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恋骨!~恋するスケルトン~田中要はVRMMOゲームでスケルトンになって恋をする事にした。  作者: 熊谷わらお
第4章 恋は、けもの道。そして時々、いばら道。されど足は止められず。 46話~58話【完結】
58/83

55.田中要は案内をする事にした。

一話完結 恋する着せ替えスケルトン 短編シリーズ

「ここがドリームスケルトンランドですよ!」

 嬉しそうに案内をするカナメン。その後ろにはライオンの尾を持つ獣人娘ミムロ。山奥から街に移住して来たミムロを、カナメンはあちらこちらに案内している最中だ。


 VRMMORPG GGL (ジェネシスガーディアンズライフ)には、街でだけ入れるウォークインクローゼット型の「キャラクター倉庫」がある。アップデートにより、24時間倉庫に籠る事も倉庫内で陶芸をする事も出来るようになったため山からミムロは下りて来たのだが、ゲームプレイ歴は長いのに狩場やイベントをほとんど知らなかったのである。


 やって来たのはドリームスケルトンランド。通称「監獄(かんごく)」ガラス張りの100建てダンジョンだ。


PHI(ファイ)、紹介するね。私の師匠のミムロさん」

「ファイです。よろしくお願いいたします」

 ガイドAIダークエルフのファイは頭を下げた。トレードマークの眼鏡に褐色の肌とストレートロングヘア―。ミニスカートに胸元が大きく開いた露出高めの服が相変わらずの美しさである。


 ミムロはファイの顔をジッと見つめると、カナメンに向けて手を出す。

「カナメン、スケルトンフラッシュ」

「どうしたんです?」

 不思議そうにしながら、カナメンはミムロにスケルトンフラッシュを渡す。


 受け取ったミムロは右側の壁に向けてスケルトンフラッシュを投げた。スケルトンフラッシュは三角を描くように壁を反射して飛び回る。と、ファイの後頭部に向かって飛んできた。それをファイは事も無げに避ける。

 ミムロは跳ね返って来たスケルトンフラッシュを掴むと、満面の笑みをファイに向けた。

「なるほど。お前とは仲良くなれそうだわ。こちらこそよろしくな」

「はいっ」

 後頭部を狙われたにも関わらず、ファイも何だか嬉しそうである。


「ガイドって事は何系?」

「フェンリルになります」

「プロメテウスの知り合い居たら紹介して欲しいんだけど」

「お詳しいのですね。今プロメテウスはプロパイさんだけかもしれませんね。ゲームマスターの方です」

「ゲームマスターかぁ……んじゃいいや。ゲームマスターとは相性悪いからな」

 残念そうにしたミムロが、急にニィッと不適な笑みを浮かべて、ファイの首に巻かれたストールを見た。

「良いの身に着けてるじゃないか」

「はいっ。カナメンさんに頂いたんです」

「やっぱりか。良かったな」

 ミムロは嬉しそうに笑った。どうやら二人は中々相性が良いらしい。カナメンも一安心である。


「ここで販売も出来るんですよ」

 カナメンは言った。


 ドリームスケルトンランドにはガラス張りを利用したレンタルスペースがある。プレイヤーが作った品物が展示販売出来るのだ。


「この機械を使ってアイテムを手元に再現出来るんですよ」

 テーブルとイスが並んだスペースに、カナメンはミムロを案内する。


 テーブルには番号のデジタル表示があり、選んだ番号の箱にある中身が再現される。あくまでも再現されるだけなので持ち出す事は出来ないが、手触りや使い勝手を試す事は出来るので便利なのだ。

 購入する事が決まったらこの場所で買う事も出来る。購入した場合は建物の内外壁に飾ってある本物が転送されて来て、持ち帰れるようになっている。

 ファイが前の仕事で使用していた「武装具現化プログラムTTS(テティス)」の技術を応用して作ったものだ。


 夢中になって機械をいじるミムロ。しばらく放っておいた方が良さそうなので、カナメンはファイに近付いて声をかけた。


「新しいAIって入って来たのかな?」

 マリリンについて、それとなく探りを入れてみる。


「新人さんはまだ来ていませんね。私が一番の下っ端です」

「そっかぁ。プログラムって作った人に似るとかある?」

 ファイは首を(かし)げる。


「えーっとね、例えばTAU(タウ)がプログラムすると、タウに性格が似るとか」

 マリリンの性格を例えるとタウな訳です。仕事サボルし。


「そうですねぇ、ある事はあるんですが、管理制御しているAIの特徴の方が強く出やすいかもしれないですね。どうしたんですか?」

「いや、ちょっと気になっただけ」

「そう言えば、ストールの在庫が少なくなってましたよ」

「ありがとう、ファイ。作り置きがあるから持ってくるね」


 からの……倉庫内。


 床に散らばるアイテム。床に()いつくばるスケルトン2体。


「マリリン、ストールどこにやったの?」

 マリリンは両手の平を上に向け、さぁ? という風なジェスチャーをした。つまりは、アイテムが見付からない訳です。ガイドが居てもです。居ても居なくても同じという状況な訳です。


 ふと棚を見ると、そこには明らかにベッドとして使用していると思われる場所。そして、枕にしていると思われるクッション。その生地に見覚えあり。近づいて持ち上げると、中から大量のストールが出て来た。

 

 布を布で巻いてクッション作るとか! そんな生活の知恵どこで手に入れた!


 というか、棚を加工してベッドを作るDIY技術(ディーアイワイ)とか……どこで手に入れたんだ。プログラムされていない言葉が話せないのは分かっているから、DIYはプログラムされているって事? うーん。配置換えがあるから使えてもおかしくは無いのか。でも、明らかに私は指示して無いしな……。


 どうしよう……倉庫ガイドの返品交換って今からでも出来るのかな?


ブックマークありがとうございました! お礼の更新です。楽しんでいただけたら幸いです。

次回「56.田中要は探索をする事にした。」 ミムロ・カナメン・七味でお出かけしますよ! この3人の相性は果たして良いのでしょうか。お楽しみにでございますっ!

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