277:フェアリースケルズ-1
本日一話目です
「案外簡単に出来たわね」
『本当に最初の頃に作ったアイテムでチュからね。使っているアイテムもアイテムでチュから、ちょっとした改良くらいならあっという間だと思うでチュよ』
ポーションケトルの改良は簡単に出来た。
熱拍の幼樹呪の糸で作った袋に、飢渇の泥呪の砂、カースの灰、ポーションケトルの中身、『呪法・貫通槍』付きの『毒の邪眼・2』を入れて、よく混ぜただけなので当然だが。
で、加工が終わったところでポーションケトルを廃棄することで、新しい回復の水関係のアイテムを作りやすくして、その上で呪怨台に乗せた。
なお、込める思いは極々シンプルな、使いまわせる回復アイテムになるようにと言うものである。
「では鑑定っと」
とりあえず物は出来た。
蘇芳色の袋の中に、黒と緑の細かい砂が入っている。
重量は軽く、大きさもポーションケトルに比べると二回りは小さい。
では鑑定である。
△△△△△
フェアリースケルズ
レベル:19
耐久度:100/100
干渉力:110
浸食率:100/100
異形度:16
回復の水が染み込んだ粉塵が入った袋。
中身を振りかけるか、飲むかして使用する。
容量はHPにして5,000ポイント分あり、回復の水が湧き出している場所に近づくと自動補給される。
所有者が袋に触れない限り、中身が出てくることは無い。
注意:回復したHP量に応じた毒を付与する。
▽▽▽▽▽
『完全に有毒物でチュね』
「まあ、私が使う分には大丈夫でしょ」
試しに少し使ってみたところ、だいたい回復したHPの10%分くらいの毒が付与されるらしい。
装備品によって毒耐性が大きく上がっている私にとっては、最大HPの50%程度を一度に回復しようとしない限りは問題がないデメリットだろう。
いや、デメリットどころかメリットかもしれない。
「せいっ!」
『おおっ、結構な拡散具合でチュねぇ』
私は手に持ったフェアリースケルズを目の前の空中に広げる。
すると、非常に細かい粒子なので、フェアリースケルズはその場で滞空する。
この状態の場所に突っ込めば、私のHPは回復する。
そして全力で羽ばたけば……風に乗ってフェアリースケルズは周囲一帯に広がっていく。
与える毒は微々たるものだが、嫌がらせにはなるだろう。
だから、毒効果はメリットと言ってもいい。
「さて、どんどん作っていきましょうか」
『今日は制作日和でチュねぇ』
フェアリースケルズ……妖精の鱗粉と言う名称はどうかと思わなくはないが、こうしてポーションケトルの上位互換は出来た。
と言うわけで次である。
明日は遠出する気なので、作れるものは今日中に作っておきたいのだ。
「四つの輪を外してっと」
『緑透輝石の足環、赤魔宝石の腕輪、目玉琥珀の腕輪、呪い樹の炭珠の足環でチュね』
私は自分の手足についている宝石付きの真鍮の輪を外していく。
そして、外したそれらを加熱して柔らかくなった熱拍の幼樹呪の赤樹脂に投入。
くまなく赤樹脂を纏わせる。
「これを振りかけてっと」
私は赤樹脂の中から輪を取り出すと、薄くコーティングされた状態になるまで赤樹脂を落としてから、飢渇の泥呪の砂とカースの灰を混合したものを、全体へまんべんなく振りかけていく。
二種類の粉末が混ざったそれは赤樹脂の中に沈み込んでいき、赤樹脂が冷えて固まるのに合わせて固定される。
で、この工程を全ての輪に対して13度ほど繰り返して、元の輪より一回りは確実に太くなり、真鍮の輪も宝石も碌に見えない状態にした。
「削って……うーん、機械やすりが欲しくなってくるわね」
『扱えるんでチュか?』
「扱えないわね。じゃあなしで」
それを地道にやすりで削っていき、元のサイズに近づけていく。
赤樹脂と赤樹脂に混ざった二種類の粉末を輪の中へ擦り込むように削っていく。
そうして削っていくと、四つの輪は殆ど見分けがつかない状態になった。
見た目としては、黒と灰の斑点が見える赤い輪、と言うところか。
「装飾に毒頭尾の蜻蛉呪の甲殻を削って作った玉を填め込んでっと」
『実は毒頭尾の蜻蛉呪の素材で一番使っている気がするでチュね。甲殻』
「軽い、強度がある、その割に実は細工に使う形なら加工しやすい、と言う感じで、本当に便利なのよね。もしかしたら交換会に一番出ない素材になるかも」
『初期評価から反転するほどでチュかぁ』
これでは流石に装飾がない。
と言うわけで、私は毒頭尾の蜻蛉呪の甲殻を削って、蜻蛉玉のような物体を作り出すと、それを輪に填め込んでいく。
うん、これで一応の体裁は整っただろう。
「じゃあ、呪いましょうか」
『四つ一緒にでチュか?』
「どれがどれだったかもう分からないし、それだったらいっそのこと、四つ一組の装備品にしてしまおうかと思うのよね。求める機能も分かり切っているし」
