覚えて聞いて使って
……南の洞窟が……」
「……ら波平原に流れ星が……」
「……このゲーム自動車乗れ…… 」
「……目的って……」
「……のキャラ出て……」
「……裏路地に亡霊が……」
聞き耳をたてながら歩くと、雑踏の間に聞こえてくる。
気になる言葉を掲示板で調べ、わからないことが分かる。
流星が検索トレンド入りしてるけど思いあたることがががが
出会ったらリスポーン覚悟?えなにこの不穏な検索言葉……
……南の洞窟って山を越えるためのやつなんすね、通行止め?
他ゲーのキャラっ、発生条件は浮かぶ結晶?アルコールランプ、一枚の扉……人によって違う?
王国の裏路地の迷路に亡霊が、ふーん。
視界の端に教会りしき建物の先端部分が見えてきた。空中に自分以外不可視のメニューを閉じ、歩くことに専念する。
白い壁は浄化の表れか、真っ白に維持された教会は……ぇ、でかい、そしてとても眩しい。解放されてある木製の扉をくぐる。木のきしむ音が足下からかえってくる。
ステンドグラスから通り抜けた陽光が白髪を照らす。
「ようこそイービル教会へ、はじめてのご利用の方ですよね、あまりそわそわしなくて大丈夫ですよ、
こちらはイービル教会利用登録紋です、図書館のご利用の際に必要とする犯罪者識別印になります。防犯の意味もございますのでよろしくお願いします。
それではこちらに手をお載せください。はい、ありがとうございました。これから図書館入り口前の水鏡に手を掲げて頂くと扉が開きますのでよろしくお願いします。
また、この街も含め、7都市に存在するイービル教会のご利用も同じくできますので安心してご利用下さい。
最後に、火のご利用はくれぐれもご注意下さい。
いってらっしゃいませ。」
……最後にって言った時の含み笑い怖すぎでは?
自分の顔のひきつりまじ半端ない。
イービルってevil?
「……イービル教会の名前の由来、お知りになります、か?」
いえ、ダイジョブデス、やべぇ、後ろに立たないで、やべぇ、はやく、扉の向こうへ
卍型から開かれる通路、拡がる大図書館、見えてきたのは大きなスクリーンと検索用の機材、近代的すぎでは?サーフィンできそうなフライングボードもある。その上に足をのせ、
……言語、ホンリュー語、入門用っと、移動時の気分はなんだろう、昔あったと言われるセグウェイ的挙動、限定解除ボタンあるっ、いや、手すりつきでよかった~、
本がスライドして出てきたっ、発達技術おかしくね?あ、視界の片隅から無邪気スマイル要りませんので、ほんと、ほんとにダイジョブですのでっ、お引き取りくださいっ
~しばらくして~
『ホンリュー語を覚えました。熟練をあげることで昇華させて流暢になります。──言語2種類確認──意識する事で言葉を変えられます。』
窓の外、もう日が暮れてる、帰ろうか。本を返却ボックスに入れ、案外なにごともなく帰れました。
……晩飯が、茶色と緑、「そんな顔してもしょうがないだろぅ、断別山を挟んだ王国との交易が最近途絶えたってんだから、
不浄が解決してくれれば丸くおさまるんだがねぇ、アンタ不浄も知らないのかい、子供でも知ってるだってのに、
よし、同席した俺が説明してやろう。
不浄ってのなぁー、そう、油汚れみたいにしつこいのさ、降りはじめは俺ら銅色でも仕留められんのさ、だが降り付き7の陽が昇る頃にぬっと大きくなるのさ、
すると手も足もでねぇ、いや、出しても絡め捕られちまう、そうなるとギリ銀色でも難しくなるのさ、銀色になりたてのヤツラがよく会いやすい被害さ、
中には不浄に入った者が帰ってくる時がある。不浄を浄化した時さぁー
不浄は姿、形見る人によって違う。俺に見えたのは昔の後輩の影さぁー、まるで悪夢にでも会った気分さぁー、あぁなんでもない、
そいつが今街をつなぐ山中を根城にしてんのさぁー、根を張るようにさぁー、あれ、もう空かぁー、んじゃここでおしまい、お前さんもおやすみ」
こちらを見ず手を上げ階段を上るおじさん。
「さ、飯もすんだろぅ、アンタもお行き、それと、あんまり深く考えても仕方ないときは、しかたないさね。おやすみ。」
笑っているが、慈愛の微笑みで送るおばさん。
ごちそうさまでした、
俺も階段を登った。




