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恋骨!~恋するスケルトン~田中要はVRMMOゲームでスケルトンになって恋をする事にした。  作者: 熊谷わらお
第4章 恋は、けもの道。そして時々、いばら道。されど足は止められず。 46話~58話【完結】
50/83

48.田中要は整頓をする事にした。

一話完結 恋する着せ替えスケルトン 短編シリーズ

「タオルの作り置き、あったはずなんだけどなぁ」

 カナメンは倉庫の中で(たな)(のぞ)き込みながら(つぶや)いた。


 ここはキャラクター倉庫の中。先日「ミムロ」にタオルをお願いされ、カナメンはキャラクター倉庫の中に探しに来たのだ。


 VRMMORPG GGL (ジェネシスガーディアンズライフ)は仮想世界で遊べるゲームである。このゲームで個人が使える倉庫にはフィールド倉庫とキャラクター倉庫の2つがある。


 フィールド倉庫というのは、どこでもアイテムが出し入れ可能な倉庫で、ポーチやバッグなどの形でキャラクターが身に着けている。


 キャラクター倉庫は街の中でしか開く事が出来ない倉庫だが、拡張して広くする事ができるため直ぐに使う予定の無いアイテムを入れておくのに便利な場所となっている。

 このゲームのキャラクター倉庫はウォークインクローゼット型になっていて、倉庫の中に入ってアイテムを見る事が出来るのだ。そのため整理整頓(せいりせいとん)が出来る事も他者に(ほこ)れる能力の一つとなる。


 手先が器用なので色々な事が割と出来るカナメンであるが、倉庫は常にアイテムで一杯。簡単に言うとゴチャゴチャである。製作が好きな者にとって、材料も作ったアイテムも宝物なので仕方が無い。単にカナメンが貧乏性というのもあるのだが。


『ピンポーン』

 軽やかな音が鳴ると、カナメンは(あわ)てて倉庫の外に出た。


 ウォークインクローゼット型倉庫の良い所は、好きな物に囲まれて過ごせる癒しの空間という使い方も出来る所だ。ゲーム内に家は無いけれど、倉庫内が飾れるためにまるで1人ずつに家がある感覚だ。

 倉庫が好きすぎて出てこなくなるのを防ぐため、中に入っていられる時間が制限されている。とは言え、課金(かきん)で延長出来るので現実のお金次第では住めてしまう訳だが。


「うーん。課金したいなぁ。時間も延長したいし、棚も新しい物にしたい」

 制限時間をリセットして、カナメンはもう一度倉庫に入ると積み重なったアイテム達を眺めた。


「他の人ってどうやって整理整頓してるんだろ?」


 他の人の個人倉庫に入る事は出来ないので、他の倉庫を見るとなるとギルド倉庫を見るしかない。しかしながら、カナメンはギルド倉庫に入った事が無いのだ。

 ゲームを始めた時から一人ぼっちプレイヤーなのである。


 やりたい事は製作。倒したいモンスターはスケルトン。だけど、自分もスケルトン。という変わり者は不人気である。

 しかも、スケルトンというキャラクター自体が戦闘において不利なので更に受け入れ先が無いのが現状だ。ギルドに入るとなると、それなりに貢献(こうけん)をしないといけないのだ。


 ギルド倉庫を会議に使うと情報が漏れないというのもあって、ギルドでは倉庫拡張も人気の項目だ。全員の功績だとかで入れる人数や時間が決まってくるようになっているため、倉庫一つとって考えてみても積極的なプレイヤーが好まれる。

 可愛いく飾ってプレイヤーを獲得しているギルドまであるぐらい、倉庫は使い道が広いのだ。

 

 VRゲームGGLでプレイヤーが選んで遊べる種族は「人間」「獣人(じゅうじん)」「スケルトン」の3種類。

 人間は平均的な特徴を持つ種族で、多くの人がこの種族を選ぶ。


 次に多いのが獣人。獣人は人間と獣を合わせた見た目をしており、獣化(じゅうか)人化(じんか)を切り替える事が出来る。人化の状態でも人間より防御力が低いが、獣化中は更に防御力が下がる。変身による一発逆転を狙う種族となる。


 カナメンの中身「田中(たなか)(かなめ)」が大好きなスケルトンは、選ぶ人がほぼ居ない。特徴的な見た目と体力回復のペナルティがある上、聖なる攻撃に弱いという弱点があるのだ。

 特別なスキル、スケルトンフラッシュと冥府(めいふ)の門が使えるのが特徴だが、どちらも正直使えない。

 それなのに操作キャラクターとして3種類の内に選ばれてしまう所が、人口知能AIが運営するゲームゆえの悲劇なのか……喜劇か?


『ピンポーン』

 お知らせ音でカナメンが倉庫の外に出ると、目の前に友人の赤色(あかいろ)53号がいた。


「カナメン、倉庫入ってんのか?」

 赤色53号は人間の少年キャラクターで、ギルド「カラーリングヒストリー」のギルドリーダーである。


「こんにちは赤色さん。アイテムが見付からなくて困ってるんですよ。倉庫ってどうしてます?」

「倉庫なぁ、個人のはほとんど入って無い。ギルドのに一緒に入れちゃってるんだわ。メイドがいるから便利なんだよ」

「ギルドってメイドさんが居るんですか?」

「メイドも執事(しつじ)も選べるが、うちは中身が男しか居ないからメイドにしてる。言えばアイテムを持って来てくれるから便利だぞ」


「個人倉庫にもメイド欲しいなぁ」

 カナメンは(うらや)ましそうに溜息(ためいき)をついた。


「技術的にはやれそうだけどな。要望でも出してみたらどうだ?」

「そうですね、課金でも良いから欲しいです! ヒヨコさんとかどうやってるんですかね。女子はどうしても物が多くなるんですよ」

「ヒヨコは、中身おっさんだぞ」

「へっ? 女子ですよね?」

「あれ、お前『ロウ兵(ろうへい)』知らないっけか。ヒヨコはああ見えて前のゲームでは『おっさん使い』だったんだよ」

「ええええ!!!」


 ヒヨコというのはギルド「ブロッサム」に所属する可愛い(おおかみ)の獣人女子である。現実世界でも可愛らしい女子なのであるが、その中身は……実はおっさんである。


 ヒヨコと赤色は別のゲームからGGLに一緒に移って来た仲間で、前にやっていたゲームというのが対人サバイバルゲーム。つまりはゴリゴリの肉体派ゲームであった。


「俺、会うまでは男だと思ってたぐらいだぞ。筋肉マッチョなおっさん使ってて、最初に斬り込んで半数倒す凄腕。(くや)しいがキル数は俺より上だからな」


 ヒヨコのキャラは「カゲロウ」という名前で、通称「ロウ兵」と呼ばれる対人サバイバルゲームにおいて知らない人は居ないほどの有名人であった。


「そういや、ヒヨコが前線の足役やっているのは俺らからしたら普通だけど、知らない奴から見ると不思議に見えるらしいもんな。ロウ兵にやらせないで誰が前線張るってのよ」


 人は見かけによらないのである。


「銃とかコレクションの数が凄かったけど整頓は上手(うま)かったから、今も倉庫は綺麗そうだな」


 人は見かけによらな過ぎるのである。ヒヨコ恐るべし。


次話、3人予定している新キャラの2人目が登場! スケルトン? 女子? ゲームマスター? 予想は当たるかな? お楽しみに!

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