『ソーデチュカー』
私は四つの輪を一緒に呪怨台に乗せる。
そして、周囲の呪詛を支配し、利用する力を強められるようにと祈る。
霧が晴れた後には、呪詛の霧を纏っている四つの輪が残されていた。
「一応鑑定っと」
『CNP』だと呪われている、と言う表現は当たり前すぎて通用しないが、不穏な雰囲気を纏っている、なら通用する。
私は不穏な雰囲気を放っている四つの輪を鑑定してみた。
△△△△△
『呪山に通じる四輪』ドロシヒ
レベル:20
耐久度:100/100
干渉力:115
浸食率:100/100
異形度:19
『熱樹渇泥の呪界』に存在するカースの素材を組み合わせて作られた、四つ一組の輪。
呪いの塊と言ってもいい装備品であり、資格のない者が使えばただではすまない。
極めて丈夫であり、普通に扱っている分には傷がつく事も汚れる事もまずなく、仮に破損しても周囲の呪詛を吸収して復元する。
着けている輪の数に応じて、装備者の周囲に存在する呪詛の支配を助ける(1個:0.25km、2個:0.5km、3個:1km、4個:2km)。
装備者の周囲の呪詛を吸収して拠点に送り、拠点から所有者の周囲へと呪詛を送り出す。
呪詛出納ツール-『ダマーヴァンド』とリンクしている。
注意:装備者に一定時間ごとに毒(5)、灼熱(5)、乾燥(1)を与える。
注意:装備者は異形度の高い相手に認識されやすくなる。
注意:この装備を低異形度のものが見ると嫌悪感を抱く(極大)
注意:装備者の異形度が15以下の場合、1時間ごとに10%の確率でランダムな呪いを恒常的に得て、異形度が1上昇します。
注意:装備者の異形度が5以下の場合、1秒ごとに1%の確率で最大HPの10%のダメージを受けます。この効果は一度装備すると、装備者が一度死ぬまで解除されません。
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「……。着用っと」
『まあ、たるうぃが使う分には一切の問題がないでチュからね。たるうぃが使う分には』
うん、そうだ。
長々と色々な事が書かれているが、私が使う分には問題ない。
状態異常のデメリットは装備品で防げる範囲だし、他は今まで通りか、発動しないデメリットなのだから。
間違っても誰かに貸し出したり出来ないだけだ。
「いい感じね。『ダマーヴァンド』内の呪詛は全て支配できている感じがあるわ」
『強力でチュねぇ……』
そして効果は優秀。
ほぼ、素材になった四つの輪の上位互換と言っていい。
つまり、何も恐れる必要はないと言う事だ。
「えーと、後必要な物は……これとそれと……」
『必要なんでチュかねぇ』
「たぶん必要よ。上手くいくかはともかくね」
その後、明日の為に必要なアイテムを作った私はログアウトした。
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『蛮勇の呪い人』・タル レベル20
HP:1,190/1,190
満腹度:138/150
干渉力:119
異形度:19
不老不死、虫の翅×6、増えた目×11、空中浮遊
称号:『呪限無の落とし子』、『生食初心者』、『ゲテモノ食い・3』、『毒を食らわば皿まで・3』、『鉄の胃袋・3』、『暴飲暴食・3』、『大飯食らい・2』、『呪物初生産』、『呪術初習得』、『呪法初習得』、『毒の名手』、『灼熱使い』、『沈黙使い』、『出血使い』、『脚縛使い』、『恐怖使い』、『小人使い』、『呪いが足りない』、『かくれんぼ・1』、『ダンジョンの支配者』、『意志ある道具』、『称号を持つ道具』、『蛮勇の呪い人』、『1stナイトメアメダル-3位』、『2ndナイトメアメダル-1位』、『七つの大呪を知る者』、『邪眼術士』、『呪い狩りの呪人』、『呪いを指揮する者』、『???との邂逅者』、『呪限無を行き来するもの』、『砂漠侵入許可証』、『火山侵入許可証』
呪術・邪眼術:
『毒の邪眼・2』、『灼熱の邪眼・1』、『気絶の邪眼・1』、『沈黙の邪眼・2』、『出血の邪眼・1』、『小人の邪眼・1』、『淀縛の邪眼・1』、『恐怖の邪眼・3』、『飢渇の邪眼・1』、『禁忌・虹色の狂眼』
呪法:
『呪法・増幅剣』、『呪法・感染蔓』、『呪法・貫通槍』
所持アイテム:
呪詛纏いの包帯服、熱拍の幼樹呪の腰布、『鼠の奇帽』ザリチュ、『呪山に通じる四輪』ドロシヒ、鑑定のルーペ、毒頭尾の蜻蛉呪の歯短剣×2、毒頭尾の蜻蛉呪の毛皮袋、フェアリースケルズ、タルの身代わり藁人形、蜻蛉呪の望遠鏡etc.
所有ダンジョン
『ダマーヴァンド』:呪詛管理ツール、呪詛出納ツール、呪限無の石門、呪詛処理ツール設置
呪怨台
呪怨台弐式・呪術の枝
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