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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
5章:『熱樹渇泥の呪界』
283/1000

283:イントゥヒート-2

本日一話目です

「っう……!」

「エジョオォ……」

『回避不可能。本来なら一撃必殺級と言う点でもたるうぃでチュねぇ』

 私が『恐怖の邪眼・3(タルウィテラー)』を、炎視の目玉呪が熱線を放った結果は?

 与えた状態異常は恐怖(540)。

 受けたダメージは当たり所がよかったおかげで最大値の3%程だが、灼熱は200まで溜まってしまったか。

 うん、ザリチュも言っているし、最初は新たな敵との交戦と言う事で気付いてなかったが、火炎属性と灼熱に対する防御性能に優れた装備品を身に着けているのにこのダメージと言うのは、結構拙い事なのかもしれない。


「少し戦闘を急ぎましょうか。えーと……etoditna(エトディトナ)毒の邪眼・2(タルウィベーノ)』」

「ゴッ!?」

 距離があるので、『呪法(アドン)増幅剣(エンハンス)』は使えない。

 敵が単体かつ耐性をぶち抜く必要はないので、『呪法(アドン)感染蔓(スプレッド)』と『呪法(アドン)貫通槍(ピアース)』は不要。

 なので、たぶん効果があるだろうと判断して用意しておいたアンチョコを読んで、『呪法(アドン)方違詠唱(ハイキャスト)』込みの『毒の邪眼・2』を撃ち込むことにする。

 毒のスタック値は……798まで伸びたか。

 これでもう毒については不要そうだ。


「エンジョオォ!」

「っ!? 恐怖が入っていても、精度がいいわね……」

『チャージ時間も短めっぽいでチュねぇ』

 直後に炎視の目玉呪から熱線が放たれた。

 放たれたと認識した時には既に太ももが貫かれており、最大HPの5%程のダメージを受けている。

 恐怖のおかげで頻度が落ち、軌道もブレているはずだが、やはりこの攻撃を避ける事は難しそうだ。


「回復っと」

 まあ、回復は十分間に合う。

 フェアリースケルズを十分量バラまけば、灼熱による回復阻害込みで、HPは回復しきれる。


「で、『飢渇の邪眼・1(タルウィハング)』」

「エジョ、ゴ、ンギウア!?」

 私の12の目の前の空間が少しだけブレる。

 無色透明の光を発する『飢渇の邪眼・1』の発動は、他の邪眼術とは比べ物にならない程分かりづらいのだ。

 そして与えた状態異常は乾燥(84)。

 弱点だけあってよく入り、しかも見るからにのたうち回っている。


「よし、接近を……」

「エジョアアアァァァ!」

『許す気はないようでチュよ』

 これでこれまでよりもさらに近づけると思い、私は羽ばたいて上昇していく。

 だが、そんな私の前で炎視の目玉呪は視神経の蛇を解き、人で言うところの脳側にある蛇の口を四方八方に向ける。

 そして、蛇の口から黒色の煙が放たれて、炎視の目玉呪の姿を隠してしまう。


「煙幕。逃げる気は……なさそうね」

 煙幕のサイズは直径にして10メートルほどあり、結構広い。

 だが逃げる気はないようなので、私は煙幕の中には入らず、煙幕の斜め上に移動して、次の攻撃の準備をする。


『出て来るでチュよ』

citpyts(シトピィトス)出血の邪眼・1(タルウィブリド)』……っ!?」

 煙幕が動く。

 私はザリチュの言葉に応じて、出てきた炎視の目玉呪に『出血の邪眼・1』を撃ち込んだ。

 与えた状態異常は出血(282)。

 毒そのものによるダメージ、乾燥によるダメージ増加も込みなので、相応のダメージは期待できるだろう。


