157:アフターカロエ-1
「ログインっと」
『こんばんわでチュ。たるうぃ』
「こんばんわ。ザリチュ」
夜。
私は『CNP』にログインした。
『ダマーヴァンド』の様子は……見た限りでは特に異常はないか。
「さて、カロエ・シマイルナムン討伐の報酬ね」
『でチュねー』
やる事は色々とある。
と言う訳で、必要な補給と確認作業を終えた私は目録の内容を見る。
報酬は……
・カロエ・シマイルナムンの触手が一節(人の腕一本とも言う)
・カロエ・シマイルナムンの目玉が一つ(大きい)
・カロエ・シマイルナムンの歯が一組(口一つとも言う)
・カロエ・シマイルナムンの心臓が一つ(こっちも大きい)
・カロエ・シマイルナムンの傘の外側の皮が一つ(これも大きい)
・カロエ・シマイルナムンの声帯(やっぱり大きい)
うん、中々に多い。
物が多いので、セーフティーエリアではなく噴水の方で処理した方が良さそうか。
いや、転移でDCは大量消費したが、まだ残っている分があるから、噴水広場からしか行けない形で、解体用の広場を作って、そこで目録を開く方が正解か。
「これでよし」
『まあ、必要でチュね』
そんな訳で広場を製作。
手早く物を洗うために噴水から毒液を引いたり、今後を考えて流れた血を流すための排水溝も作った。
これで今後の大物解体作業は、こちらでやればいいだろう。
「じゃあ、開くわよ」
『分かったでチュ』
私は目録を実体化させると、広場の中心に向かって投擲。
目録の中身がそこで実体化。
カロエ・シマイルナムンの素材が六つ、広場に並ぶ。
「む……『灼熱の邪眼・1』」
『たるうぃ!? な、何をやっているでチュか!? 明らかに貴重な素材でチュよ!?』
で、速攻で『灼熱の邪眼・1』を使って、カロエ・シマイルナムンの心臓を焼いた。
ザリチュが驚きの声を上げるが、これはやらなければならない事である。
「こいつ、死んでいないどころか、『ダマーヴァンド』に干渉しようとしたわ。全く舐めた真似を……『灼熱の邪眼・1』!」
『か、干渉でチュか……』
心臓が実体化した瞬間、心臓が一度拍動した。
それに合わせて周囲の呪詛が……『ダマーヴァンド』の呪詛が揺れ動いた。
私にとって好ましくないと直感させる形に。
間違いない、カロエ・シマイルナムンは死んでいない。
心臓だけになってもまだ生きている。
それどころか復活しようとしている。
『ダマーヴァンド』を乗っ取る形で。
「殺す。何か残ったら、そいつは有効活用してやるわ。だから、とっとと死ね。生き汚い事は悪い事ではないけれど、お前の生き様に興味はない。お前の底はもう既に知っている。私の熱の前に燃え尽きろ」
『チュアッ!? チュ、チュア……チュアアァァ……』
カロエ・シマイルナムンの心臓が炎に包まれ、呪詛の煙を上げながら燃え尽きていく。
まったく、これで転移に使った以上の量のDCは回収できたが、私以外が迂闊にこんな物騒な代物を手に入れていたら、最悪カロエ・シマイルナムンが何処かで完全復活していたかもしれない。
鑑定する暇もなかったが、明らかに現状のプレイヤーが扱えるアイテムではない。
「まったく、戦闘が終わった程度ではまったく安心できないわね」
『ほ、本当でチュね……』
私は一応掲示板に投稿。
心臓と言うアイテムが手に入ったら、即座に破壊する事をオススメしておく。
とは言え、掲示板の流れを見る限りでは、心臓を入手したプレイヤーは私以外には現状居ないようだ。
こうなると、再戦できるカロエ・シマイルナムンは心臓を落とさないか、こちらが扱えるレベルになるまでドロップの抽選枠から外されているかぐらいはありそうだ。
「後に残ったのは……ふうん、ただの灰ではないのね」
私はアイテムの鑑定を始める。
△△△△△
『加工の海月呪』カロエ・シマイルナムンの灰
レベル:15
耐久度:100/100
干渉力:100
浸食率:100/100
異形度:15
『加工の海月呪』カロエ・シマイルナムンの素材を燃やして得られた灰。
呪いそのものであるカースが基になった物質であるため、周囲の呪詛を集めやすい。
加工と言う物質変性の一種である呪いに関わりがある。
心臓が基になったためか、他の素材を燃やして得た灰よりも質が良い。
▽▽▽▽▽
△△△△△
『加工の海月呪』カロエ・シマイルナムンの触手
レベル:15
耐久度:100/100
干渉力:110
浸食率:100/100
異形度:15
『加工の海月呪』カロエ・シマイルナムンの腕の一節。
見た目は人間の腕そのもの。
絡みついた相手に干渉力低下の状態異常を与える力を持つ。
▽▽▽▽▽
△△△△△
『加工の海月呪』カロエ・シマイルナムンの目
レベル:15
耐久度:100/100
干渉力:105
浸食率:100/100
異形度:15
『加工の海月呪』カロエ・シマイルナムンが無数に持つ目の一つ。
大きさこそ違うが、見た目は人間の目そのもの。
相手の性質を見極めるのに役立つ。
▽▽▽▽▽
△△△△△
『加工の海月呪』カロエ・シマイルナムンの歯
レベル:15
耐久度:100/100
干渉力:110
浸食率:100/100
異形度:15
『加工の海月呪』カロエ・シマイルナムンが無数に持つ歯の一つ。
大きさこそ違うが、見た目は人間の歯そのもの。
加工を補助するために用いられる。
▽▽▽▽▽
△△△△△
『加工の海月呪』カロエ・シマイルナムンの皮
レベル:15
耐久度:100/100
干渉力:112
浸食率:100/100
異形度:15
『加工の海月呪』カロエ・シマイルナムンの傘の外側の皮。
非常に柔らかく、触り心地は良いが、強度は低い。
しかし、傷ついても直ぐに直ると言う稀有な性質も持つ。
▽▽▽▽▽
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『加工の海月呪』カロエ・シマイルナムンの声帯
レベル:15
耐久度:100/100
干渉力:105
浸食率:100/100
異形度:15
『加工の海月呪』カロエ・シマイルナムンの声帯。
極めて効率的に、空気を震わせる事が出来る構造を持つ。
しかし、発する音は人の心を恐怖で震わせる。
▽▽▽▽▽
「さて、どう使いましょうか。レベル不足なのよね」
物自体は悪くない。
既にどう使うべきかも何となく見えてはいる。
問題は……私のレベル不足と、合わせる素材の不足か。
『散々レベルが足りないのに装備しているのに今更じゃないでチュか?』
「加工のレベル不足と装備のレベル不足は全くの別物よ。リスク含めてね」
まあ、まずは歯と灰。
合わせる先も揃っているし、これの加工から始めようか。
06/21誤字訂正




