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恋骨!~恋するスケルトン~田中要はVRMMOゲームでスケルトンになって恋をする事にした。  作者: 熊谷わらお
第3章 それは田中ですか? いいえ、これは中田です。 38話~45話【完結】
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38.田中要は創作をする事にした。

一話完結 恋する着せ替えスケルトン 短編シリーズ

「今年はゾンビを売りたいの!」

 興奮した様子で、その言葉を発したのは(みなみ)桔梗(ききょう)だ。

 才色兼備(さいしょくけんび)容姿端麗(ようしたんれい)、ゾンビが大好きでなければオススメ出来る女子だ。


「売りましょう!」

 興奮した様子で、その言葉に返したのは田中(たなか)(かなめ)だ。

 才色普通、容姿普通、スケルトンが大好きでなくてもオススメに少し困る女子だ。


 2人の女子がする会話にしては少し変な内容ではあるが、部屋中に飾られたゾンビやスケルトンを見れば、その会話も納得出来るものに変わるだろう。

 ここは秘密結社ではなく、桔梗が社長を務める会社だ。


 会社と言っても働いているのは桔梗と要の2人だけ、売っている物はゾンビとスケルトンという会社らしく無いものだ。

 しかも、この部屋はいわゆる、いわく付き物件である。会社に疑惑は付き物でも、いわくまで付いているのである。


 この部屋に住んだ人間は、体調を崩すだとか不幸になるだとか言われていたが、桔梗のオーラ清浄機能により、不幸との戦いに勝利を収めている。

 勝っているどころか売り上げは順調に右肩上がりである。


 売れているのが「スケルトン」というのだから、世間を(なげ)くべきなのだろうが、今やスケルトンは縁起物(えんぎもの)なのである。

 結婚式のウェルカムドールとして、タキシードにシルクハットの男性スケルトンと、ドレスに髪飾りで華やかな女性スケルトンのセットが売れている。

(とも)に骨になるまで」のコンセプトで売れまくりである。


 順調なスケルトン販売に対して、ゾンビ販売はというと……全く売れていない。


 桔梗は美しいゾンビ「ブライトゾンビ」を作る。血だとか腐敗(ふはい)とかのグロテスクではなく、生きているような美しい中に、死が閉じ込められている、死と生の狭間(はざま)にある妖艶(ようえん)な姿をしたフィギュアを作っている。


 ゾンビも縁起物にしてしまえば良いのだろうが「この恋が死んでも、思いは()ちない……永遠に」的な(ねん)のこもった人形にしかならない。

 売りたいのは呪いの人形では無いのだ。ゾンビを見て元気になって欲しいのだ。かといって、ゾンビ自体が元気では恐怖倍増なので、ゾンビの良さを生かしつつ売りたい。

 ゾンビの良さが理解し(がた)い訳だが、話を先に進めよう。


 ゾンビとスケルトンのブランド「Zs(ゼス)」は毎年「アンデッドフェスティバル」に参加している。

 アンフェスは桔梗と要が出会ったイベントであり、Zsを作るきっかけになった場所だ。アンデッド関連の即売会(そくばいかい)なので、ゾンビやスケルトン、幽霊やヴァンパイアまで多種多様な、半分死んでいるキャラ達が売られていく。

 何だかちょっと悲しい気持ちになるが、荷馬車(にばしゃ)に揺られるスケルトンを想像すると少しだけ(なご)む。


「Zs」の名前の由来は「Z」ゾンビから「S」スケルトンまでである。

 つまり、(ひつぎ)から墓場(はかば)まで……。できれば、ゆりかごからスタートして欲しかったが、死の世界を行ったり来たりである。

 埋められたり出てきたリ、逃げられたり倒されたり、死者家業(かぎょう)も大変だ。


 もうすぐ開催されるアンフェスに向けて、ゾンビを売るべく活動する事になりそうなのだが……。

「ゾンビってどうやったら売れるんですかね」

 ゲーム内では色々な物を売り上げている要も、現実世界で物を売るのは(むずか)しく、お手上げ状態だ。


「スケルトンみたいに、ストーリーとかコンセプトを明確にする必要はありそうね。花言葉みたいなものを作ろうかしら?」

 花もゾンビも、()(裂)いたり、()(血)ったり、()(狩)れたりするものなり。


「ゾンビの物語を作って売るとかどうでしょう! ゾンビの燃えるストーリー!」

 燃やす方では無い、燃える方なので注意である。


「ブライトゾンビが売りたいのだから、綺麗なお話の方が良いのかしらね」

「そうだ! プリンセスゾンビ!」


~プリンセス ゾンビシリーズ~ ()ンデレラ


 昔々ある所に、ゾンビな女の子がいました。女の子はゾンビなので外にも行けず、地下室で過ごしていました。

 ある日、王子様の花嫁を選ぶ舞踏会が開かれる事になります。


 死ンデレラも舞踏会に行きたいと思いますが、ゾンビでは行けないと泣いて過ごしていました。

 そこに魔法使いが現れます。魔法で死ンデレラに綺麗な箱を(さず)けます。それはとても大きくて、人ひとりが入れる大きさの物でした。


 魔法使いは死ンデレラに言います。

「箱に入っている間は、死んでいるのか生きているのか、開けてみるまで判断できないから大丈夫」


 死ンデレラはその言葉に勇気付けられ、お城に向かいます。


 余りにも立派な箱だったため、(みな)お城に届けられた荷物だと思い、死ンデレラは城へと潜入(せんにゅう)する事が出来ました。


 王子様は箱に話しかけます。

「もしかして……誰か入っているのですか? とても怖いんですけど、怖いもの見たさが勝っちゃって……顔を見せては下さいませんか?」


 しかし、夜12時を告げる(かね)()が鳴ってしまいます。


『やばっ、今日からゲームのイベント開始なんだった。スタートダッシュ決めなきゃ』

 (あわ)てて死ンデレラは走り出しますが、前が良く見えないために、階段で転んでしまいます。


 箱が()げ、階段を転げ落ちるものの、死ンデレラは箱を回収する間も()しんで帰ってしまいました。


 次の日、箱を持って王子様がやってきました。

 死ンデレラは、箱を返してもらって、イベントアイテムもコンプリートして、幸せに暮らしましたとさ。おしまい。


「以上、土かぶり姫というお話でした」

 要の自信満々な顔に、桔梗は溜息(ためいき)をつく。


「ねぇ、要ちゃん真面目に考えてくれる?」

「私の想像力ではこれが限界ですよ。後は……親指だけ出ている姫とか」


 桔梗は要の豊かな想像力に肩を落とした。


 注意。死ンデレラはフィクションです。ゾンビだったので助かりましたが、箱をかぶって舞踏会に行く事は危険なので絶対に真似しないでください。


 感想に感激して更新いたしました! ありがとうございます! お楽しみいただけると幸いです。

 10日ぐらいお休みをいただいた後、3章を本格的に開始いたします。もうしばらくお待ちください。

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