「エンジュア」

『たるうぃ!?』

「ーーーーー……」

 だが同時に私の喉を炎視の目玉呪の熱線が貫いていた。

 幸いにして脊髄は焼かれていないが、それでも重要な血管と喉がやられており、一気にHPが30%以上削られている。

 完全にクリティカルヒットの扱いであり、喋る事だけでなく呼吸もままならなくなる。


「……!」

 私は直ぐにフェアリースケルズを使用、と言うか粉を直接喉に塗り付けて回復。

 分かっていたことだが、『CNP』のクリティカルは本当にきつい。

 あと少しずれていたら、あるいは頭や胸を貫かれていたら、即死もあり得た。

 避けられない攻撃への対策含め、この辺については後で考えておかないと拙いだろう。


「よくもやってくれたわね!」

「エゴギガジョガアアァァあぁぁ!」

 私が叫ぶと同時に炎視の目玉呪も叫ぶ。

 丁度毒のダメージをトリガーとした出血ダメージも入ったのか、全身から大量の血を吹き出しながらだ。

 たぶん、今のだけで2,000近く入ったな。

 ならばもう一回……いや、もっと強力な一撃を決めて、早々に勝負を決めてしまうべきだ。


citpyts(シトピィトス)……」

 とにかく威力を上げる事だけを考えつつ、私は手元で呪詛の霧を集めて、呪詛の珠を作り出す。

 呪詛の珠はその場で回転し始め、周囲の呪詛を取り込んでいく。

 同時に呪詛の珠は私を中心とする形で、周囲の空間を高速で飛び始める。


「エゴギ、ギジュ、ゴゲッ……」

 対する炎視の目玉呪も瞳孔へと赤い光を集めていく。

 恐怖の状態異常のおかげか、集まるスピードは遅いが、集められている光の強さはこれまでよりも強い気がする。

 どうやら炎視の目玉呪もこれで決着をつけるつもりのようだ。


「『出血の邪眼・1(タルウィブリド)』!」

 私は呪詛の珠を炎視の目玉呪に正面から叩き込むのに合わせて『出血の邪眼・1』を発動。

 着弾点を中心として、まるで流星が地表にぶつかって爆発したかのように蘇芳色の光が生じる。

 与えた状態異常は出血(565)で、先ほどの倍近い事からして、何かしらの呪法が発動できたようだ。


「エンジョアアアァァァ!」

 炎視の目玉呪から反撃の熱線が放たれる。

 私は両腕を頭、喉、左胸を守れるように構える事で、被ダメージの減少を試みた。


「っう!?」

『アッチュアアアァァァ!?』

 だが放たれた熱線はこれまでの物とは異なり、私の上半身全体を包み込むようなものであり、その威力は先程のクリティカルヒットした一撃よりも強く、私のHPは一気に50%以上削れる。

 灼熱も一気に700近くまでスタックされている。

 目が焼け、視界が奪われる。


「エゴアッ!?」

 だが私の勝ちだ。

 私の足についている目が炎視の目玉呪が全身から血を吹き出して、活力を失い、その目が濁り、その場で力なく浮くようになっていく姿を捉えている。


≪タルのレベルが21に上がった≫

≪呪術『呪法・○○』を習得しました。名称を付けて有効化してください≫

「……。どうにか勝ったわね」

『みたいでチュね……』

 私は直ぐにフェアリースケルズを使用して、HPを回復させる。

 同時に斑豆を食べて、満腹度の回復も図っておく。

 そして、力なく宙に浮いている炎視の目玉呪の死体を毛皮袋に収納すると、少し高度を下げて、適当な熱拍の幼樹呪の近くに移動してから自分を鑑定した。



△△△△△

『虹瞳の不老不死呪』・タル レベル21

HP:1,200/1,200

満腹度:149/150

干渉力:120

異形度:20

 不老不死、虫の翅×6、増えた目×11、空中浮遊、呪圏・薬壊れ毒と化す(ダマーヴァンド)

