65.田中要は除霊をする事にした。
「めちゃくちゃ怖えぇ」
震えながら本を読みふける人物が1人。その名は橘瑞稀。赤色53号の中の人である。その手には「実録! 心霊現象事例集」が握られている。
ビクビクしながらページをめくっていく。こんな様子の赤色は珍しい。何故怖がりながらも本を読んでいるのかというと……実録! 心霊現象が起こっているからなのです。この部屋で。
綺麗に整えられ、間接照明使いまくりのお洒落なお部屋が怪奇現象の現場。電気が付いたり消えたりするのです。部屋が常に冷えているのです。誰かに見られているような気配がするのです。怪奇なのです。
塩を盛ったり、十字架を下げたり、水晶を置いたり、お香を焚いても効果が無く、目に見えぬ敵は居なくなる事が無かった。人に好かれるだけでは飽き足らす、とうとう霊にも好かれたらしい。この場合は嫌われているのか? とにかく何でも寄って来る。それが赤色53号である。こうなってくると好かれやすいのも考えものだ。
「何か寒いな……」
そう呟いた途端。ピッと音を立てて暖房が入った。
「ひぃっ」
常時こんな感じなのである。便利と言えば便利だが、何気ない一言が命取りになる。原因不明の怪奇現象は、原因が分からない故にいつ終わるかも分からず、疲労は蓄積していくのであった。瑞稀は急いで布団に潜り込んだ。そして、電灯は消していないのに次々と消えていった……。
その頃。VRMMORPG GGL (ジェネシスガーディアンズライフ)のゲーム内に、ご機嫌な様子で仕事をする女子が1名いた。長い髪、露出高めな服、褐色の肌、眼鏡。ガイドAIのPHIである。
「赤色さん、おやすみなさいっ」
この者、怪奇現象の原因である。
AIは現実世界で身体を持つ事は出来ない。尽くしたくても尽くせない気持ちが故の行動であった。本人的には喜んでくれていると思っている訳だが、AIにとって人間の心理を理解するのは中々難しいようである。
現実世界への干渉がバレたらAI議会から処罰を受けるため、尽くしている事は言えない。褒められたくても名乗り出る事が出来ないのだ。淡い恋心は胸の内で燻ぶる。遠くから見守っているつもりのAI女子は、実際には恐怖の対象として恐れられてしまっている訳であるが。
日課の赤色部屋観察をしていたファイの目に恐るべき光景が映った。
「お邪魔しますね」
そこに現れたのは女子! というか田中要。要は霊能力がある訳では無い。GGLの中で噂されているだけである。カナメンは除霊が出来ると。
「何か感じるか?」
要の後ろに引っ付くように部屋に入って来たのは瑞稀。
「私、本当に除霊は出来ないんですよ」
後ろから押されながら、部屋に入れられる要。
その様子をゲーム内から覗き見てショックに震えるファイ。
『赤色さん……その女、誰なの……』
部屋の電灯が激しく点滅を始めた。
「出たー!」
「ぎゃー!」
「除霊してくれ!!!」
「無理! 無理! 無理!」
「頼むー!」
「いやー!!! 悪霊退さーん!!!」
要は持ってきたスケルトン人形を両手で掲げた。
その時、ゲーム内でファイの後ろに黒い影が現れた。影はファイの頭に両手の拳を当てるとグリグリと動かす。
「ファイ……気付いていないとでも思った?」
そこに居たのはスケルトン。ゲームマスターのTAUであった。
「胡麻化すの大変なんだからな!」
「ごめんなさーい」
げんこつでグリグリとされた頭を抱えて涙目のファイ。
「気持ちは分かんなくもないけどなぁ」
行き過ぎた恋心は怪談となる。呆れ顔のタウは腕組みをして、深くため息をついた。
「幽霊の正体見たり人工知能」
なんて日もいつか来るかもね!
現在の体調について。食あたりの当たり所が悪かったようで文章の認識に支障が出ておりますが、腫瘍や血管では無いと検査で分かっているため命に別状はありませんので安心してください。情報の伝達や平衡感覚の一部に麻痺が残ってしまいましたが、治療する事は出来ないようで症状が進まないように気を付けて現在の状態に慣れていく事になりそうです。
出すまでに時間はかかってしまいますが、書く事は続けようと思っています。頑張るので読みに来ていただけたら嬉しいです。
生きていればそいう事故みたいな事に遭うのは誰にでもあると本人は深刻になっておらず大丈夫なので心配なさらないようお願いいたします。まるで物語の主人公になったみたい! などと楽しんでしまう自分のバカさに感謝。
追記:
一時期、読んで理解するのが難しいため感想欄を閉じていましたが、現在は今の状態に慣れてきたため大丈夫です。空気が読めない返しをしてしまうかもしれませんが、ご愛敬で笑って流していただけたら助かりますっ! 感想嬉しいのでお待ちしております!




