表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/37

戦闘の報酬

目が覚める。何か大事な夢を見ていた気がする。


硬い土の感触に、まだゲームにログインしていることに驚く。


何思い出そうとしていたのか、わからなくなる。


現実での時間を確認する。思いの外寝ていたらしい。


太陽が昇り始めているのを想像し、なんだかため息が出た。







冷たい空気が肺の中を満たす。


白い息が、口からもくもくとあがる。


時間が違うだけで、いつも見ている光景とは違うように見える。


整備された川岸で、水切り用の小石を探す。


手頃な石を数個見つけ、投げる。


いつもよりうまく投げれた気がする。


一回跳ねた。


対岸に人影が見える。


見えた気が、しただけだった。


さて、ゲームをするとしよう。



さてさて、あの黒騎士、めっちゃんこ強かったッス。

つまり、ハイリスクハイリターンを望むことができる。

ぼぉかぁ~たのしみなんですよ。

へい、というわけで、ステータス、オープン!



ネーム:

種族:人間

《ステータス》

・ゴキブリみたいな生命力

・筋力はあがっているようだ 頭の方も

INT:8(固定)



……前よりひどい。なんか、こう、うん。ひどい。最先端のゲームってスゲー。


いや、強い敵を倒すと獲得できるスキルとかないんですかね。武器もないんですかね。


頭の中に使えるスキルが浮かぶ。ソレは今まで使ったことがなくとも、自然とどういうモノであったか手に取るように分かる。


頭で念じ、声に出す。「Eclipse」


「リスポーンしました」


……は?





もう一度使う。「リスポーンしました」


使う。「リスポーンしました」


「リスポーンしました」


「リスポーン「リス「リスポーンしました」


なんっで!


……使い方だけだとダメパターン?





足を引きずりながら、元の場所へどうにかたどり着く。まだあった。OK OK 迷う 迷う


先程まで存在感のあった、見覚えのある、直立した棒が天に向かって突き立っている。


しかし、その棒は、かつての相棒ではない。


その形は以前のままだが、色は真っ黒に染まっている。いや、真っ黒というより、空間が抉れた感じの、光を吸収する黒だ。その色は騎士との闘いで見た黒である。


引き抜く。


今までにない肌触りと固さなんていう感想は出てこないが、強くなったと考えよう。端から見れば、アイツなんか処理落ちしてね?通報するわ、と言われそうな、不審な見た目である。


棒の名を確認する。



「 を汲み取りし禁忌の棒」:ソレはかつての記憶か夢か。この世界に存在しない人の願いが籠められた棒。持ち主の意志に感化される。地面に突き刺すと、耐久を回復する。


ヤバみを感じる説明文。そして耐久回復棒に向かって感謝の敬礼。







……先程の騎士との戦闘はもう起きないようだ。序盤からなかなかハードじゃないッスか。とりま先に進めることを確認し、森を抜ける。


外見に比べ、森は小さかったようだ。森を抜けると小高い丘が見える。丘を登り、外を見る。丘を下った先、湿地林を越えた先に、人工物が見える。


霧でよく見えないが、人型が動いているのを確認する。馬車のような大きい動物が出入りしている。


心待ちにしていた人とのふれあいに心を踊らせ、丘を下る。精霊術に期待。


湿地にたどり着く。


足が泥にとられるが、歩く速度を少し早くする。






少し、


油断していたのかもしれない。


足をとられる。


泥ではない。


足が引っ張られる。


その手には水掻きがついていた。


体が倒れ


引き摺られる。


踏ん張りがきかない


ただの水溜まりに、


体が頭まで入る。


反射的に目を閉じ


水面へ上がろうともがく


息を止めようとするが


口から気泡が溢れる


呼吸ができない


体は沈む


下に


下に


水面の光の揺らぎを最後に


意識が


遠のく

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