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恋骨!~恋するスケルトン~田中要はVRMMOゲームでスケルトンになって恋をする事にした。  作者: 熊谷わらお
第5章 本を開けば恋になる。恋を閉じれば本になる。 59話~67話【話数追加予定】
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62.田中要は刑事をする事にした。

一話完結短編シリーズ 恋する着せ替えスケルトン

七味(しちみ)さん、とうとう殺っちゃったんですか!?」

 カナメンの悲鳴にも似た悲しみの声に、申し訳無さそうに下を向く美少女。

「僕じゃないです……」

 その言葉にマリリン刑事は腕組みして七味を見下ろした。

「やった奴はみんな、そう言うんだよ」

 ここはVRMMORPG GGL (ジェネシスガーディアンズライフ)のカナメンの倉庫内。豪華な椅子に座らされ尋問を受けるのは容疑者「七味」である。美少女がスケルトン刑事(デカ)の取り調べを受けている理由。それは、プレイヤーが海に突き落とされる事件が起こっていたからだ。その容疑者として浮上したのが七味。七味と同じ髪色と髪型のダサい服を着た者が、回復職しか使えない魔法を使用してプレイヤーに危害を加えていたのが目撃されたのだ。

「七味さんデスナイト化中は記憶が無いから、困りましたね」

 やった記憶は無い。けれど物的証拠が揃っているのである。

「最近はちゃんと寝ているんだけどなぁ」

 七味は首を傾げた。

「デスナイト化してても、危害を加えられない限りは攻撃しないはずなんですけどね」

 スケルトンも不思議顔で首を傾げた。24時間寝ない事で狂暴化する七味であるが、カナメンが言うように、デスナイト中の七味はモンスターなら無条件で斬る。しかし、相手がプレイヤーなら攻撃されないと手出しをする事は無いはずなのだ。

「おいっ! 早く吐いた方が楽になるぞ」

 マリリンが壁を叩く。脅しに涙目になる美少女。

「本当に身に覚えが無いんです」

 その様子を見たマリリンはカナメンに近づき耳元で囁いた。

「ボス、こいつ黒ですわ。吐かせますか?」

「止めなさいマリリン」

「ねぇ、(ほとけ)のカナメンやってよー」

「やりません」

 仏どころか既に骨である。

「七味さんのアリバイがある時に犯人が行動を起こしてくれれば良いんだけどな」

 カナメンの言葉にマリリンが満面の笑みを浮かべた。

「良いアイデアがありますぜ、ボス!」

 耳元で囁くスケルトンと囁かれたスケルトンは顔を見合わせて笑みを浮かべる。

「難事件もスケルトンデカにかかればお見通しだっ!」

「ウケケケケ」

 不気味な笑いが倉庫にコダマした。


 そして数日後。被害者が最も多く出ている海沿いの崖。そこを歩くのは1人の獣人の美少女。長くてしなやかなウサギの耳が弾む。魔法書を両手で抱きかかえるように持ち、尻をプリプリ振りながら歩くウサギ娘。ミニスカートからスラっと伸びる長い脚。スカートの裾がヒラヒラとそよいで、時折心を表すかのようにウキウキと跳ねる。

 そんな楽し気に歩く女子の後ろに現れたのは……七味。伸ばした手から放たれた魔法はウサギ娘の背中を捉えた。

「きゃぁ」

 悲鳴と共に崖から海へと落ちるウサギ娘。から伸びる(むち)。クルクルと七味の身体を絡めとった。

『ドボーン』

 大きな水音を立てて2人が一緒に海に沈んだ。先に浮き上がって来たのはウサギ娘。次に浮かんできたのは、七味には似ても似つかない顔をした女子キャラであった。

「捕まえたー!」

 ウサギ娘は大声を上げた。

「お手柄です! カナメンさん!」

 崖の上から覗き込んでいるのは本物の七味。囮作戦(おとりさくせん)大成功である。海から上がったウサギ娘の背中のファスナーが開いて出て来たのはスケルトン。水も滴る良い男。この(おとり)作戦はカタログ注文で手に入れたメイドの肉をカナメンが着て女子の真似をする事で行われた。

「ネカマプレイ上手くいきましたね!」

 嬉しそうなスケルトン。

「いあいあ、カナメンさん女子ですから!」

 心ごとカナメンになりかかっている田中(たなか)(かなめ)である。鞭で拘束した犯人を海から引き上げてカツラを取ると、そこには虎の耳があった。

「ハニーさんじゃないですか!」

 犯人は虎の獣人キャラ「ハニー」だった。七味と同じ回復職の女子である。ハニーは一流の技術を持つ優秀なプレイヤーだ。しかし、愛嬌において七味に負けていたのだ。七味の予定が空いていなければ。で、回って来るパーティー依頼に不満が募っての犯行であった。

「ナンバーワンになりたかったのぉー!」

 ハニーの嘆きが崖から海にコダマした。


「今回の事件は男なのに男にモテモテの七味を妬んでの怨恨(えんこん)でしたか……」

 カナメンの倉庫でカタログをめくりながら結果を聞くマリリン。

「君のおかげで囮捜査(おとりそうさ)、上手くいったよ。マリリン君」

 パイプタバコを咥えながら決めポーズで振り向くカナメン。すっかり刑事ごっこにハマっている。

「それで御礼は何貰ったの?」

 嬉しそうにマリリンはカナメンを見た。

「無いよ」

「えー。あいつダメダメじゃん。異性にはモテないわ、そりゃ。ご飯ぐらい(おご)って貰いなよー。私への報酬は何にしようかなぁ」

「七味さんからまでお金を巻き上げるんじゃありません!」

 スケルトン刑事は報酬もしっかりともらうのである。


「でも……ご飯かぁ。行ってみたいかも」


次回、七見と要でお出かけします。はたしてデートプランは成功するのであろうか! こういう時は、ほぼ失敗させられる訳だが、負けるな七見! 頑張れ七見! 「63.田中要は食事をする事にした。」お楽しみに!

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