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冒険の前に
廻る、廻る、光
宙をなぞる、幾何学模様
黒いレンガのタイルの上を、微弱に反射する、水が流れる
どこまで流れているのか、先は薄暗い靄に包まれている
― アナタハ ドウイウモノカ ―
流れていた水が止まる
微かに風が吹き始める
鼻につく、草の匂いがする
― モトメル モノハ ―
タイルが小麦色に色づき始める
靄が消え、心地よい風が吹き始める
奥に新芽が芽吹く
― ナニヲモッテ タチムカウ ―
地平線から太陽が顔を覗かせる
光は放射状となり、黄昏色に染める
新芽は成長し、花開き、
枯れる
― ソレハ マモレル? ―
時が戻るように花に活力が溢れる
花を中心に、木が、家が、村ができる
― ソレは あなたの欲ではなくて? ―
穏やかな風が吹く
村の入り口に、荒削りの木の棒が生える
まっすぐ、直立する
― どこまでもまっすぐなのですね 見定めさせてもらいました この世界を楽しんでいただけることを切に願います。―
村からの出発を祝うかのように空が白くなる
出口の道の先に、不自然に門が生える
その先にはなにがあるのだろう
一歩踏み出す