湿地を駆ける
少し段差の高い、水のない土の上を走る。
道が途切れ、向こう側に対岸がある。
勢いよくジャンプする。
足りない。
水辺の底から棒を生やす。
足場にして再度飛ぶ。
対岸に前転しながら衝撃を殺す。
右斜め前方から黄緑色の大きなカエルがとびだし、舌を伸ばす。
棒を生やしその先っぽを踏みつけ、伸びてきた舌を飛び越える。
再度棒を勢いよく生やし、手におさめ、脳天を叩く、
振り向きざまに三度叩く。
棒を戻し、自分の足元に生やし、再度空中に移動、手に棒の感触。
獲物を探す間に、脳天に重力に従い振る。
横から舌が伸びてきている。
他のカエルのようだ。
地面へ振る勢いのまま投げ、生やし、上へ飛ばす。
舌に刺さるように当たり、舌が止まる。
地面に降り立つとともに落ちてきた棒を掴み、先に近く、次へ棒を振る。
……生き絶えたのを確認し、目的地へ急ぐ。
2、3度ほど同じ工程を繰り返し、次第に沼地へ入ってきたことを認識する。
目視できるところに円卓のように丸い黒い場所がある。
足を速めた時、空中から飛来するナニカが近づいてくる。
トンボ型である。その長い尾を鎖のように叩きつけてくる。厄介なのは、叩けた後すぐに飛行することだろう。
一回、二回、確認し、その鎖のような尾に棒を絡める。飛行した時の力で円を描くようにコイツの背に上から近づき地に落とす。
そこまで自重を支えられないようだ。
生き絶えるのを確認し、先を急ぐ。
近づいていくと、鋭い殺気を感じ、棒を生やし掴み首元へ伸ばす。その衝撃に耐えられず、石を水切りするように跳ねる。
顔をあげると、大きなカマキリがいた。その右手と左手の鎌を擦り、切れ味を確かめているのだろうか。
鎌に水がまとわりつく。両腕を後方へ伸ばし勢いよく前へと動かす。水の刃が飛んでくる。
魔法の類いであろう。棒を高跳びのようにして飛び越える。
何度か飛んでくる水刃を乗り越える。
その懐へ叩き込もうとするが、鎌に阻まれる。
空いている鎌で斬られそうになる。
後ろへ下がり、足元に棒を生やす。
勢いよく前へと飛び、自分の頭へ鎌が近づく。
手に持った棒を鎌にひっかけるようにして自分の体をひっくり返し、その勢いで腕を砕く。体をひねり、頭から地面に降りる。
空中で左から鎌が迫る。その前に地面から生やした棒に手が触れ、再度吹っ飛ばされる。
目の前を、羽をひろげ、鎌に水刃を纏わせ、飛び掛かる姿が目に映る。
角度をつけた足元棒ブースター。
水を転がる。
羽音が上から聞こえてくる。
鎌が迫る。
体を横に転がす。
鎌が深く刺さる。
その隙に起き上がり、
開いた羽の中、
弱点へ棒を繰り返し叩き込む。
その大きな体の動きを止め、
力尽きる。
黒い円へ近づく。
黒い円の周りは土が乾いていた。これもこの黒の影響なのだろうか。歩きやすい。足泥を今のうちにとっておく。
黒の縁に足を踏み入れる。