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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
5章:『熱樹渇泥の呪界』

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256:トライアルデザート-2

「……」

『どうしたでチュ?』

「どうしました?」

「いえ、空気が変わったなと感じただけよ」

 『試練・砂漠への門』は第二マップの砂漠に関わるものがサクリベスの方へ来ないようにするための防波堤である。

 ストラスさんは先程そう言った。

 それはあらゆる意味で正しい。

 砦の中に入った私はそれを感じ取れてしまった。


「おいアレって……」

「検証班のストラスと……タルじゃねえか!?」

「マジか。タルがこっちに来たのか」

「前開きロングスカート……だと」

「ザリアは……おっ、ちょうどいいな」

 たぶんだが、この砦は少しだけ呪限無に近い。

 そして、砦の外……砂漠の側はさらに呪限無に近い。

 呪限無に近いと言う事は、それだけ『熱樹渇泥の呪界』のような人が生きられない場所が、嵐で荒れる海の様に唸っているとも言える。

 もしもこの砦がなければ……サクリベスは一昼夜として保たずに、呪限無の海に沈むのではないだろうか。

 周囲の少しだけ高くなった呪詛濃度、空気の違い……いや、恐らくは次元の歪み、あるいは私が未知覚の何かから、そう言った物が感じ取れた。


「ここはセーフティーエリアになっています。そこに個人用セーフティーエリアに移動できる板もあるので、まずは登録を」

「分かったわ。それにしても案外人が多いのね」

「現状では、此処が最前線の補給地点であり、安全地帯でもありますので。攻略組も生産組も集まっているんです」

 私はいつもの板に手をかざして、転移場所の登録を済ませる。

 これで何時でも来られるわけだ。


「正面が砂漠への道、右が試練を受けるための道?」

「正解です。それと、左の道から砦の上へと昇って、砲台を壊したり、砲台を操っている緑小人を倒すことが出来ます。メリットがないので、現在は封鎖していますけど」

 さて砦の構造だが、まず入ってきて直ぐに、草原のセーフティーエリアと同程度の広さを持つ広場になっている。

 この広場には多数のプレイヤーが居て、各種取引が行われているようだ。

 広場の北には試練を受けるためのダンジョンに繋がっている門があり、門の前ではPTが揃うのを待ったり、攻略の相談をするプレイヤーの姿がある。

 広場の南には砦の城壁の上に昇るための階段があるが、ストラスさんの言う通り、現在は木の壁で封鎖されている。

 で、広場の西側に進むと砦の外に出るための門があり、これをくぐれば砂漠に入れるが……。


「試練を攻略せずに砂漠に出ると、砦からの砲撃で行きも帰りも碌な事になりません。第二マップ攻略には試練のボスのドロップ品が必要な事もあって、完全に非推奨です」

「なるほど」

 止めておいた方がいいらしい。

 きっとサクリベスの側から来るのと違って、隙間なく砲撃が飛んでくるのだろう。

 砦の役割的に。


「タル!」

「あら、ザリア」

 と、ここでつい今しがたログインしたと思しきザリアが私たちの方に駆け寄ってくる。

 ブラクロたちの姿は……ないか。


「どうしてここに……いえ、何かしらの検証ね」

「ええ、そういう事よ。ザリアも一緒に来る?」

「えーと、ストラスさんが問題ないのならだけど……」

「タル様から得た情報をその場で検証出来そうなメンバーが増えるのも、タル様の試練攻略が楽になるのも良い事だと思うので、私は構いません」

「じゃあ一緒に行くわ。タル。よろしくね」

「ええ、よろしくね。ザリア」

 私はザリアを検証に誘い、ザリアはそれに乗ってくれた。

 よしよし、ザリアならば周囲の呪詛を操る技術はある程度持っているだろうし、呪法の検証もその分だけしやすいだろう。


「ストラスさん。他の検証班は?」

「他のプレイヤーの邪魔をするわけにはいかないので、この場には居ませんね。私からの配信待ちです。ではタル様、事前にメッセージで確認していましたが、改めて確認させていただきます。呪法検証動画の撮影風景の配信をしていいのですね?」

「構わないわ。この先を考えるなら、呪法は絶対に必要になるだろうから」

 私、ストラスさん、ザリアの三人で試練に挑むための門に近づく。


「では、配信を開始します」

 そしてストラスさんの言葉と共に、私たちは『試練・砂漠への門』の中へと入った。


「此処が『試練・砂漠への門』なのね」

「はい、見ての通り、基本的には石造りの砦です。ちなみに入り口は外から見ると一つしかありませんでしたが、混雑緩和とマンネリ回避のためなのか、初期地点は複数あります」

「複数? その割に私たちは一緒だけど……」

「時間で区切っているみたいよ。最初の一人が入ってから、1分以内に入ったプレイヤーは同じ場所に飛ばされるみたい」

「へぇ、なるほどね」

 中の様子は事前の情報通りだった。

 床、壁、天井のいずれも石を敷き詰め、積み重ねたものであり、これで石の色が灰色ではなく赤茶色であるならば煉瓦造りで通りそうな感じだった。

 あ、一応『試練・砂漠への門』の鑑定をしておこう。



△△△△△

『試練・砂漠への門』


草原と砂漠の境界にある砦。

この地の呪いは兵も刃も砲も生み出して、砦に迫るもの全てを食らわんとする。

例外は砦の主が仲間と認めたものだけである。


呪詛濃度:10

[座標コード]

▽▽▽▽▽



「では、今回の検証内容を改めて確認します。二人ともいいですか?」

「分かったわ」

「問題ないわ」

 今回の検証内容……と言うか、撮影内容は三つ。


 ・『呪法(アドン)増幅剣(エンハンス)』の形成から発動までの撮影。

 ・私が考える呪法について。

 ・他プレイヤーが呪法を習得出来るかについて。


 以上の三つだ。

 勿論、これ以外にも撮影や検証するべき内容があれば、随時そちらも調べ、撮影しておく。


「じゃあまずは『呪法(アドン)増幅剣(エンハンス)』の効果表記を改めて見せておくわね」

「ありがとうございます」

「これだけでも太っ腹と言うか、とんでもないことをしているわよね……自分の手の内を晒すなんて」

「問題ないわよ。どうせもう配信済みだし、そこまで問題になる内容でもないから」

『ここで見せた方が、後が面白い。だったでチュか。まあ、たるうぃらしいでチュね』

 私は『鑑定のルーペ』を利用することで見られる『呪法・増幅剣』の効果説明をストラスさんとザリアに見せる。

 そして二人が効果内容を理解したところで、ゆっくりと周囲の呪詛を集めて、呪詛の剣を一本生成。

 続けて、今の私の最高速で呪詛を集めて、呪詛の剣を一本生成。

 どちらも私の両脇に浮かべた。


「じゃあ、実験台として適当なモンスターを探しましょうか」

「そうね」

「分かりました」

 では、探索開始である。

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