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◎#世界─英雄?※●+ 灰▼*の□血姫─その〓

────中央広場 式典儀式台────


糸で編まれた拳が迫る。


横に反らそうとして、触れた手がへばりつく。


「ナニをクモの巣で遊んでいるんだい?王様は以外に子供っぽいところがあるんだねぇ゛?僕とも遊んでくれっョ゛」


その勢いのまま体がくっつき、ジェットコースターさながら一回転して地面に叩きつけられる。


「……っく、術式……」


……などと目の前で始まる回避できない大規模な攻撃の応酬、隙の少ない細やかな動き、ヒヒッ、まるで昔から姿を変えず生き残っているといわれる珍しく魔力のない生命の完成形とも言われる魔物に似ていますねぇ。糸にくっついて叩き潰されるところが。


生命の完成形、思えばあの国では魔力の欠乏によって幾度の戦争が起きていました、敗北者は主に魔力贈答でしたが……ヒヒッ、酷いモノでしたねぇ。あの時は立場とはいえ、上の無理難題は。


さて、と言うように、持っている杖を地面に付け、捻る。杖先についた鈴のようなものが鳴り、空中にスクリーンが表れる。


「……ヒヒッご機嫌よう?電子領域保全管理官 (アキラ)殿」


『はぁー、畏まるのは止めてくれ、どうせ視ている先が同じだけの間だ』


「いえいえ、自分の部下の異変に即座に気づく辺り、貴方は頭の回るお方だ、もう少し、ゆっくり事を進める予定でしたので、」


『一人身、単騎、単身で、未知の領域に嬉々として向かい、その環境に対応する化物が何を言う。危害なく適応するだけのクマムシに比べら災害だろ、ネジとんでんだろ?テメェ、ん?』


「こうして糸電話を画面越しに設置するあなたがたも可笑しいと思いますがね、ヒヒッ、そろそろ本題に入りませんか?互いの目的のために、ね?」


『率直過ぎんだろが、まぁいい、おい、記録係?』


「まず初めに、今回のdive inはDream Medusa on-lineだと確認させていただきますよ?降り立ち、確認したのは人に似た者と人間が大きな会場に入場する様子、突如として暴れる者、主催者を襲う何者か、その者達を倒す情緒不安定な青年、ここまでで何か?」


『どうなってやがる?聞いていた前情報と異なんぞ、これは複数人で楽しむモンだと訊いたのだが、おい、Dream Medusa on-line開発者?』


『そんな!?とんでもないっ、騙してなどいない、これは我々の想定を越えたに過ぎないっ夢の箱庭は彼女の夢幻(ゆめまぼろし)だっ、だからこれは作中のイベントのはずなんだっ』


「言葉の節々が気になりますが、夢の箱庭とは?」


『夢の箱庭とは彼女が寝る時に生み出されるこの世界では認知できない領域でっなんと言えばいいか、記憶の図書館とも言うべきものだっ』


『おいっ彼女ってのは誰だ?』


『彼女は彼女ですっ彼女のお陰で私たちの夢は叶えられているようなものですっ彼女がいて彼女が寝て彼女が夢を見ることで私たちの夢が成立しているのですっ誰にも、彼女の睡眠の邪魔は許されなっ』


『……っ、トチ狂いやがった、お前の帰還はいつでもだそうだ、こちらとしては以前に比べ順調、帰れる時に帰っておけよ?』


「ヒヒッ私を失うのは痛手ですか?ヒヒッそもそもすぐに豚箱に入る気はないのですよ、せいぜい部屋の中で妄想に耽っててください、中二病」


『んにゃろっテメェの知識欲に経費かかってんだぞっおいっ 骸骨、止めんなっ』


スクリーンを閉じる、バックミュージックの喧騒が主音源に切り替わる。彼らの知る私の目的は飽くなき知識の探求ではない、ヒヒッ私の指はいつ、また、血が通う体温の温もりを感じれるのだろうか


静かに、瓦礫の山の上に降り立ち直し、辺りを見回し、こちらに一直線に走る青年と目が合う、目が合ってしまった。


ピリッとした感覚、幾度の戦場から培ってきた勘を頼りに、杖を前に振り上げる。


上から振り下ろされ、手に伝わる衝撃、おおよそ人からは検討もつかない異常な体の動き、相当な手練れだろうか、


大地の囁き(サイコメトリ)


接触中、瞬時に相手の行動の癖をその者の記憶から読み取るのだが、ヒヒッこの世界に入る前にこの者が出会った少女、この世界の吸血鬼とは姿が異なるようですねぇ?どういうことでしょうか?


収穫あり、といった所ですが、目の前の青年は開発者が言う所のイベント挑戦者、ぶれいやーでしたか?私から見れば、死なない戦闘兵とは、親しみを覚えてしまいますねぇ?


大地兵(グラディエーター)』×『大地の恵み(ガイアドリップ)


地面が隆起し、大剣を持った大岩隆々たるゴーレムが空を斬る。


『大地の叫び』


いつもは円柱の緋色が、V字に白黒の炎に切り取られ、、


『いじける大地』


相手に向かう鋭利な石塔が、輪切りに落ち、


『重力変換』


空に迫る刃が遅くなる。


それでも閃く剣線を三度弾き、


『座標固定式:深淵叫鳴(アビスコーリング)


杖仗から腹部に与えた衝撃でその体が吹き飛ぶかに見えた。




「邪魔、しないでくれるといいのだけれど」


「影にまで入って追従ですか、その青年に熱があるならば、さっさとくっついて離れてくれませんかねぇ?あぁ、離れるとはここからという意味ですよ?」


「それはこちらのセリフ、貴方のような異分子が入り込める場所ではない。すぐに立ち去って欲しいのだけれど。」


「ヒヒッなぜ命令ではなく願望なのか、面白いのですが、貴女の目はとても映る。その翡翠の曇りはあまり表に出さない方がいい、現状、本意でないことが分かってしまいますからねぇ?」


先程防がれた杖を払うように横着状態から水晶のような透き通る槍で距離を置かれる。


「動揺は肯定、行動は焦り、何かに負い目を感じているのならば、是非ともその計画とやらを打ち明けていただきたいですねぇ?」


「貴方のソレはただのブラフ、今回の計画は中止、彼を調べさせることはさせないし、この世界でなければ彼は話せない。だけれど私は彼に救われたのは事実……植物、覚めない夢、到達者、これ以上は越権行為、貴方はせめて彼ら以外の人をこの計画から遠ざけてあげて……ごめんね」


その青年を抱えながら小さく呟かれた言葉を皮切りに、世界がBit化し、崩れ、真っ暗のなか、透明なガラス板が目の前に表れる。


【loading・・・】


【Set Up・・・】


【Welcome!】


徐々に耳に入る喧騒、大きな竜種とそれに相対する武器を携える者達、連携され、見たこともない技の接続は、まるでカーテンコールの会場のよう、これが本当の世界だろうか、ヒヒッなんと報告すればよいやら



鱗のような水晶を体から生やした少女と戦闘状態に以降、意味深に捨て台詞を吐き逃亡、青年は人質?見覚えあるあの白黒の炎は……彼ではなく彼らとは?植物、寝込み続ける、また、この世界、VRという媒体を介さなければ話せない、そして、到達者。



ヒヒッ考えるのは後にしましょうか、目の前の宴会のような戦闘の方が面白そうです、


おや、そこの剣を携えた少年、驚いた顔をして、私に何か用でしょうか、


し、死神様?


ヒヒヒヒッいいでしょう、まぁ私としては杖の扱い方しか教えれませんけどねぇ?


……まず型からいきましょう、

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