242:アドン・エンハンス-2
本日二話目です
「はぁ……とりあえず得た物を確認しましょうか」
『でチュねぇ。あ、配信はどうするでチュ?』
「ステータスの細かい部分は非公開にした上で、続行よ。呪法とやらについても、そのまま垂れ流しでいいでしょ」
私は周囲に敵影がないことを確認すると、自分に『鑑定のルーペ』を使用して、名称を付けるように言われた呪法とやらを見てみる。
まあ、どういう効果なのかはだいたい分かっているし、配信を見ているプレイヤーもそれは同じだろうから、わざわざ隠す必要はないだろう。
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呪法・○○≪名称を設定してください≫
効果:呪詛を固めた剣の速さと動き、条件を満たして発動した邪眼の数に応じて、発動した邪眼術の性能が向上する。
条件1:呪詛を固めた剣が出現から3秒以上経過している事。
条件2:呪詛を固めた剣と邪眼対象の体が重なっていて、重なった場所を邪眼術の発動点とする事。
条件3:邪眼術を発動する目で発動点を凝視している事。
条件4:邪眼術を発動する目と発動点間の距離が5メートル以内である事。
より深く、より鋭く、より強烈に。刹那を見極める事で邪眼の輝きは増していく。
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『呪法初習得』
効果:効果なし
条件:呪法を習得する
貴方の生み出す呪いはこれより更なる発展を遂げる。
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「想像以上に条件が厳しいわね……」
「『四つの条件を満たした上で、邪眼術を使うと、邪眼術の効果が上がる。でチュか。優秀でチュけど、確かに条件は厳しいでチュね』」
私が思っていたのよりも条件は厳しいようだ。
特に厳しいのは……条件4か。
5メートル以内と言う事は、接近戦を強いられると言う事だから。
「まあ、細かいことは追々検証しておきましょう。呪法の習得方法については……検証班に任せたわ」
「『容赦ないでチュね』」
「検証班はこういうのが役目なので、頑張ってくださいとしか言えないわね」
後、条件3も地味に厄介だ。
発動点を凝視するとなると、必然的に視界が狭まる。
剣のスピードを上げれば、それだけ集中もすることになるし、威力を増すならば目の数だって増やさなければならない。
そうなれば、その分だけ周囲への注意が疎かになる。
これは明らかな隙として、周囲には映る事だろう。
「さて、名前をどうするかだけど……」
条件1と条件2は……別にいいか。
そこまで大きな問題にはならないだろう。
「こうしておきましょうか」
さて、肝心の名称だが……たぶんこれは邪眼術と同じで、名称によって効果が増減する。
そして、私の直感は呪法はこれ一つではないと告げてもいる。
であれば、こう命名するのが適当だろう。
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呪法・増幅剣
効果:呪詛を固めた剣の速さと動き、条件を満たして発動した邪眼の数に応じて、発動した邪眼術の性能が向上する。
条件1:呪詛を固めた剣が出現から3秒以上経過している事。
条件2:呪詛を固めた剣と邪眼対象の体が重なっていて、重なった場所を邪眼術の発動点とする事。
条件3:邪眼術を発動する目で発動点を凝視している事。
条件4:邪眼術を発動する目と発動点間の距離が5メートル以内である事。
より深く、より鋭く、より強烈に。刹那を見極める事で邪眼の輝きは増していく。
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「『こう、何と言うか……あからさまでチュね』」
「いやだって、どう考えても剣以外のパターンも作れるでしょ。これ。と言うか、この表記で作れなかったら、そちらの方が驚きよ」
ザリチュの言葉に応えつつ私は考える。
恐らくだが、呪法と言うのは、既存の呪術に一工夫を加える事で、更なる力を得るものなのだろう。
そして、その一工夫と言うのは、自分が所有している他の呪術にも適用可能な物でないといけないのではないかと思う。
もしも、特定の呪術にしか適用できないなら呪法にはならないし、幾つもの工夫を重ねると新たな呪術として判定されるとか、そういう面倒くさい要素が隠れている予感がしてならない。
まあ、一度習得してしまえば、条件付きで発動するパッシブスキルのようなものになってしまうようだが。
「ま、別パターンの呪法については、検証と同じで追々ね。ああ、二個目以降は流石に秘匿しておきましょうか。隠した方が面白そうだし」
「『まあ、当然と言えば当然でチュねぇ』」
とりあえず槍や斧、球体なんかは作れそうな気がする。
気がするが、もう少しイメージを固めてからやる方が適切だろう。
「『で、この後はどうするでチュ?』」
「うーん、『呪法・増幅剣』の検証と使い勝手を確かめつつ、毒頭尾の蜻蛉呪の素材を今度こそ確保しましょうか。さっきのは爆散させちゃったし」
「『また爆散させる気がするでチュよ?』」
「たぶん大丈夫よ。私が思っている通りなら、むしろ今度は完璧な死体が手に入ると思うわ」
では、探索を再開するとしよう。
『呪法・増幅剣』を使う事で、毒耐性を有しているはずの毒頭尾の蜻蛉呪にどれだけ毒が入るようになるのか、実に楽しみである。
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『蛮勇の呪い人』・タル レベル18
HP:872/1,170
満腹度:78/110
干渉力:117
異形度:19
不老不死、虫の翅×6、増えた目×11、空中浮遊
称号:『呪限無の落とし子』、『生食初心者』、『ゲテモノ食い・3』、『毒を食らわば皿まで・3』、『鉄の胃袋・2』、『暴飲暴食・3』、『大飯食らい・1』、『呪物初生産』、『呪術初習得』、『呪法初習得』、『毒の名手』、『灼熱使い』、『沈黙使い』、『出血使い』、『脚縛使い』、『恐怖使い』、『小人使い』、『呪いが足りない』、『かくれんぼ・1』、『ダンジョンの支配者』、『意志ある道具』、『称号を持つ道具』、『蛮勇の呪い人』、『1stナイトメアメダル-3位』、『2ndナイトメアメダル-1位』、『七つの大呪を知る者』、『邪眼術士』、『呪い狩りの呪人』、『呪いを指揮する者』、『???との邂逅者』、『呪限無を行き来するもの』
呪術・邪眼術:
『毒の邪眼・1』、『灼熱の邪眼・1』、『気絶の邪眼・1』、『沈黙の邪眼・1』、『出血の邪眼・1』、『小人の邪眼・1』、『足縛の邪眼・1』、『恐怖の邪眼・3』、『禁忌・虹色の狂眼』
呪法:
『呪法・増幅剣』
所持アイテム:
呪詛纏いの包帯服、『鼠の奇帽』ザリチュ、緑透輝石の足環、赤魔宝石の腕輪、目玉琥珀の腕輪、呪い樹の炭珠の足環、鑑定のルーペ、毒頭尾の蜻蛉呪の歯短剣×2、毒噛みネズミの毛皮袋、ポーションケトル、タルの身代わり藁人形etc.
所有ダンジョン
『ダマーヴァンド』:呪詛管理ツール、呪詛出納ツール、呪限無の石門設置
呪怨台
呪怨台弐式・呪術の枝
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09/08誤字訂正