称号:『呪限無の落とし子』、『生食初心者』、『ゲテモノ食い・3』、『毒を食らわば皿まで・3』、『鉄の胃袋・3』、『暴飲暴食・3』、『大飯食らい・2』、『呪物初生産』、『呪術初習得』、『呪法初習得』、『毒の名手』、『灼熱使い』、『沈黙使い』、『出血使い』、『脚縛使い』、『恐怖使い』、『小人使い』、『呪いが足りない』、『かくれんぼ・1』、『ダンジョンの創造主』、『意志ある道具』、『称号を持つ道具』、『蛮勇の呪い人』、『1stナイトメアメダル-3位』、『2ndナイトメアメダル-1位』、『七つの大呪を知る者』、『邪眼術士』、『呪い狩りの呪人』、『呪いを支配するもの』、『???との邂逅者』、『呪限無を行き来するもの』、『砂漠侵入許可証』、『火山侵入許可証』、『虹瞳の不老不死呪』、『生ける呪い』


呪術・邪眼術:

毒の邪眼・2(タルウィベーノ)』、『灼熱の邪眼・1(タルウィスコド)』、『気絶の邪眼・1(タルウィスタン)』、『沈黙の邪眼・2(タルウィセーレ)』、『出血の邪眼・1(タルウィブリド)』、『小人の邪眼・1(タルウィミーニ)』、『淀縛の邪眼・1(タルウィボンド)』、『恐怖の邪眼・3(タルウィテラー)』、『飢渇の邪眼・1(タルウィハング)』、『禁忌・虹色の狂眼(ゲイザリマン)

呪法:

呪法(アドン)増幅剣(エンハンス)』、『呪法(アドン)感染蔓(スプレッド)』、『呪法(アドン)貫通槍(ピアース)』、『呪法(アドン)方違詠唱(ハイキャスト)』、『呪法(アドン)破壊星(ミーティア)


所持アイテム:

呪詛纏いの包帯服、熱拍の幼樹呪の腰布、『鼠の奇帽』ザリチュ、『呪山に通じる四輪』ドロシヒ、鑑定のルーペ、毒頭尾の蜻蛉呪の歯短剣×2、毒頭尾の蜻蛉呪の毛皮袋、フェアリースケルズ、タルの身代わり藁人形、蜻蛉呪の望遠鏡etc.


所有ダンジョン

『ダマーヴァンド』:呪詛管理ツール、呪詛出納ツール、呪限無の石門、呪詛処理ツール設置


呪怨台

呪怨台弐式・呪術の枝

▽▽▽▽▽


△△△△△

呪法(アドン)破壊星(ミーティア)

効果:呪詛を固めた星の速さ、巻き込んだ周囲の呪詛の量、残りの制限時間の少なさ、条件を満たして発動した邪眼の数に応じて、発動した邪眼術の与えるダメージと状態異常の量が向上する。

条件1:呪詛を固めた星が出現から(使用者のレベル×2)秒以内である事。

条件2:呪詛を固めた星と邪眼対象の体が重なっていて、重なった場所を邪眼術の発動点とする事。

条件3:邪眼術を発動する目で発動点を凝視している事。

条件4:呪詛を固めた星が通る場所の呪詛濃度は10以上である事。

条件5:出現している呪詛を固めた星が(使用者のレベル×0.1)個以下である事。


より速く、より重く、より輝いて。流星は肥大化する事で邪眼の輝きを増していく。

注意:『呪法(アドン)増幅剣(エンハンス)』、『呪法(アドン)貫通槍(ピアース)』との併用不可。

▽▽▽▽▽



『これで五つ目の呪法でチュか』

「そうなるわね。でも、たぶんだけどこれで一段落じゃないかしら。この先の強化はちょっと思いつかないし」

 呪詛の珠ではなく呪詛の星、か。

 まあ、そう見えなくもない。

 それに期待も出来そうだ。

 時間制限がある事含め、扱いは難しいかもしれないが、扱いきることが出来れば、それこそ隕石が降ってきたような威力になるかもしれないのだから。


「さて、今度は戦闘を挟まずに熱拍の樹呪の枝葉まで行ってみましょうか」

『炎視の目玉呪と戦闘になったらどうするでチュか?』

「倒す。逃げられないから。けど出来るだけ避けたいわね。堅実に強いってのは厄介なものだわ」

 私は羽ばたき、『熱樹渇泥の呪界』の上の方へと再び移動を始めた。

10/11誤字訂正

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