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恋骨!~恋するスケルトン~田中要はVRMMOゲームでスケルトンになって恋をする事にした。  作者: 熊谷わらお
第2章 笑う門には骨きたる。笑えば肋骨の花が咲く 。 26話~37話【完結】
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27.田中要は防守をする事にした。

一話完結 恋する着せ替えスケルトン 短編シリーズ

 膝の上で眠ってしまった人間の美少女を見守るスケルトン。

 そんな「地獄のおとぎ話」のような情景は、青空の下で(さわ)やかに繰り広げられている。


 VRMMORPG GGL (ジェネシスガーディアンズライフ)仮想空間で遊べるこのゲームは、キャラクターになり切って冒険が出来る。

 田中(たなか)(かなめ)は「カナメン」という名前の男子スケルトンのキャラクターを使っている。

 つまり、見守りスケルトンである。


 では、人間の美少女の方はというと、寝落ち姫こと「七味(しちみ)」であり、中身は男子の皆川(みながわ)七見(ななみ)である。


 中身女子が中身男子に膝枕(ひざまくら)をするという、正しいロマンの状態ではあるが、骨に膝枕してもらう美少女が邪魔をして、ロマンがすんなりと入って来ないのは我慢していただくしかない。


 泣き疲れて眠っている七味を守るのが本日の使命となります!


 カナメンの目の前を(おおかみ)が通った。


『これはイヌカイさんだ!』


 狼というのもキャラクターである。GGLのゲームで選べるのは「人間」「獣人(じゅうじん)」「スケルトン」の3種類であり、獣人は獣化と人化を切り替えて遊べる種族なのだ。組み合わせる(けもの)は好きな動物が選べるようになっている。


 カナメンの知り合いの獣人は、狼男子の「イヌカイ」と狼女子の「ヒヨコ」であり、同じ狼という事もあって、獣化状態だと区別が付かなかった。だが最近その違いが分かってきたのだ。


 会った時に飛び掛かってくるのがヒヨコで、飛び掛かって来ないのがイヌカイである。


 この区別が他の狼獣人が現れた時にも有効かどうかは後で試してみたい所ではあるが、どうあってもヒヨコだけは区別が付けられそうなのが、嬉しいやら悲しいやら。


 カナメンは後ろ姿を目で追いながら、尻尾(しっぽ)を見てみる。フワフワなのがイヌカイさんで、モフモフなのがヒヨコさんのような気がしているのだ。

 ふと目線を前に戻してみると、そこには誰かの足。目線を上に上げると、物凄くバカにしたような表情をした赤色(あかいろ)53号がいた。


 赤色53号という適当な名前からも分かるように、真面目というものからは縁遠(えんどお)い性格をしている。(くや)しいぐらいに目が口ほどに物を言っている。

 相手が動けない、声を出せない時こそ、その(あお)り能力が上るあたりが、人間の少年の見た目と(あい)まって小憎(こにく)らしい。

 時々吹き出しそうになりながら、訳の分からぬジェスチャーをしてバカにしている。


 急いで戻って来たイヌカイが、赤色の服を()んで引っ張る。その力に引きずられながらも、見えなくなるまでニヤニヤが止まらない赤色だった。


 イヌカイさんは優しいなぁ。今度スケルトンの骨をプレゼントしよう。

 赤色さんには鉄槌(てっつい)をプレゼントしたい所であるが、今回も下剋上(げこくじょう)ポイントとして貯めておこう。ちなみに100点貯まるとアイテムと交換できる事になっている。勝手にそう思う事にしているだけだが。


 何をおねだりして買ってもらおうかなぁ、などと妄想していると、遠くから響く足音。


『これは……ヒヨコさんだ! って今はダメだー!!!』


 小さな弾丸のような狼は、どんどん近づいてきて迷う事無く突っ込んでくる。そして可憐なジャンプ!


 飛んだ瞬間に七味の姿を確認したヒヨコは、空中で体を(ひね)りあられもない姿で回避! したは良いものの、受け身を取る事も出来ずに地面に叩きつけられ、後方へゴロゴロと転がって行った。


『絶対に痛いやつだ……大丈夫かな、ヒヨコさん』


 ヒヨコの姿を追っていた目線を前に戻すと、そこには誰かの足。目線を上に上げると、物凄く悲しげな表情をしたミフネがいた。


 ミフネは交際の申し込みを要が断った相手だ。

 その人間の青年の(ひとみ)には「振られたけどまだ気になっている」という悲哀と「他の人が好きって言ってたのに何で七味に膝枕しているの? (うらや)ましいんだけど」という嫉妬(しっと)と「寂しい俺の前でいちゃついてんじゃねーぞ」という八つ当たりの気持ちが宿(やど)っていた。


 急いで戻って来たヒヨコが、ミフネの背中を押して歩かせる。人化したヒヨコは草だらけのボロボロの姿で、「ごめんね」のジェスチャーをしながら傷心のミフネを連れて行った。


 やっとの平穏が訪れる訳も無く、最強に空気を読まない男、TAU(タウ)の姿が見えた。大ピンチである。


「カナメンお前何やってんだよ! ダンジョンやっぱり過疎(かそ)ったじゃねーか、俺の苦労を無駄にすんな! 会議するぞ! 会議!」


 スケルトン姿のゲームマスタータウは他人に気を(つか)わない。人工知能AIだからではない。タウが故に1本道しか進まないのだ。


 カナメンは手の中にスケルトンフラッシュを作り出した。スケルトンフラッシュとは単なる光る玉である。そして、狙いを定める。

 指に弾かれたスケルトンフラッシュはタウの口にホールインワン! 噛んだタウの口の中で光を発した。目から出たビーム光線が空を(いろど)る。


 仕事をサボって逃走中のタウは、先輩のomicron(オミクロン)の姿を発見し、ビーム光線を出したまま走って逃げて行った。撃退成功!


『守り切りましたよ。七味さん』


 気持ち良さそうにスヤスヤと眠る七味を見ると、(つた)った涙で髪の毛が、(ほお)に貼り付いてしまっていた。起こさないように、そっと頬に触れる。


 ゆっくりと美少女の目が開く。が、頬に添えられた手を抱きかかえるように包むと、また目を(つむ)ってしまった。カナメンの手に()りついて眠る七味。


 美少女の可愛さに負けて、足がめちゃくちゃに(しび)れていたカナメンだったが、我慢して動かないという新しい戦いに突入するのであった。


次話「28.田中要は会議をする事にした。」 恋するスケルトンはサクサク読める1話完結の短編集です。評価や感想をいただきましたら急いで更新いたしますので、お寄せいただけると励みになります。


 終末世界で繰り広げられる恋物語。GGGは2章の後半まで進みました。ちょうど区切りの良い所なので、よろしければ読んでいただけると嬉しいです。

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