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恋骨!~恋するスケルトン~田中要はVRMMOゲームでスケルトンになって恋をする事にした。  作者: 熊谷わらお
第6章 人は骨と共に生き、骨と共に死す。そして想いは骨と共に残る。 68話~78話【完結】
77/83

73.田中要は把握をする事にした。

【チュートリアルクエスト5開始】


「やっとゆっくり寝むれるー」

 武器屋に入るとエリーは背伸びをした。

 最初の街の武器屋に3人は戻ってきた。天井の修理は終わり、大きく開いていた穴は綺麗に無くなっていた。

「2階を案内してやってくれ」

「はーい!」

 エリーの後について2階に上る。階段を上った先のドアを開けると、中にはベッドが手前と奥に1つずつあった。何の変哲もない部屋と言いたかったが、壁にびっしりと趣味の悪い不気味な置物が括りつけられ並べられている。

「素敵ですね!」

 カナメンはスケルトンの人形に手を伸ばした。

「呪われるから素手で触っちゃだめだよ」

 スケルトンの呪いって何だか祝福と同等の気もしないでもないが、今は触らないでおこう。

「ベッドも買わなきゃいけないか」

 後から2階に上がってきた店長は窓際のベッドに腰かけた。

「エリーこっちにおいで」

 店長がエリーを呼び寄せる。

「ずるい! 私だって2人で寝たいです」

「じゃぁお前がこっちに来るか?」

「結構です」


 地下室で特訓をすると案内されたが、エリーと共に地下に入ると小さな部屋が1つあるだけ。床に魔法陣が描かれてはいるが、どうやってこの狭い場所で特訓をするのだろう?

「モンスターレプリカントを始めるね」

 エリーが言うと、部屋は広い草原へと変化した。

「リーベルタース全土、村付近レベル1、一角ウサギ」

 草原に変わった部屋の真ん中に一角ウサギが現れた。

「すごーい! どうなってるんですか?」

「モンスターレプリカントは魔法で環境やモンスターを再現しているの。一角ウサギの弱点は角。攻撃に失敗すると反撃されるから、1撃で仕留めて」

「はいっ」

 渡された剣をカナメンが振るって一角ウサギの角を折る。すると、一角ウサギは光になって消えた。

「1匹ずつだからまだ戦えるけど、普段は連鎖して襲って来る事も考えなくちゃならないんですよね」

「そうだね。何種類も混ざっている事が多いし、数も常に違うから状況判断力が重要になるね。でもまずはモンスターの特徴を覚えていこう。優先順位を素早く判断できるようになったら、複数もやってみようね」

「はいっ」

「次っ、リーベルタース全土、村付近レベル1、二尾キツネ」

 今度は部屋の真ん中に二尾キツネが現れた。

「弱点は尾。素早く後ろに回り込んで」

 エリーは次々にリーベルタースに生息するモンスターを召喚していった。

 スケルトンの時にはスケルトンを好んで倒しているため、倒した事の無いモンスターや行ってみた事の無い場所が結構ある。こうしてみると、景色の良い場所や面白そうな場所を知らないままだった事に気が付く。作られた世界で偽物の景色。それでも旅をしてみたくなる。偽物でも本物のワクワクは生まれるんだよな。

 しばらくすると、空から叩く音がした。

「ご飯いこっ」

 エリーが手をかざすと、さっきまで戦っていたモンスターも目の前の沼地も消え、元の地下室へと戻っていた。


 ご飯を食べに訪れた酒場は、酒を飲み語らって時には拳で絆を深める方々で賑わっている。3人の目の前に並んだ料理は、肉が肉で肉のワイルドな品々だ。

「魔王って何なんですかね?」

 カナメンが肉にかぶりつきながら聞いた。

「魔王というのは冒険システムを動かす魔力供給源と考えると分かりやすいかな。この世界の冒険という仕組みを司っているゲームマスターであり、資源でもある」

「死んだ時の復活って神の力っていうイメージがあるのですが、それも魔王の力なんですか?」

「そうだよ。モンスターが復活するのも、人が復活するのも魔王の魔力を使ってる」

 エリーが肉にかぶりついた。可愛いエリーも肉の前では野獣の食いっぷりだ。

「魔力を作り出すエネルギーは肉だけどな」

 店長は酒を飲みながら2人の食欲に呆れている。

「部屋の物はエリーさんが作ったんですか?」

 カナメンは次の肉に手を出しながら聞いた。武器屋の2階には不気味な物が並んでいる。もちろんスケルトンもあります! 呪いの人形だけど。

「違うよ。封印効果のあるアイテムは旅の途中で見付けて買った物。魔王の魔法には呪いや他人を陥れる類のものは無いのよ。冒険システムの引き継ぎ魔法は呪いに近いけど、魔王自身のものというよりは呪いの魔法書を見て入れたものだね。それを考えると魔王が本当に悪者だったのか……私達の判断が正しかったのか、なんて思っちゃったりしてね」

 エリーは顔を曇らせ肉にかぶりついた。

「魔王を倒した事に人々は喜んだんだ。それが答えだろ。前の魔王に悪意があろうが無かろうが、人々が倒してくれるのを望んた。お前ら英雄達は間違ってはいないさ。人やモンスターの思いに魔法が力を貸した結果が呪いなんだろうよ」

 店長は酒を飲み干す。

「エリーから見て、こいつの能力ってどうだ?」

「魔力の器は底が無いほど広いんだけど、回復力がものすごく低いみたい。自然回復が低いとなると、オプションでマジックの回復を早める必要があるかな」

「作ってやれそうか?」

「出来るかどうかはやってみないとだけど、力を逆向きになるよう刻めばマジックドレインも可能だとは思う」

「えっ? エリーさんに武器を作ってもらえるんですか!?」

 身を乗り出したカナメン。

「リクエストはありますか? お客様」

 エリーは職人の顔をしてみせた。

「エリーが武器を作る間、カナメンはアルバイトに行ってこい」

「アルバイト、ですか?」

「料理を覚えて来い。俺もエリーも丸ごと焼いて塩するぐらいしか出来ないからな」

「エリーさんにも不得意があるのですね」

 カナメンの言葉に少し恥ずかしそうにするエリー。

「冒険の腕を磨くのをずっとやってきたんだもん。パーティーでは料理が上手い人がいたから任せっきりだったし……」

「分かりました、頑張ります! お世話になってばかりじゃ申し訳ないですから」


【チュートリアルクエスト5終了】


次回「74.田中要は調理をする事にした。」お楽しみに!

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