28.田中要は会議をする事にした。
一話完結 恋する着せ替えスケルトン 短編シリーズ
「第1回骨壺会議を始めます」
面倒そうな声を出して会議を仕切るのは赤色53号。
誰も狩りをしない静かなドリームスケルトンランドで会議は行われている。
参加メンバーはスケルトン王カナメン、囚われの姫七味、ゲームマスターTAU、案内人PHI、進行役の赤色53号である。
ドリームスケルトンランド通称「骨壺」は過疎っていた。
「何で利用しないかのアンケートとってきてやったぞ」
人間の少年キャラ赤色はそう言って、メモを読み上げた。
「上位ギルド、Mさんからのご意見。透けているため、他ギルドに狩りのコツを見られると困るので避けている」
「獣人、Iさんからのご意見。移動アイテムを手に入れるのにクエストをやるのが面倒」
「おしゃれ女子、Hさんからのご意見。暗い」
「最強ギルドマスター、Aさんからのご意見。パーティー内で嫌だと言う人が1人でもいると、行き先として除外するしかない」
「回復職、Sさんからのご意見。アンデッドが得意な職業には良い狩場だが、多くの職業で旨味が感じられないかもしれない」
「スケルトン王、Kさんのご意見は……いいや」
「この事から分かるのは、狩場自体に問題があるという事だ。つまり、小手先の変更じゃ無理だぞ」
赤色は既に諦めている様子で言った。
ドリームスケルトンランドはガラス張りの100階建てダンジョンだ。モンスターはスケルトンしかいない。一部の人間から評判であるが、多くの人間から不評である。
人間キャラの美少女、七味が手を上げた。
「パーティー用の狩場として設定されているのですが、ソロ狩場にしてしまった方が需要があると思います。他人とモンスターを取り合うのを好まないプレイヤーも多いですし、静かで広いのは訴求があると思うんです」
「移動アイテムも廃止して、無料で移動できて、時間が無い人に使いやすいようにすれば1人で狩るにも良さそうだな」
赤色がソロ狩場に賛成した。
「フリーマーケットやりたいです!」
スケルトン男子カナメンはまだフリマ企画を諦めていなかった。
「こんだけガラスがあるんだから、レンタルスペース作って売れば良いんじゃねぇの? 見てるだけでも楽しめれば、暇つぶしぐらいにはなりそうだしな」
赤色が更に便利な案を出す。
「いっそのこと、博物館っぽくしてしまうのも有りかもなー。ホネタウロスが展示されているし、階段の所に限定アイテムとかを展示して、とにかく人がいて賑やかな雰囲気が出せればデートとかにも使えるようになるんじゃないか? アイテムの展示ってゲームマスターの方でやれないか?」
赤色の言葉にスケルトンキャラのタウは答えた。
「展示ならワールドの経済に影響しないし、レンタルスペースも俺がプログラムすれば良いから問題ないけど、仕事が増えるのにファイが賛同してくれるのが条件かな」
「移動アイテムクエストを無くすのであれば手は空きますので、私の方は問題はありませんよ」
エルフ女子のファイからOKが出る。
「何とかなりそうな気がしてきました」
カナメンが嬉しそうに言った。
「残る改善点は……」
そう言って赤色がファイに近づく。そして、取り出した眼鏡をファイにかけた。
「エルフの視力設定とか分かんねーし、目が綺麗だから隠さない方が良いが、ガラス一枚でもあれば視線が少しは気にならなくなるだろ。可愛いんだから自信持て」
ファイはストレートのロングヘア―に、眼鏡に白シャツ、タイトスカートにハイヒールというマニア必見の受付嬢スタイルになった。
「私可愛いですか?」
「大丈夫、顔だけは可愛いから」
ファイは赤色の言葉に真っ赤になって俯いてしまった。
「それに、顔見られたく無いなら、もっと露出上げろ」
赤色はファイの胸のボタンを外す。そして、両手で乳を両脇から寄せると、ググっと持ち上げた。
「このぐらいすれば、目線が下に行くから。服装も変えれば分散できるだろ。女の服は分かんねーから、カナメン見繕ってやれ」
「赤色さん、凄いですね」
七味の言葉に赤色は自慢気に返した。
「仕事柄こういうのやるから」
胸を寄せる仕事では無い。あしからず。
リニューアルは1か月後! ニュードリームスケルトンランドよ輝け!
次話「29.田中要は決闘をする事にした。」 恋するスケルトンはサクサク読める1話完結の短編集です。評価や感想をいただきましたら急いで更新いたしますので、お寄せいただけると励みになります。
終末世界で繰り広げられる恋物語。GGGは2章の後半まで進みました。ちょうど区切りの良い所なので、よろしければ読んでいただけると嬉しいです。




