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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
5章:『熱樹渇泥の呪界』

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307/1000

307:トライアルシー-1

「ログインっと。ザリチュ、『熱樹渇泥の呪界』は?」

『今映像を送るでチュ』

 金曜日。

 全ての期末テストを終えて、無事にログインした私はザリチュに頼んで、『熱樹渇泥の呪界』に居る眼球ゴーレムの視覚情報を送ってもらう。

 さて、あちらの状況は……。


「まだ完全に収まってはいない感じね」

『でっチュねぇ。普段より飢渇の泥呪の海の波が高いでチュ』

 熱拍の樹呪の果実を取った余波はまだ収まりきっていなかった。

 取った直後が最大級の荒れ、昨日がその半分ほどとするなら、今日は普段より少し激しいくらいだろうか。

 まあ、これぐらいの荒れならば『熱樹渇泥の呪界』に行って、探索をする事は可能だろう。

 飢渇の泥呪の波や熱拍の樹呪の拍動に押されて、熱拍の幼樹呪が激しく動き回っているのが気になるくらいだ。


『さてどうするでチュか?』

「……」

 うん、割と悩みどころではある。

 探索は可能で、しかも荒れている事からこそ入手できる素材がある可能性もある。

 それを入手したいと考えるならば、行くのはありだろう。


「そうねぇ……」

 しかし、それと同じくらいにはやりたいことがある。

 具体的には東の第二マップの解放だ。

 こちらも進められるときに進めておいた方が便利だろう。


「決めたわ。東に行きましょう」

『理由は?』

「荒れている状態の『熱樹渇泥の呪界』に行くなら、もう一度果実を取って、もっと荒れている時に行った方が面白いものが見れると思うの。だから、今日は行ける範囲を増やす事を優先しましょう」

『分かったでチュ』

 と言うわけで、私は多少迷った末に、東の第二マップを開放することに決めた。



----------



「タルだ……」

「なんて威圧感……」

「本当にカースなのか……」

 昨日と同じように事前連絡を入れた上で、私は沼地のセーフティーエリアに転移した。

 森のセーフティーエリアと違って、私を囲む人々の数は少ないが、転移した私を出迎えたプレイヤーの反応は動揺と恐怖、BGMはサイレンのような音だ。

 中には反射的になのか、意図的なのかは分からないが、私に対して鑑定を行ったプレイヤーも居た。

 まあ、鑑定してしまったプレイヤーは『生ける呪い』の称号効果によって得た反撃能力によって、頭がパーンとしてしまったが。


「さて、飛んでいきましょうか」

『でっチュね』

 この場に留まっていても仕方がない。

 と言うわけで、私はその場で地面を蹴り、跳び上がると、そのまま東に向かって飛んでいくことにした。


『この辺の罠は何なんでチュか?』

「海に近づくにつれて、水に触れると、そのまま水の中に引き寄せられるようになっていくらしいわ。当然正規ルートから外れると、その分だけ引き寄せの力は強くなっていくわね。勿論、沼地が毒性を有している場合には、そちらの脅威もあるわね」

『厄介でチュねぇ』

「まあ、空を飛んでいける私にはそこまで関係はないわね」

 沼地には無数の河川と湖沼がある。

 が、水面に触れなければ脅威はないと言う事で、私は空中浮遊と虫の翅を生かして、真っ直ぐに飛んでいく。

 時折空中に居る私に向かって、水面から飛び出して襲い掛かろうとするモンスターも居るが、それらは『気絶の邪眼・1(タルウィスタン)』であっさり撃墜されていく。


「おっと、一度着地ね」

『チュ?』

「お仕置きモンスターが来てたわ」

『ああなるほどでチュ』

 と、水中に巨大な影が生じ始めていたので、私は適当な地面に足を下す。

 すると影は消え去った。

 どうやら水上を移動し過ぎていたようだ。


『今のたるうぃならお仕置きモンスターと戦えるんじゃないでチュか?』

「流石に無理でしょ。火力は足りるでしょうけど、相手の動きについていける気がしないわ」

『でチュかね?』

「でっチュよ」

 ザリチュの提案は流石に無理。

 ここ最近の戦闘から考えて、火力については十分だと言い切れるが、最初に遭遇した時の経験からして、こちらが邪眼を決めるよりも早く撃墜される可能性が高いと思う。

 そして、邪眼を決められても、倒すまで相手の攻撃を凌ぐことが出来るとは思えない。

 少なくともザリアたちの助力ぐらいは欲しいところである。


「さて、そろそろいいかしらね」

 では、休憩も終わったところで再度飛翔。

 私は更に東に向かっていく。

 すると何隻もの船が、船体の半分ほどまで沈んでいる海が遠くに見えてくると共に、灯台のような建物がはっきりと見えてくるようになる。

 あれが東の境界、『試練・海への門』と言う名前の灯台だろう。


『色々飛んで来るでチュねぇ』

「まあ、昨日も私への反応は苛烈だったし、正規ルートじゃないから」

『ちなみに正規ルートは?』

「水に触れないように、迷路のような陸路を地道に進む。なお、時間経過で道が現れたり消えたりなどの変化がある素敵仕様。それと電撃が流れている事もあるらしいわね」

 灯台に近づくにつれて、近くの水場から直接手が伸びてきたり、水球が飛んできたりする。

 触れればそのまま水中に引きずり込まれて死に戻り。

 実に殺意が高い。

 まあ、『灼熱の邪眼・2(タルウィスコド)』と『気絶の邪眼・1』で対処するだけなのだが。


「到着っと」

「マジかよ……」

「突っ切ってきやがった……」

「タルだから仕方がない……」

 と言うわけで無事に到着。

 構造は特に変わり映えはしない。

 と言うわけで、私はセーフティーエリアの登録を終えると、そのままダンジョンへと突入した。



△△△△△

『試練・海への門』


沼地と海の境界にある灯台。

この地の呪いは水の外にあるものを見出すと、自らの仲間にするべく手を伸ばす。

例外は灯台の主が敵でないと認めたものだけである。


呪詛濃度:10

[座標コード]

▽▽▽▽▽

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