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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
4章:『呪術師が導く呪詛の宴』
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216:2ndナイトメアバトル-6

「アオオオオォォォォォン!!」

「バフを使ったわね」

 柱の後ろでブラクロが遠吠えをする。

 となれば、そろそろ仕掛けてくるか。

 ライトリは……うん、間に合っているな。


「行くぞ!」

「分かってる!」

 ドージが柱の後ろから飛び出し、その後ろに続く形でブラクロが出てくる。

 きっちりドージによる呪詛濃度低下の範囲内だ。

 だが私はそれを理解した上で、呪詛の霧を固めただけの剣を二人に向けて投射する。


「やはりか!」

「フェイクかよ!」

 剣はドージに近づいただけで霧散した。

 やはり呪術ですらない固めただけの剣とドージの浄化術では、浄化術の方が力が上のようだ。

 そしてブラクロが一瞬だけ手を伸ばし、剣に触れる事で、実体を有さない見かけだけのものだと相手に伝わった。


「ちっ、バレたわ!」

「退く」

「「……!」」

 私は四つの目で『沈黙の邪眼・1(タルウィセーレ)』を発動。

 ブラクロとドージ、それぞれに沈黙(4)を与える。

 だが二人とも一瞬驚きはしたものの、今居る場から退き始めた私とライトリを追って、真っすぐに突っ込んでくる。

 では仕掛けよう。


「……!?」

「ーーー!?」

 私の目が二つ程紅色に輝き、それと同時に二人の足元が爆発。

 二人の体は爆炎に包まれる。

 放ったのは『灼熱の邪眼・1(タルウィスコド)』、加熱したのは『光華団』から提供された手製の爆弾。

 さて、ダメージは入っただろうが……。


「ーーー……」

「……」

「ま、死ぬわけないわよね」

 直ぐにこちらの爆弾による物ではない白煙が立ち込める。

 そして回復をしている気配もあった。


「知って……た!」

「ま、そうよね!」

 だからライトリが槍を持った状態で突っ込む。

 私も剣を投射しつつ、ライトリの後を追う。


『2時にドージ、11時にブラクロでチュ』

「せいっ!」

「ーー……!?」

 煙の影響をほぼ受けないライトリがドージを吹き飛ばし、距離を離す。

 ブラクロはライトリを止めようと横から突っ込むが、そこに私の剣が迫る。

 私の剣をブラクロは警戒していない。

 当然だ、見た目だけのものである事は既に分かっているのだから。


「舐められたものね」

「!?」

 その油断が命取りとなる。

 私の呪詛を固めただけの剣がブラクロの首に突き刺さった瞬間を狙って、私の『灼熱の邪眼・1』が発動。

 一点集中の熱はブラクロの首から炎が漏れるようなエフェクトを生じさせつつ、首にあるものを焼く。

 そう、『CNP』には部位破壊の概念がある。

 だから、首の神経を焼かれれば、首から下を動かすことは叶わなくなるのだ。

 HP回復の仕様や、『不老不死』の呪いを考えると、トドメを刺さない限りは十分とは言えないだろうが、それでも長い時間稼ぎが出来る。


「ライトリ! そちらは任せるわ!」

 私は倒れたブラクロに飛びかかると、腰のナイフを抜き放ち、ブラクロの胸めがけて振り下ろそうとする。


「ーーー!」

「ぐっ!?」

 だが刃が届くよりも早く、ブラクロが首から上だけを動かして、私の手首に噛みついてくる。


「このっ……」

 ブラクロの歯が私の手首に食い込んでくる。

 HPバーが削れるだけでなく、力が入らなくなってくる、少しずつだが押し返されている。

 やはりブラクロは強い。

 首から下が動かない以上、心臓も肺も動いていないはずなのだが、それなのにこの動きとは……!


「あはははっ! 面白いじゃない! でも『毒の邪眼・1(タルウィベーノ)』!」

「!?」

 いったいどうすれば、この状況下でそんな動きが出来るのかには興味がある、色々と調べてみたいと思える。

 だってそれだけの未知があるのだから。

 だが今はチーム戦、ライトリには迷惑をかけられない。

 だから私は『毒の邪眼・1』を撃ち込んで、ブラクロのHPを削る。

 私が纏っている高濃度の呪詛も浴びせて、とにかく削っていく。


「これで……トドメよ!」

 そうしてついに私の刃はブラクロの胸に到達。

 深く突き刺さって、ブラクロのHPを0にする。


「はぁはぁ。これでよし」

 ブラクロの死体が風化して、死亡が確定。

 私の腕は……酷いことになっている。

 とりあえず回復の水である程度の回復をしておこう。


「くっ、ブラクロがやられたか……」

「後は貴方だけ」

 ドージとライトリの戦いはライトリ優位か。

 少しずつ毒で削っている。

 迂闊に手出しすると、むしろ逆効果になりそうだ。


「ライトリ。支援するわ!」

「助かる!」

「っう!?」

 だがやれることはある。

 私は適当な石柱の上に移動すると、呪詛濃度低下によって効果が薄くなっているのを承知の上で『毒の邪眼・1』を撃ち込んでいく。

 ほんの少しの毒であっても重ねられていけば、無視できないダメージになっていく。


「治す暇が……かっ!?」

「『気絶の邪眼・1(タルウィスタン)』」

 状態異常を回復する暇も与えないし、あっても強制中断させる。


「ぬんっ! せいっ! はっ!!」

「これ……は……!?」

 そうして二対一で攻め立て続けること暫く。

 ライトリの攻めによってドージが膝をつく。

 そして、膝をついたドージへの追撃をライトリが隙なくこなして、ドージのHPも0になった。


≪勝利しました! タル様、ライトリカブト様。決勝進出おめでとうございます!≫

「疲れた」

「そうね。結果的には圧勝に見えたけど、内情はと言う感じだったわ」

 無事勝利である。

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