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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
3章:『サクリベス』

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115/1000

115:ハニーアンバー-2

本日二話目です

「あー、蜂蜜が美味いのです」

「VRとは言え、よくそんなに入りますねぇ……」

 私たちは蜂蜜が滴る木々の隙間を縫うようにして、ダンジョンの奥へと移動していく。

 移動の最中、熊ですは四足歩行で進みつつ、背中のチャックから伸ばせる舌で、周囲の枝から滴る蜂蜜を舐めとっては味わっている。

 今のところは……異常の類は見られない。


「熊ですの腹は甘いものが別腹なのです」

「そう言うものですか」

 なお、私が何故この森の蜂蜜を警戒しているのかと言えば、毒ネズミたちの前歯を利用して作った容器で蜂蜜を回収して鑑定してみたところ、こんな鑑定結果が表示されたからだ。



△△△△△

『蜂蜜滴る琥珀の森』の蜂蜜

レベル:1

耐久度:100/100

干渉力:100

浸食率:100/100

異形度:2


『蜂蜜滴る琥珀の森』で採取できる蜂蜜。

通常の蜂蜜よりも甘く、摂取すると干渉力が一時的に僅かだが上昇する。

注意:過剰に摂取すると中毒症状を呈する可能性があります。

注意:容器から染み出した毒によって、摂取すると量に応じて毒の状態異常を受けます。

▽▽▽▽▽



「マントデア、カーキファング、蜂蜜の許容量って分かる?」

「分からん。とりあえず戦闘中に口に入った程度なら問題はない」

「分からないな。ただ、熊ですが大丈夫だからと俺たちが手を出すのは止めておいた方がいいだろう」

「ぬいぐるみ化の呪いは検証班でもよく分かってないんですよね。分かり易いデメリットが確認されたのもあって」

 もしかしたら、熊ですはぬいぐるみ化の呪いによって蜂蜜が起こす中毒症状とやらを回避しているのかもしれない。

 しかし、だからと言って私たちの誰かが試すのは……時間的にも状況的にも微妙だろう。

 なお、ぬいぐるみ化の分かり易いデメリットと言うのは、干渉力の低下だそうで、初期値が大きく下がるらしい。

 『CNP』において干渉力は全てに関わってくる数字なので、攻撃力も防御力も素早さも下がると言う事だ。

 デメリットとしてはかなり重い部類に入るだろう。

 同時にそれを使いこなしている熊ですの実力の確かさも証明していると言える。


「と、敵が来たみたいね12時の方向から蜂4体」

「こっちも確認した。静音琥珀大蜂だな」

「やっぱり見えるのが二人居ると楽だな」

「ですねぇ」

「む。熊ですの食事の邪魔をするとはいい度胸なのです」

 と、此処で進行方向から、人の頭並の大きさを持った蜂が勢い良く迫ってくる。

 蜂特有の羽音がしない、とても静かな物だが、こちらの事はしっかりと認識しているようで、真っ直ぐ突っ込んで来る。

 なので私は『毒の邪眼・1(タルウィベーノ)』の準備を始める。


「ふんっ!」

「グマー!」

「むんっ!」

「せいやっ!」

「「「ーーーーー!?」」」

「……。必要なかったわね」

『敵の数が足りていないでチュね』

 が、私の邪眼術のチャージが貯まるよりも早く、他の四人が動き出す。

 マントデアは二本の右腕を使ってこん棒を振り下ろし、逃げ損ねた蜂を跡形もなく叩き潰す。

 熊ですは一発当てて怯ませたところに、連続攻撃を叩き込んで、バラバラに引き裂く。

 カーキファングは素早い動きで蜂の翅を奪い取って落とした後に、足でしっかりと相手を抑え込んでから首を噛み砕く。

 最後にストラスさんが幅広の刃を持った槍を構えて正面から突っ込み、他の三匹がやられた攻撃から逃れるために姿勢が崩れていた蜂の胴体を正確に刺し貫いて、切断した。

 戦闘終了である。


「針ですか。何かに使えるんですかね?」

「沈黙と毒の状態異常を付与出来るらしいぞ。低確率だけどな」

「しまったです。体に蜂蜜が絡みついているのですから、食べて見るべきだったのです」

「結構美味だぞ。俺はお勧めする」

「次に蜂が来たら一匹は譲ってほしいわね。針は回収しておきたいわ」

 うん、マントデアたちが強いのは、イベントの件と昨日の移動中に尾行していた失礼なプレイヤーたちを始末した時の動きから分かっていたが、ストラスさんも案外強いのだ。

 空中浮遊とスカートの中に隠した四本の足を生かして、あらゆる方向へ素早く移動しつつ、幅広の槍で突き、斬る、その動きは自分の呪いにきちんと慣れ親しんでいる者の動きである。


「って、また来たわね。3時の方向から鹿が来るわ」

「おっ、それならタル」

「分かってるから大丈夫よ。足止めはお願い」

「言われなくても」

 と、此処で右手から琥珀色の角を生やした鹿が突っ込んでくる。

 しかしだ。


「むんっ」

「『毒の邪眼・1(タルウィベーノ)』」

「無謀でしたね」

「まあ、こうなるよな」

「蜂蜜がかかった鹿肉……ジュルリ」

「ディルッ!?」

 マントデアが鹿の首根っこを掴んで捕獲して、私が『毒の邪眼・1』を叩き込んで毒の状態異常にする。

 これで終わりだ。

 後は毒だけでHPが削り切れるまで、適宜毒を追加すれば、完全な状態の鹿の死体が手に入るだろう。

 ちなみに名前は琥珀角鹿と言うらしく、角から攻撃能力を持った音を放つことでダメージを与えてくるらしい。

 うーん、私の邪眼術とは残念ながら相性が悪い気がする。


「ディ……ル……」

「あ、死んだ」

「じゃあ解体だな」

「にーく! にーく!」

「手早く頼むぞ。先はまだまだ長いからな」

「あ、生肉なんですね……」

 とりあえず鹿が死んだタイミングで、カーキファングの求め通りに手早く解体。

 全身の皮は手早く剥いでマントデアに渡し、後は角と骨付き肉を回収してストラスさん以外に渡し、残りは放置していく。

 直に何かが来て、残りは処分してくれるだろう。


「あの、タル様。生肉って食べて大丈夫なんですか?」

「軽度の食中毒は起こすわよ」

「逆に言えばそれだけだな」

「満腹度はしっかり回復するから問題ないな」

「うー! 蜂蜜かけた鹿肉、美味しいのです!」

「あ、はい。なんと言うか、タル様たちが高異形度プレイヤーなのが改めてよく分かりました」

 私たちは生の鹿肉を齧りながら、森の奥へと進んでいく。

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