64.田中要は手本をする事にした。
一話完結短編シリーズ 恋する着せ替えスケルトン
「うーん」
首を傾げながら本を読みふける人物が1人。その名は皆川七見。その手には「恋愛必勝マニュアル」が握られている。
男子にモテる男の悩みは「男子力」を上げる事。男らしさが上がれば、女子力で恨まれるような事も起こらないだろうし、デートも上手くエスコート出来るはず。
真剣に読み進める表情は段々と混乱へと変わって、最後は弱音と共にベッドに倒れ込んで包み込まれた。
「わからないー」
優しくするのは気を付けてるし、笑顔も多分大丈夫。他人の話を聞くのも出来てると思うんだ。重い物だって持ち上げられるし、相手をよく見て助けるのは回復職の基本だし、邪魔にならない位置取りも体に染み込むまで訓練したしなぁ。魔法発動までの待機時間も記憶している。あと何が足りないんだろう。
包容力、決断力、腕力、知力、神秘力……。
「神秘力か!!!」
謎めく人間は人の心を引き付けて離さないらしい。何だか気になってしまう、目を引く人間になろう。とマニュアルには書いてあるが……。
「神秘力って何?」
そもそも、そこが神秘である。
「不思議って何だと思う?」
ペットの猫。マリとモリの2匹に聞いてみても「ニャーン」と言われるだけであった。ゲームみたいに分かりやすい指標があれば良いのに。神秘値が上がるエサが欲しいよ。取り敢えず「神秘的な人」について調べてみた。
『生活感が無い。マイペースで独りで行動する事が多い。口数が少なく落ち着きがある』
スーツか部屋着しか着ていないから生活感は無いかもしれないけど、他の部分って自分では分からないなぁ。こういう人が身の周りに居たら勉強になるのに……って、いた! 神秘的な人!
「カナメンさんだ!!!」
神秘的人間。その名はカナメン。つまりは田中要である。
生活感無し! マイペース! 独りぼっち! 口数少ない! 落ち着きは無いようで有る! スケルトンが大好き! 謎だらけでパーフェクトである。
「どうしたんですか? 七味さん」
「何でも無いです。自然にしていてください!」
観察する七味の熱い視線にソワソワするカナメン。
「カナメンさん。手先が綺麗ですね」
「本当にどうしちゃったんですか! 七味さんっ!!!」
手先は手先でもスケルトンの手先だ。こう書くと悪の手先みたいだな……。スケルトンの手の先なので悪しからず!
「ふぅっ」
悩んだ様子で時折ため息をつく七味。アンニュイな様子の美少女は絵になる。
「どこか具合が悪いのですか?」
「大丈夫ですよっ!」
精一杯の笑顔で応える美少女。
『あの子、健気だなぁ』
それを見ていた周囲の七味に対する好感度がアップした!
男子力を上げようとして、ますます女子力が上がってしまう七味であった。
ブックマークありがとうございました! 感謝の品にございます!
次回は「65.田中要は除霊をする事にした。」になります。夏の風物詩。涼しくなるお話でございます!




