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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
3章:『サクリベス』
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142:レッドハーブパーク-7

「いやー、無事に勝てたな」

「そうですね。一人も欠けることなく倒せました」

「……」

「おおっ、レベルが上がった」

 さて、ブラドロサーパは倒れた。

 解体は……大まかに切り分けた上で、各自が道具袋に収めれば問題はないか。


「タル。ダンジョンの核は見つかった?」

「残念ながら見つからなかったわね。と言う訳だから……」

 私は第三階層の端の方を指差す。

 そこでは地面が黒い何かに蝕まれて、虚空へと消え去っていくのが見えた。

 どうやらこれがダンジョンの崩壊であるらしい。


「順調に崩壊していっているわね」

 こうやってダンジョンの奥から順番にゆっくりと崩壊して、時間内に脱出できなければ死に戻りする事になるのだろう。

 なお、ダンジョン崩壊中は結界扉からセーフティーエリアに入る事は出来ない素敵な仕様になっているそうなので、ダンジョンから脱出する以外に生き延びる方法はない。


「分かったわ。早急に脱出を……」

「まあ、私が主になれば止まるけど」

 普通ならばだが。


「……。止まったわね」

「まあ、今このダンジョンで一番レベルが高い上に異形度の条件も満たしているから、支配権を奪うのは難しくなかったわね」

『あっさりでチュねー』

 と言う訳で、『赤い葉の薬草園』の主になるかどうかを聞かれたメッセージが出てきたので、了承。

 崩壊を止める。


「とりあえず外に出ましょうか」

「そうね。そうしましょうか」

「高異形度が居ると本当にこういう時楽だな……」

「前回は最終的には全力疾走だったもんね……」

「感謝するべきだな」

「ですね」

 私たちは回収するべきものを回収すると、第一階層の入り口にまで移動する。

 なお、ザリア曰く、ブラドロサーパの目は恐らく聖女様が求めているアイテムの一つとの事だった。

 私としてはダンジョンを崩壊させることで色々と得られる物があるので、ボスドロップを求める気持ちは薄い。

 なので、この後の作業で手に入るアイテムの取り分を多くしてもらう代わりに、ブラドロサーパの素材については全部渡してしまう事にした。


「じゃあ、回収を始めるわよ」

「分かったわ」

 では、折角なので、色々と得た上で『赤い葉の薬草園』は崩壊させるとしよう。

 私はダンジョンの構造を弄って、赤い葉の薬草と出血毒草を素材として回収できる形で、私たちの前へと移動させ、ザリアたちがそれを片っ端から回収していく。

 これがまず一つ。


「次にダンジョンの構造を維持していた呪詛を回収っと」

「うおっ、一気に……」

「入り口だけになっちゃいましたね」

 続けて『赤い葉の薬草園』を形作っていた呪いを、目玉琥珀の腕輪の機能を使って『ダマーヴァンド』に送る。

 増えたDCの量はおよそ1万。

 それと『ダマーヴァンド』の呪い花が一輪咲いたと言う報告があったので、後で回収しておくとしよう。

 この作業によって、『赤い葉の薬草園』は入ってすぐの広場だけになる。


「では最後にっと」

 最後に私はある程度成長している赤い葉の薬草をダンジョンの核にする。

 勿論異形度10に満たないような、ただの植物なので、直ぐに枯れてしまうが、私たちが脱出するまでの間保てば、それで充分である。


「はい、後始末も完了ね」

「……」

「本当に見事ね」

 こうして『赤い葉の薬草園』は完全消滅し、草原には入り口だった金属製のアーチが壊れた状態で残されることになった。

 『赤い葉の薬草園』、完全攻略である。


「で、草原のセーフティーエリアに移動するまでの間に聞いておきたいのだけど、ザリアが最後に放った攻撃。アレは何だったのかしら? 出血の状態異常を利用していたのは分かったけど、大量の呪詛を纏っていたのはまた別の話よね」

 私たちはそれぞれの需要に合わせてアイテムの交換をやりつつ、セーフティーエリアに向かって歩き出す。

 で、周囲の警戒は怠っていないが、特に敵影は無いので、私は少し質問をする。


「ああアレね。状態異常については、出血毒草を基にした薬の効果ね。一定時間、ダメージではなく出血の状態異常を与えるようになるの。で、効果時間が切れた直後の一撃の威力を高めると、より効果があると言う事でちょっと試してみようかと思ったのよね」

「試す?」

 出血毒草を基にした薬については、私でも利用できるかもしれない。

 今度似たような効果を持ったアイテムの製作を目指してみてもいいだろう。

 問題はザリアが何を試したかだが……。


「周囲の呪詛への干渉。詳細は秘匿させてもらうけど、周りにある呪詛も利用した方が威力が高められると思ったのよ」

「なるほどね」

「ただ、体と武器への負担も大きかったけどね……」

 ザリアが自分の武器へと一瞬目をやる。

 なるほど、HPだけでなく武器損壊の可能性もリスクとしてある代わりに、威力が大きく増した一撃か。

 使うタイミングを考えれば、切り札にもなりそうだ。


「呪術としては登録されたの?」

「えーと……一度だけじゃ駄目みたいね。たぶんだけど武器を駄目にしながら、10回くらいは使わないと駄目なんじゃないかしら。ピアッシングの時も似たような感じだったし」

「なるほどね」

 どうやらザリアもザリアなりの呪術習得方法を見出し始めているようだ。

 この分で行けば、次に会う時は他にも色々と手にしているかもしれない。


「それじゃあタル」

「今日は楽しかったわ。ザリア。それじゃあ、また機会があれば」

「ええ、また機会があれば」

 そうこうしている内に私たちは草原のセーフティーエリアに着く。

 既にリアル時刻もだいぶ遅く、ログアウトするには丁度良い頃合いだろう。

 と言う訳で、私はザリアたちに別れを告げると、セーフティーエリアに入り、『ダマーヴァンド』に転移。

 その後ログアウトした。

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