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恋骨!~恋するスケルトン~田中要はVRMMOゲームでスケルトンになって恋をする事にした。  作者: 熊谷わらお
第6章 人は骨と共に生き、骨と共に死す。そして想いは骨と共に残る。 68話~78話【完結】
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74.田中要は調理をする事にした。

【チュートリアルクエスト6開始】


「きつい……」

 カナメンは泡だらけの手で溜息をついた。

 酒場のアルバイトにあっさりと採用されたかと思ったら、まずは食器洗いからだと言われたのだ。しかも、機械洗浄では無く手洗いだ! 目の前のカウンターには大量のビールジョッキが並んでいる。これを全て洗わなければならない。

「何で直ぐに調理スキル取得じゃないの?」

 ウェイターで人気が出て大金稼いで一攫千金とか、ここはラッキーイベントになる所じゃないのかな……王子様に見初められてお城に連れていかれるとかお願いしたい。そんな事を思ってみても目の前の洗い物は減らない。

 そういえばお城イベントはもうやったんだっけか。というか、よく考えたら今は男子だった。よし、お金持ちの令嬢に見初められよう。

「お金持ちの令嬢が洗い場に入って来るかぁー!」

 一攫千金の夢は叶いそうに無い。人工知能運営って、変な所でリアリティを追求するよなぁ。

「バイト! 生ビール3個! 急いで!」

「はーい!」

 ジョッキを洗って水気を切って冷蔵庫で冷やしておきます。オーダーが入ったら冷蔵庫からジョッキを取り出しビールサーバーから注ぐ! それが今のお仕事。

「お願いしまーす」

 カナメンはジョッキに注いだビールをカウンターに出した。

「バイト! 泡立ってねーぞ、下手くそ! こっちのは泡が入り過ぎ、やり直し!」

「リアリティー!!!」

 追及する所、間違い過ぎでしょっ! 本当のバイトしてるみたいなんだけど。

「もうここはいいから、厨房を手伝ってこい」

 なじられてやっと調理の練習が出来るとは。早くクリアして帰りたいよー。


 調理場に入ると、チュートリアルメッセージが聞こえて来た。

『調理をするため、スキルでオーブンを出そう』

 GGLの調理はスキルで調理器具を出して行う。ここは実装されているゲームシステムと同じ仕様らしい。

 スキルを発動すると目の前に現れたのはクッキングヒーター付きオーブン。コンロは1個、その上に乗っているのは小さな鍋。使えるコンロの数や鍋の大きさはスキル熟練度で変わって来る。今は最小の大きさだ。

『材料を入れて蓋をしたら、スイッチを押そう』

 作りたい料理に合わせて、鍋の中に材料を入れ、蓋をしてスイッチを押したら調理開始である。調味料は必要ない。味は気合で決まる。

 好みの器を使いたい時は鍋の中に器も入れる。入れない場合は白いお皿に乗って出て来るようになっている。お皿は食べ終わると勝手に消えてくれるので洗う手間がかからず便利だ。ちなみに白いお皿は割れにくく鈍器にもなる優秀さである。落とすと床の方がダメージをくらうので気を付けよう。

 カナメンはお鍋に、お肉とニンジンと玉ねぎとジャガイモを入れてスイッチを押す。すると、ボフッと湯気が上がり、器に盛りつけられた料理が現れた。調理と言ってもゲームなので出来上がるまでの時間は一瞬だ。

『料理完成だよ』

 リアリティーはどこいった。

『味見をしてみよう』

 一瞬で出来た料理は、お皿の上で不思議な形状で盛り付けられている。一応、カレーかシチューが出来上がれば良いなと思っていたが、何だかよく分からない色をしている。

 出来上がった料理を食べてみる。

「ぶっ、クソまずっ!」

「お前はスイッチを押すのも下手なのかよ」

 調理場でも上司になじられる。チュートリアルで大分精神が鍛えられてきたような気がする。

「料理スキルの向上ってどうやるんですか?」

「頭の中で想像図を描き、ボタンを押す」

「それってセンスが無いとダメって事じゃん!」

 現実ではそうだけども、ゲームなんだから何とかして欲しい!

「出来るようにならないと、バイト終われないからな」

 料理の腕前の向上とは1にセンス、2に特訓、3に素材で、4は市販の何々のタレを買って来る事だと思うカナメンであった。


「た、ただいま」

「お帰りー!」

 げっそり顔のカナメンをホクホク顔のエリーが出迎えてくれた。

「バイトどうだった?」

「地獄だった」

「あはは」

「でもバイト代金がもらえたので、お肉買ってきました!」

「お肉!!!」

 肉食女子の目が光る。

「私もカナメンにプレゼントがあるんだよ!」

 そう言ってエリーが取り出したのは2本の長剣。

「名付けて! ミラージュコレクトソード!」

 真っ黒な刀身の二刀剣だ。片刃の剣には背に赤い筋が入っていて、ゲーム好き心をそそるデザインである。

「二刀を背合わせにすると1刀になるんだよ。刃は接した相手のマジックを吸収。赤い背の部分で放出を行い、剣の中でマジックを循環させるの。剣の中マジックの循環により相手のマジックを効率良く吸収しながら、威力や強度を強化できる優れもの! 相手の体に直接接していなくても、武器同士が接していれば吸収が可能だから相対した時点で有利って訳!」

 エリーは自信作とばかりに振り回して見せる。

「つまり、マジックドレインってやつですか」

「狭い容器の中の液体が広い真空の容器と接した場合、広い方に液体が移動するのをイメージすると分かりやすいかな。カナメンの膨大な魔力容量を利用して、マジック回復力の遅さを補う最高傑作だよ!」

 エリーはニンマリと笑ってご満悦の顔である。

 2階から下りて来た店長がお肉の入った箱を持ち上げた。

「明日は武器の慣らしと実践だな。その前に腹ごしらえするか」

「はーい!」

「賛成です!」

 肉の前には皆平等に空腹なのだ。

「居眠りしないように、今日は久しぶりに寝ちゃおうっと! 朝起こしてねカナメン」

「了解です!」

 エリーの言葉に笑顔で答えるカナメンであった。

 明日はフィールドで実践的なパーティープレイだ。チュートリアルも終盤。明日が楽しみだな。


【チュートリアルクエスト6終了】


次回「75.田中要は決定をする事にした。」お楽しみに!

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