と言うよりは、ログアウト中はカウントが止まっている感じかもしれないでチュね』

「何という嫌らしさ……」

 ズワムから受けたレベル低下は残ったままだった。

 一応、現時点でも受けてからリアルで12時間、ゲーム内ならば一日以上経過しているはずなのだが、それでも治らないとなると、ザリチュの言う通りログアウト中はカウントが止まっているのかもしれない。

 あるいは僅かにでも経験値を稼ぐ必要があるとか。


『で、今日はどうするでチュ? ズワム討伐の準備をするんでチュよね?』

「ええそうよ。ただ、先に処理しておく案件が一件。いえ、折角の機会だから、あっちも片付けましょうか」

 私は解体場に置いてあった毒頭尾の蜻蛉呪を確認。

 生き返っていない事を確かめると、毛皮袋の中に収納する。

 そして熱拍の幼樹呪の木材で作ったビン型の容器を持つと、『ダマーヴァンド』から転移する。

 向かう先は……『蜂蜜滴る琥珀の森』の第二階層である。



----------



「「「ーーーーー!?」」」

「琥珀大蜂の巣。駆除するプレイヤーが居ないのかしら」

『まあ、沈黙関係が欲しいだけなら、『ダマーヴァンド』でも十分でチュ。こっちで回収するにしても、此処まで来る必要はないんじゃないでチュか?』

 結界扉から出るとそこは琥珀大蜂の巣だった。

 と言うわけで、『呪法(アドン)増幅剣(エンハンス)』、『呪法(アドン)感染蔓(スプレッド)』、『呪法(アドン)方違詠唱(ハイキャスト)』付きの『灼熱の邪眼・2(タルウィスコド)』で焼き討ちにした。

 で、火災が収まった後に、『蜂蜜滴る琥珀の森』の蜂蜜と王女琥珀大蜂の蜜珠を一応回収しておいた。

 今の私に必要かと言われたら、正直どちらも怪しい程度のスペックしかないのだが……まあ、回収しておいて損はないだろう。


「じゃ、奥に行くわよ」

『分かったでチュ。気を付けるでチュよ。たるうぃ』

 回収したアイテムをセーフティエリアに置いてきた私は『蜂蜜滴る琥珀の森』の第三階層、触れたものを琥珀に変えて取り込む蜜にあふれると共に、蜂型のカースが居るエリアに入る。

 そして、第三階層に入った私は直ぐに奥へ進むのではなく、暫くの間入り口で待っていた。

 何故か?

 決まっている。


『ほう……思わぬ方向からカースが入って来たから何事かと思っていたのだが、貴様だったか。羽虫』

「久しぶりね。蜂のカース」

『ああ、久しぶりだ。そして見違えたぞ。まさか落とし児である羽虫だけでなく帽子までカースと化すとは思わなんだ』

 『蜂蜜滴る琥珀の森』の主であるカースが、蜂蜜の波に乗ってきて、私の方に近づいて来たからだ。

 蜂のカースは以前と変わらず、蜂蜜を貪りつつ、羽音による会話を行っている。


『それで、今日の用は何だ? 此処には呪限無に繋がる穴はあるが、今の貴様ならば、ここの穴を利用する必要なぞないだろう?』

「この階層の蜂蜜を貰いに来たのよ。勿論、対価は用意してあるわ」

 私は毛皮袋から毒頭尾の蜻蛉呪の死体を出すと、その場に置く。


『ほう……これもカースか。ネズミの頭に蜻蛉の胴、蠍の尾とは奇天烈な。ふむ、だが妾や貴様と違って個の確立が出来ていない低位のカースであるようだな』

 蜂のカースは顔を近づけ、興味深そうにしている。

 とりあえず関心は持ってもらえたか。


『ああ、たるうぃがなんで毒頭尾の蜻蛉呪の死体を解体しないのかと思っていたら、交換材料だったんでチュね』

「ええそうよ。森の奥の琥珀に埋まったカースを見る限り、これは貴方のコレクションにはない種類だと思うんだけど」

『そうだな。妾のコレクションにはないカースだ。いいだろう。これは受け取っておく。蜂蜜については以前に持って帰っても構わないと言っていたはずだ。好きに持ち帰るといい。貴様の腰に提げられている容器ならば、持ち帰れるはずだ』

「感謝するわ」

 よし、交渉成立。

 これで琥珀蜜が手に入る。

 それはつまり、石化の邪眼を手に入れる機会を得たと言う事だ。


『ああそうだ。折角だし聞き取れるか試しておこうか。妾は『蜂蜜滴る琥珀の森』の主、『琥珀化の蜂蜜呪』ムミネウシンム。どうだ? 聞き取れたか?』

 これは、私が聞き取れたかどうか分かった上で問いかけているな。

 なら、嘘を吐いてもマイナスにしかならない。


「ええ、聞き取れたわ。私も一応名乗りましょう。『虹瞳の不老不死呪』タルよ。で、こっちが『渇鼠の帽子呪』ザリチュよ」

『たるうぃ!?』

『ふむ。タルにザリチュか。覚えたぞ。いやはや、以前の妾の名前すら聞き取れなかったころに比べれば、随分と強くなったものだ』

 そう言えば以前に出会った時の私はレベル10代前半くらいだったか。

 確かにそのころに比べればだいぶ強くなったものである。

 だがしかしだ。


『さて、念のために聞くが、妾と戦おうと思うか?』

 強くなったからこそ分かる。

 『琥珀化の蜂蜜呪』ムミネウシンムは、『路削ぎの蚯蚓呪』ミミチチソーギ・ズワムよりも強い。

 恐らくだが、レベルにして40はあると思う。

 その証拠と言えるかは分からないが、ムミネウシンムが一応の戦闘態勢を取った瞬間に、私の呪詛支配領域が一気に狭まった。

 宙には琥珀化の蜂蜜の球体が何十個と浮かび、こちらを狙っている。

 周囲には甘い匂いが漂っていて、こちらの集中を削ぐどころか、意識すら奪おうとしてくる。

 一応の戦闘態勢に入っただけでこれなのだから、本気を出せばどうなるかなど考えるまでもないだろう。


「お断りよ。勝てない勝負をする気はないわ」

『そうか。それは残念だ。では、妾は湖に帰らせてもらうとしよう。ああそれとだ』

「何かしら?」

『次はこの場に来た時点で問答無用の勝負と行こう。このカースもだが、貴様もコレクションにするに相応しいカースではあるからな』

「お断りよ」

『お断りでチュよ』

『ははははは、そうか。まあ、妾の知ったことではないがな』

 そうしてムミネウシンムは毒頭尾の蜻蛉呪の死体を持って、森の奥にある湖へと去っていった。

 そして私も『蜂蜜滴る琥珀の森』の琥珀蜜を回収すると、『蜂蜜滴る琥珀の森』を後にした。

11/05誤字訂正

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― 新着の感想 ―
異形度と名前の複雑さは関連性ある……? かと思ったけど、最初から高異形度で生まれた生物でないとこのロジックは成り立たないか……。
[一言] 同族兼コレクション候補が増えてウッキウキの『琥珀化の蜂蜜呪』ムミネウシンムちゃん可愛い
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